文章の明瞭度を上げる重要ポイント!「読点」は「感覚で打つ」べからず|WD ONLINE

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Web Designing 2022年10月号

文章の明瞭度を上げる重要ポイント!「読点」は「感覚で打つ」べからず

「読点」のルールは多種多様 その中で5つ押さえよう

日本語の文章における「何気なく使っているランキング1位」、それが読点です。「句読点」という言葉で覚えている方もいると思いますが、「句点」は「。」、読点は「、」。おそらく「。」の使い方に悩む人はいないでしょう。問題は「、」です。「読点」を「打つ打たない」/「打つならどこに打つか」は、文章の理解しやすさ、読みやすさを左右する大事なポイントなのです。それなのに日本の学校教育では、「読点」をどこに打つべきか、なんて授業はまずお目にかかりません。私は本稿において、いくつかの事例を提示しながら、「、」の正しい打ち方を、説明していきたいと思います。ほら「、」を打ちすぎている文章って、気色悪いでしょう?

さて「、」をどこに打つかのルールは、いろいろあります。参考書などによって微妙に違ってきますが、私は以下の5点をルール化し、文章校正などに臨んでいます。①長い主語の後に打つ ②修飾関係を明確にするために打つ ③誤読・意味の変化を避けるために打つ ④重文の文章の切れ目で打つ ⑤名詞の連続、引用範囲の明確化など理解しにくい表現で打つ。もっともっと条件を細分化することはできますが、そんなことをしても覚えられません。文章書く際、校正する際は、この5ポイントくらい覚えておけば十分だと思います。

読者をホッと落ちつかせる「逗留地」としての読点

まず①長い主語の後に打つ。肝は「長い」です。主語の後に100%「、」を打つ文章も散見されますが、それは間違いです。目的は「主語の明確化」。〇私がWebサイトの開発を担当します。 ×私が、Webサイトの開発を担当します。このように主語が明確な場合、読点は不要です。HTMLやCSSなどのプログラミング言語を用いてコードまでしっかり書くことができる私がWebサイトの開発を担当します。この長さなら「、」が欲しいですよね。

②は「修飾関係を明確にするために打つ」です。次の文章はいかがでしょう。×爆発的に売れているニンテンドーSwitchの「あつまれ どうぶつの森」はめちゃくちゃ面白い。爆発的に売れているのはどちらでしょうか。この文章では判別不能です。〇爆発的に売れている、ニンテンドーSwitchの「あつまれ どうぶつの森」はめちゃくちゃ面白い。こうすることで、「爆発的に売れている」が、「ニンテンドーSwitch」にはかからず、その先の「あつまれ 動物の森」を修飾するものだ、と示すことができるのです。

③は「誤読・意味の変化を避けるために打つ」。×老人はニコニコと微笑みながら楽しそうに孫をあやしている自分の娘を眺めていた。ニコニコしているのは老人か、娘か。楽しそうにしているのは老人か、娘か。「、」があれば、本来的な表現を構築することが可能です。〇老人はニコニコと微笑みながら、楽しそうに孫をあやしている自分の娘を眺めていた。 〇老人は、ニコニコと微笑みながら楽しそうに孫をあやしている自分の娘を眺めていた。「、」の位置一つで、意味は変化します。

④「重文の文章の切れ目で打つ」について。重文とは、主語と述語をそなえた部分を二つ以上含む文のこと。×おじいさんは山に芝刈りにおばあさんは川に洗濯に行きました。この日本一有名な重文は、「行き」を一つにまとめていますが、やはり読点が欲しいです。〇おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました。複文は主語・述語の関係が成り立っている文で、さらにその構成部分に主語・述語の関係が認められるもの。両親は私が転職するのを認めている。この場合読点は必須ではありません。〇両親は、私が転職するのを認めている。しかし、この表現のほうが理解を妨げないでしょう。

⑤の「名詞の連続、引用範囲の明確化」はみなさん無意識的に活用していると思います。×氏名住所電話番号メールアドレスを記入ください。このようなケースでは「、」ではなく、「・」や「/」といった記号も活用可能です。×そんな約束はしていないと私は主張した。このように発言、思考などを引用する場合は読点が便利です。〇そんな約束はしていない、と私は主張した。

いかがでしょうか。大切なのは「読み手に負担を掛けないこと」です。「読点」の「読(トウ)」とは、「逗」と同音同義。「逗留」など「一時的にとどまる」意味になり、中国語では「、」のことを「逗点」書くそう。Web3だDXだと世の中はますます加速度的・連続的に変化していますが、文章ではいったん立ち止まることも大切なのです。

「、」は打たないと理解を妨げますし、多すぎると幼稚になります。最近よく目にするひどい用法がコレ。「資料の提出締め切りを失念しておりました、、、、今後気を付けます、、、、」。これ! 「謝罪、反省、懺悔」などあらゆるマイナスの感情を「連続する読点」に込める表現、やめましょう!
まついけんすけ
株式会社ワン・パブリッシング取締役兼メディアビジネス本部長。20年間雑誌(コンテンツ)制作に従事。現在はメディア運営のマネジメントをしながら、コンテンツの多角的な活用を実践中。自社のメディアのみならず、企業のメディア運営や広告のコピーライティングなども手掛ける。ウェブサイトのディレクション業務経験も豊富。

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