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特集一覧 Web Designing 2018年2月号

コンサルタントとディレクターが教える考え方・作り方・導き方 アプリ開発会社のUXプロセス

わかったようで、わからない。でも重要なことだけはヒシヒシと伝わるUX。アプリやWebサービスなどのデザインを多数手がけるフェンリルのコンサルタントとディレクターはどのようにUXと向き合っているのだろうか?

事前準備を軽視しない

新規にWebサービスを始めようとしていたり、これからアプリを制作したりする際、どのような手順を踏んで、UXを検討するべきなのだろうか? 原理原則はあれど、UXへの考え方や、会社によってアプローチも違うのが現実だ。

スマホ向けアプリやWebサイトなどを手がけるフェンリルでは、まずクライアントへのヒアリングを行い、サービスに取り組む背景や、ビジネス上の目標、想定ターゲット、クライアントの強みなどを把握。その後、ユーザーインタビューなどで現状を分析してクライアントとディスカッションを行い、どのようなUXをデザインするべきなのかを検討していくという。同社のデザイン部でチーフコンサルタントを務める中村康孝さんは実作業に入るまでの重要性を主張する。

「ビジネスですから、スケジュール的にも予算的にも余裕がないことも多いのですが、本来は事前調査と分析に時間で言えば1カ月~2カ月。気持ちの上では全体の5割ぐらいのパワーをかけてやるべきだと思っています。この期間はデザインなど形になる成果物が上がらないので、理解や予算が得られにくいのが現実ですが、失敗したときのリスクを考えると、十分、取り組む価値がありますし、フェンリルではこの作業が全体のUXを決定づけると考えています」

また、多くのプロジェクトのディレクターを務める福島菜穂さんは、こうした事前準備を踏むことで、必要な機能、秀逸なアイデアと思われるものも客観的に判断することができるという。

「社内でアイデアを思いついて、Webサービスとして展開しよう、アプリとしてリリースしようと、開発部分からご相談いただくケースが多いのですが、私たちが入って実際にカスタマージャーニーマップや、ユーザーの利用シーンを想定してストーリーボードを作ってみると、『あれ、実は使うシーンがないな』ということも少なくありません。アプリを作りたい、サービスを作りたいというのはあっても、なぜ、そうしたいのか、というのは意外と考えられていないように感じます」

 

UXの考え方は、PCもスマホも同じ

次にサービスを開発することは決定したとしよう。サービスを提供するデバイスやプラットフォーム、つまりWebやスマホ、あるいはアプリなど、それぞれの役割はどのように考えるのがいいのだろうか? 例えばPCからのアクセス時にはすべての機能が使えるのに対して、アプリやモバイルでの利用時には一部の機能を制限していたり、最近はアプリのみで展開しているサービスも珍しくない。こうした違いについて、中村さん曰く、基本は同じだという。

「私はデバイスによって提供する価値が変わるとは考えていません。GPSやプッシュ通知など、アプリでしかできない機能を使うことで、より理想的なサービスを提供できる場合もありますが、利用するデバイスによって“ユーザーに提供する価値や体験”は変わることはないと思います。デバイスによって利用シーンは異なるかもしれませんが、今はスマホを家で使う人も多いでしょうし、パソコンだから自宅や会社とも限りません。私は、UXとは『提供する価値』のことだと考えています。デバイスによって使える機能や見た目のデザインは違うかもしれませんが、提供する価値は同じはず。強いて言えば、アプリではハードを購入しなくてもサービスを提供できるので、いいものをつくれば使ってもらえるチャンスが増えたとは思います。一方で、アプリは簡単につくることができるので競合もすぐに増えますし、ちょっと不満があるとすぐに使ってもらえなくなる。だからこそ、ユーザー体験をよりしっかりとデザインする必要があると思います。ハードを買うには初期投資が必要ですから、人は多少使いづらくても、自分から慣れようとします。でも、アプリはそのまま使わなくなり、二度目のチャンスはないのが現実ですね」

デバイスは違えど、提供する価値は同じ。その価値をスムーズに体験するために、デバイスごとに最適なデザインを提供すると考えればいいだろう。

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サービス開発前のチェックリスト
サービスやアプリを開発する際、提供側、開発側ともに、最低限共有しておきたいポイントをチェックリストにした。まずはこれらをはっきりさせてから、打ち合わせに臨もう。

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掲載号

Web Designing 2018年2月号

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2017年12月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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そこで、サイトの改善を急務として考えている方は多いと思います。

Webサイトの弱点を改善して、成果の出せる武器にしたい、もしくは、Webを有効活用した新しいビジネスを立ち上げたい。そうお望みの方に、「UX(ユーザー体験)」のノウハウをお勧めします。

UXとはとても端的に言えば、ユーザー視点で設計やデザインを考えることです。マーケティングの世界は、ユーザーの心をとらえる「体験を売る」時代になり、ますますこの考え方が取り上げられるようになりました。ただ、「UX」という言葉が先行して、イマイチ何のことかわからない、理論はわかるけど実際にどこから手をつけていいかわからないという方も少なくないのではないでしょうか。

UXは闇雲に叫んでも成功するものではありません。そこには理論に基づく準備やプロセスがあります。
本特集を一通りお読みいただければ、無意識にUXの理論や見るべき視点、メリットや期待できる効果などが把握でき、みなさんのビジネスの現場で応用ができるようになることでしょう。

【段違いの成果が出るUXの「5プロセス」】

[1]心を1つに。
プロジェクトチームの意識共有を図ろう

[2]お客様を知る。
ユーザーの「ホンネ」や動向を知ろう

[3]商品を知る。
プロジェクトにおけるビジネス的課題を把握しよう

[4]理想を描く。
商品のあるべき姿を描き、実現のためのアイデアを練ろう

[5]つくる・見せる・話を聞く。
原型を部外者に試してもらい、反応を見よう


<こんな方にオススメです>
・UXをまずは何から始めていいのかわからない
・UXってデザインだけじゃないの?
・そもそもUXってなにがよくなるの?
・部署を横断して取り組むべきなのはなんとなくわかっているが、説得する自信がない
・理論だけではなく、現場で実践していることが知りたい
・Web解析時のUX評価方法や改善方法を知りたい
・UXの重要性をクライアント・上司に理解してもらいたい
・効率よく成果をもたらすためのテクニックを知りたい

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