SNSマーケティングでスタートに効く数字、長期戦に効く数字とは 事例詳細|つなweB

1 企業のSNS初心者が取り組む「第一歩」を知る

プライベートでは使い慣れているSNSも会社で導入するとなると二の足を踏んでしまう。何をどう使えばいいのかわからない人に向け、目的別のSNS選びと開設直後の運用のカギをうかがいました。

 

最初の選び方、ヒントになる数字は?

弊社では戦略立案から運営、効果検証までSNSマーケティングに関するサポートを行っており、企業さまからは「SNS運用を始めたいが何から始めればいいか、何が必要か話を聞きたい」というご相談を多くいただきます。運用を丸ごとお願いしたいとおっしゃる企業さまですと、ほぼゼロの状態から始めることもあります。

一般的にはSNSの選定や戦略のご提案から始めますが、実はどのメディアを使いたいのか、ある程度決まっている場合もあるんです。最も多いのはFacebookですね。しかし、必ずしもFacebookがその企業に適しているわけではありません(15)。活用する目的やターゲットに沿って、適切なSNSを選ぶことが大切です。

とはいえ、初めて導入される場合は何を基準にすべきか、自社の目的にどのSNSが合うかを見極めることは難しいと思います。その場合、ひとつの基準となるのがSNSの国内ユーザー数です。よく比較にあがるSNSで見ると、現状でFacebookは2,800万、Twitterは4,000万、Instagramが2,000万となっています。

国内アクティブユーザーはTwitterが最多。Instagramのアクティブユーザーはワールドワイドでこの4カ月感に1億人増加している

また目的別ですと、Facebookはユーザーとの関係構築やコミュニケーションの深化、Twitterは認知の拡大や情報の拡散、Instagramはブランディング強化に分けられます。ちなみに、LINEはユーザー数は多いものの公式アカウントの場合メディアの利用費がかかります。即効型で使い方が異なるので、長期的な効果を狙う他のSNSとは別で考えています。

また、ターゲットとの関係性も重要です。例えば、元SMAP3人の公式ファンサイト「新しい地図」が開設時に3種類のSNSにアカウントを作りましたが、Facebookのフォロワー数は約9.6万人、Twitterは約30.9万人、Instagramは約25.5万人(記事執筆時点)とかなりの違いが出ています。Instagramの国内ユーザー数はFacebookより少ないのにフォロワー数は3倍近いという状況から、ファンやターゲットがどのSNSを情報源にしているか考えることの大事さがわかるかと思います。

 

アカウント開設後、最初に見るべき数字は?

アカウントを開設したら、まずはフォロワー数を意識するのがいいでしょう。大手企業であればFacebookやTwitterの場合最低5,000~1万人程度が一つの目安になると思います。競合比較やエンゲージメントを増やすといった目標設定も、一定数のフォロワーが存在してこそできることです。その後は目的によっても変わりますが、KPIに設定されることが多い数字はフォロワー数やエンゲージメント数/エンゲージメント率です。ユーザーの好意形成を反映ていると考えられるからです。初めは競合など他社を参考にし、継続する中で自社の過去の数値と比較すると良いでしょう。

投稿は何本くらい行えばいいのか、また反応はどの程度もらえればいいのか、という点についても、他社の数値が参考になるでしょう。ちなみに、ユーザーの反応率は11時、17時が高い(16)ので、返信や情報の投稿はその1時間前から直前までに行うと反応率も上がると思います。

 

2 定点観測から状況を分析してみよう

アカウントを開設しフォロワー数が増えてきたら、次に意識したいのがユーザーの好意形成を表す重要な指標を継続的に観測すること。そこから具体的なアクションに結びつけていきましょう。

 

エンゲージメントとリーチ、KPIになる指標とは?

フォロワーをある程度獲得できたら、次にチェックしたい指標としてエンゲージメントとリーチが挙げられます。

エンゲージメントを獲得するには、良質なコンテンツを投稿することと、コメントに対して「いいね」やコメント返信などのアクションを継続することが大切です。弊社で運用代行をさせていただいている化粧品系ブランドでは、Facebookで全てのコメントに返信するという取り組みを行った結果、半年でコメント数が約6倍に増加したという例があります。

リーチに関しては、Facebookは気をつける必要があります。表示アルゴリズムがユーザーの関連度優先になっていることで、エンゲージメントが下がるとリーチも下がってしまうからです。ユーザーにとっては関心のあるものを優先的に閲覧できますが、それ以外はタイムラインに表示されないので、エンゲージメントを高めておく重要性が高まっているとも言えます。

ただ、KPIは必ずしもこれらの指標に限らなくてもいい(17)と考えています。例えば、認知拡大をKPIにするのなら「ユーザーにどんなアクションをしてもらいたいか?」と考えます。Twitterならリツイートでしょうし、Facebookなら「超いいね」の数になりますね。好意を示す時に「自分ならどんなアクションをするだろう」と考えればわかりやすいと思います。

また広告を活用した方がいいかどうかという疑問もあるかと思いますが、Facebookの場合は先の問題もあり、現状で最もフォロワー獲得に効果があるのは広告(18)になっています。Twitterはコンテンツが面白ければフォロワーもある程度自然に増えますが、Facebookは拡散しづらいため広告で自発的にアピールしないと増えにくい状況になっています。投稿のリーチを広げたい場合は、通常の投稿にADをつけることなどもお薦めしています。

 

運用は長期戦、継続的にチェックする指標は?

継続的に観測するべき指標(19)をまとめると、フォロワー数、いいね・コメント・シェアなどのリアクション数、クリック数・動画のビュー数といったエンゲージメント数、そしてリーチ数、エンゲージメント率が基本です。可能なら過去半年分を一覧できる形でまとめ、前後の変化や各指標との相関からその原因を考えることをお薦めします。また、競合他社の数値も判断の参考にしていいと思います。SNSの運用目的は同業なら同じことも多いですし、「この競合よりフォロワーが多い」、「エンゲージメント率が高い」という成果は報告の際に目に見えやすいですよね。

運用の参考には、業界に関係なく目的が近くて運用がうまい企業のアカウントをチェックするのもお薦めです。SNSは流行り廃りが激しいので、最近の流行も見ておいたほうがいいでしょう。こうした環境の中で、コンテンツ制作は最も手間のかかる作業です。1人では早々にネタがなくなったり、投稿時のミスも起こりやすいので、2~3人で運用されることをお薦めします。相談もできて気持ちが楽ですよ。

 

教えてくれたのは…
中島敦美さん
株式会社コムニコ シニアアカウントディレクター
木村早苗
※Web Designing 2017年12月号(2017年10月18日発売)掲載記事を転載

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