Instagramキャンペーンの効果的な活用と事例 事例詳細|つなweB

いま、企業におけるInstagram活用に注目が集まっています。そこで、本連載ではアライドアーキテクツ株式会社にて、SNSプロモーション支援領域の統括およびInstagramプロモーションツール「echoes on Instagram」のプロダクトを開発を行っている井出修二朗さんに、「Instagramで認知・集客・販促効果を高める方法」について解説していただきます。

 

前回の記事では、企業のInstagram活用における分類とKGI・KPIについて解説し、自社の課題や活用目的、保有コンテンツなどに合わせた戦略を策定した上で、施策の改善を継続的に行うべきとお伝えしました。

今回はもう少しライトに、負荷を大きくかけることなくInstagramでの集客・販促効果を感じられる施策として「Instagramキャンペーン」を紹介し、その効果的な活用と事例について解説します。

 

Instagramキャンペーンとは

Instagramキャンペーンは、Instagramで商品・サービスの認知や購入を促す目的で実施する、プレゼント企画型のプロモーション施策です。自社のInstagramアカウントやキャンペーンサイト等で告知し、Instagram上での応募アクション(フォロー、いいね!、コメント、ハッシュタグ付き投稿など)を元に抽選や選考を行い、ダイレクトメッセージを用いて当選者に連絡する流れが一般的です。

キャンペーンを行うことで、商品・サービスの認知拡大に加え、Instagramアカウントのフォロワー増加やエンゲージメントの向上、ハッシュタグ投稿によるUGC(※User Generated Contents:ユーザーによって創作されたコンテンツ)の生成や波及といった成果を得られる点がメリットになります。

実際に、アライドアーキテクツが実施した調査では、Instagramキャンペーンに参加したユーザーの約75%が「参加後も、継続して参加した企業アカウントの投稿へいいね」をしており、約72%が「参加した企業アカウントをフォローし続けている」ことが分かりました。

 

インフルエンサー施策との違い

Instagramキャンペーンと並んで検討されるプロモーション手法として、インフルエンサー施策(ギフティング)があります。それぞれの違いは以下のように整理されますが、目的と施策の特性や相性を元に、選択する必要があります。例えば、インフルエンサー施策だけを実施しても、自社アカウントのフォロワーはほとんど増えません。また、キャンペーン施策だけを実施しても、短期に商品購買を喚起するのは難しいと言えます。

 

※キャンペーン規模を拡大したい場合、またターゲットを絞りたい場合はInstagram広告を活用することが一般的です

 

Instagram規約への注意が必要

Instagramプロモーションガイドラインでは、プロモーションのためにInstagramを利用する場合、「公式ルールを定め、規約と資格要件を設定し、賞品や賞金に適用される規則や規制を遵守し、合法的に運営する」責任を負うと記載されています。

また、Instagramコミュニティガイドラインでは、「金銭や金券など」のプレゼントを申し出ないよう記載されています。

このように、Instagramキャンペーンの実施においてはInstagramが定める規約への準拠が求められるため、注意して取り組む必要があります。より詳細な情報は「Instagramポリシー・ガイドラインとInstagramキャンペーンにおける注意事項のポイントまとめ」を参照ください。

 

増えつつある「インスタントウィン」型

キャンペーンを実施することで企業Instagramアカウントに対する能動的なアクションを促すことができるとはいえ、Instagramユーザーは「02.企業のInstagram活用におけるメリットと課題」でお伝えしたとおり「本当に興味関心のあるアカウントを選りすぐってフォローする」傾向があるため、Twitterなどの他SNSと比較して、企業アカウントの規模拡大は容易ではありません。また、Instagramでは「DMの一括送信ができない」ことで、当選者へのDM連絡が必要なキャンペーン事務局の作業負荷が高く、大規模サンプリング型などのキャンペーン実施はコスト面や安全面から難しいという課題があります。

そこで最近になって実施されるようになってきたのが、参加したその場で当選・落選が分かる「インスタントウィン型」のキャンペーンです。従来の「キャンペーン参加したものの当選DMが来るまで当選が分からない」「DMが来なければ落選だが、落選したことは明示されない」キャンペーン形式よりも、参加の動機を高めることができ、結果としてキャンペーン参加者が増える傾向にあります。

また、当選・落選をWeb画面で伝えるため、当選DMの送信作業が不要となり、数千名を超えるような商品サンプリングキャンペーンの実施も可能になります。

実施のためにはインスタントウィン機能を備え、Instagram APIと連携したキャンペーン管理システムが必要になりますが、キャンペーンの施策成果向上や大規模サンプリングを実施する場合は、検討をおすすめします。

 

Instagramキャンペーンの効果的な活用事例

よくある「フォロー&いいね!」キャンペーンとは異なる手法で、フォロワーの増加、UGC(ハッシュタグ投稿)の増加、来店促進、大規模サンプリングを実現した事例をご紹介します。

