2016.11.22
地域密着型ビジネスで使える、アナログ+デジタル戦略 組み合わせで効果を発揮!
ここまでインターネット広告の費用対効果について見てきたが、そもそも「インターネット広告前提」で考える必要はない。実はチラシやDMなどの“アナログ”広告のほうが使い方によっては、むしろ効果がある場合もあるのだ。アナログ広告で高い効果を上げる戦略とは?
Photo:合田和弘
さくらリフォーム株式会社 代表取締役社長
久井リカ
リスティングを中止してチラシ広告を継続した理由
東京都世田谷区で住宅リフォーム業を営むさくらリフォームは、創業して23年。社員数4名の小規模ながら、テレビや雑誌でも取り上げられることも多い、地域密着型として人気のリフォーム会社だ。
同社が、地元のお客様に対してのアプローチするツールとして、長年使っているのが新聞の折り込みチラシ。現在、中小企業が真っ先に思いつく広告といえば、リスティングやSNSによる広告だろう。だが、さくらリフォームでは、一時期取り組んでいたリスティング広告を中止。現在はチラシのみで広告を行っている。
とはいえ、同社ではチラシにのみ頼っているわけではない。Webサイトを用意しているのはもちろん、プロならではの視点でリフォームに関する情報をWebサイト内で定期的に発信するなど、コンテンツマーケティングにも取り組んでいる。このように、「チラシ×Web」の手法は、同社のビジネスモデルにあわせた結果、考え出されたものだ。
「当社の対応エリアは、車で45分で行ける範囲を基準としています。離れた場所のお客様だと、移動時間がかかり、それをリフォーム代金に反映せざるを得なくなりますし、急なご相談にもすぐにかけつけることが難しくなります。だからこそ、地域のお客様の認知向上を図るために、チラシの配布を続けています」
こう説明するのは、代表を務める久井リカさん。同社では、B4サイズのチラシを2カ月に一度、新聞の折り込みチラシとして約7,000部を配布するほか、新聞を取っていない住宅へもポスティングで3,000部、計1万部を定期的に配布している。1回あたりのおおよその予算は10万円。配布エリアはその都度、変更することもあるが、最もレスポンスが高いのは店舗を中心にした2~3km圏内に配布したときだという。
来店を促す仕掛けをチラシに施す
当然ながら、チラシではWebのようにレスポンスを細かく測定することは難しい。そこで同社のチラシには、リーチした人のアクションを促すような仕掛けが施されている。
同社では毎週土日に、壁紙の修理方法やプチリフォームの方法を教える「DIY教室」や、インテリア小物の作り方を教える「カルトナージュ教室」を実施。その内容やスケジュールの告知にチラシの半分を使い、リフォームの価格などは一切掲載していない。これは、今、リフォームに興味はなくても、さくらリフォームに足を運ぶきっかけを作るためだ。