日本のライブコマースは「キャズム」を超えられるか|WD ONLINE

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データのミカタ Web Designing 2021年6月号

日本のライブコマースは「キャズム」を超えられるか データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム

ライブストリーミングでショッピングを楽しむ「ライブコマース」が、日本ではなかなか普及しない。3月に公表されたトランスコスモスの自主調査によれば、上海をはじめアジアの都市での知名度は8~9割に達し、ばらつきはあるが利用経験率も高い。中国では2020年のライブコマース経由の売上が15兆円ともいわれている。

一方、東京での利用率は1桁で、聞いたことがない人は3分の2を占めていた。これほどの違いが出るとは驚きだ。商品やサービスが本格的に普及するためには、新しいものを早い段階で利用する「アーリーアダプター」から流行し、追随する「アーリーマジョリティ」を巻き込む必要がある。その転換点が「キャズム」と呼ばれ、割合が16%前後を占めるとそう言われる。アジアの都市では利用率が大きくキャズムを超えているが、日本では内容の理解者ですらそこに達していない。

ライブコマースの魅力は、質問や実演依頼などリアル店舗に近いオンラインショッピングが体験できることだ。特にKOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる、商品を説明するインフルエンサーの影響力が大きい。アジアでは広告やプロモーションにおいてもこうしたインフルエンサーの人気や依存度が高く、ダイレクトに販売へつながるライブコマースの普及は必然だったとも言える。日本でも多くのフォロワーを持つタレントはいるが、商品PRが「ステルスマーケティング」として批判された時期があり、商品の販売には慎重という側面もある。

日本でも、ライブ性やエンターテインメント性が重要なテレビショッピングは盛況だ。店頭での実食・実演販売の伝統もあり、買う場面を盛り上げるノウハウは潤沢だ。まだ言葉やイメージすら持たない人が多く市場も未開拓とすれば、EC運営者にとって実は大きなチャンスではなかろうか。

トランスコスモス(株)が、4回目となる、アジアにおけるオンラインショッピング利用の現状と変化を探る自主調査を発表。「ライブコマース」への認知・利用状況ともに、他都市と比べて東京が著しく低くなっています。
出典:「アジア10都市オンラインショッピング利用動向調査2021」
https://www.trans-cosmos.co.jp/company/news/210318.html
Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/

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そこでますます注目を集めるのがオンラインショップ、ECにおけるビジネスです。
一方、その「新常態」において、人々は行動を制限されることにより、確実に行動変容が起こっていることは
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