1. インスタントウィンによるフォロワーの増加

アカウント:
森永製菓 エンゼルカフェ @morinaga_angel_cafe

キャンペーン実施目的:
シーズナリティ―に合わせたお菓子レシピの需要喚起と、お菓子レシピ投稿を見てもらうユーザーの増加

主な成果:
コメント数:約4,000
新規フォロワー数:約3,400

「森永製菓 お菓子詰め合わせ」がその場で30名に当たるインスタントウィンキャンペーンを採用。Instagramアカウントをフォローして「作ってみたいクリスマスレシピ」を番号でコメントをすることでキャンペーンに参加。コメント後、専用サイトにてすぐに当選・落選がわかることにより参加動機を高められたことが、成果の拡大に繋がりました。

 

2. ハッシュタグ投稿によるUGCの増加

アカウント:
東ハト【公式】 @tohato_caramelcorn

キャンペーン実施目的:
キャラメルコーンのプロモーションとして、ファンとのコミュニケーション強化とファンによるUGC投稿の促進

主な成果:
ハッシュタグ投稿数:約2,000

#カメラでキャラメルコーンのハッシュタグと@tohato_caramelcornのメンションを入れたInstagram投稿で、東ハト10種のお菓子詰合せが当たるキャンペーンを実施。キャンペーンサイトでは実際に集まった投稿を掲載し、随時更新。結果として、キャラメルコーンをほおばりながら幸せそうな子供たちの写真を中心に、約2000件ものUGC投稿が集まりました。

 

3. デジタルクーポンによる来店促進

アカウント:
ほっかほっか亭【公式】 @hokkahokka_tei

キャンペーン実施目的:
ブランド・特定商品の認知最大化、ターゲットユーザーとの接点拡大、店頭送客

主な成果:
新規フォロワー数:過去のフォロー&いいねキャンペーンと比較して130%
クーポン配布数:過去のフォロー&いいねキャンペーンと比較して10倍

スマートフォンのブラウザで表示・操作すると利用済みにすることができる、デジタル消込型クーポンをインセンティブにしたインスタントウィンキャンペーンを採用。インスタントウィンにより当選DM連絡が不要となり、過去のフォロー&いいねの10倍のクーポン配布が可能に。店頭送客数の最大化はもちろん、キャンペーンとしての魅力向上にも繋がり、インスタントウィンによる参加動機の向上と合わせてフォロワー増加数にも寄与しました。

 

4. インスタントウィンによる大規模サンプリング

アカウント:
IN FIORE インフィオレ公式 @infiore_official

キャンペーン実施目的:
オーガニックスキンケアブランドの「IN FIORE」商品の2,000名への大量サンプリングと、Instagramを積極的に利用するターゲットユーザーとの接点拡大

主な成果:
サンプル配布者数:2,000
新規フォロワー数:約3,800
キャンペーン参加者の態度変容:認知度1.9倍・購買意向度1.7倍

インスタントウィンキャンペーンを採用することで当選DM連絡の作業が不要となり、2,000名への大規模商品サンプリングを実現。また、キャンペーンによる態度変容効果を計測するためアンケートによるブランドリフト調査を実施し、「キャンペーン参加者」と「キャンペーン非参加者」の回答結果を比較することで認知度・購買意向度への影響を明らかにしました。

 

まとめ

以上、Instagramキャンペーンの効果的な活用と事例について紹介しました。Instagramキャンペーンは、アカウントの規模拡大が難しいInstagramにおいて有効なことに加えて、インスタントウィンやUGC投稿の収集、デジタルクーポンなどの仕組みを組み合わせることで、多彩な表現や様々な成果指標へのアプローチが可能になります。掛け捨ての単発プロモーションで終わらせず、Instagramアカウントへの繋がりを作り、持続的な成果拡大を図る場合は検討したい施策です。

次回、最終回はInstagramにおけるUGC施策とUGCの効果的な活用について解説します。

 

井出修二朗
アライドアーキテクツ株式会社 Promotion本部 本部長。Web制作会社を経て2009年よりアライドアーキテクツ入社。ソーシャルメディア黎明期より、SNSとWebを活用したマーケティング支援におけるセールス・コンサルティングに従事するとともに、Twitter・Instagramプロモーションツール「echoes」やハッシュタグキュレーションツール「Social-IN」といった自社プロダクトを立ち上げ、統括。
アライドアーキテクツ・グループ
アライドアーキテクツ・グループは、日本、アジア、欧米に7つの拠点を持つマーケティングDX支援企業です。2005年の創業以来累計6,000社以上への支援を経て得られた豊富な実績・知見を活用し、自社で開発・提供するSaaSプロダクトやSNS活用、デジタル人材などによって企業のマーケティングDXを支援しています。https://www.aainc.co.jp/

 

Text:井出修二朗