WD Online

02.企業のInstagram活用におけるメリットと課題 押さえておきたい「メリット」と「課題」

いま、企業におけるInstagram活用に注目が集まっています。そこで、本連載ではアライドアーキテクツ株式会社にて、SNSプロモーション支援領域の統括およびInstagramプロモーションツール「echoes on Instagram」のプロダクトを開発を行っている井出修二朗さんに、「Instagramで認知・集客・販促効果を高める方法」について解説していただきます。

第1回は、Instagramのアクティブユーザーに対して行ったアンケート調査から、その利用実態をもとに企業がInstagramを有効活用するためのポイントについて解説しました。今回は、企業のInstagram活用における「メリット」と「課題」について、網羅的に整理します。

 

1.Instagramのキホンとなる特徴と主な使われ方

SNSでは、アプリを開いた最初の画面(ホーム画面)が最も閲覧されることから、SNS媒体としての特徴はホーム画面にどんな情報やアクションボタンを用意するかによって、大きく分かれます。

Instagramは、「フォローしたアカウントの投稿写真・動画が流れる画面」がホーム画面であり、投稿に対して「いいね」や「コメント」などのアクションボタンを用意していることから、「ユーザーが興味を持つ人が発信するビジュアルコンテンツの閲覧と、それを起点にしたコミュニケーション」が主体の使われ方となります。

同じようにフォローしたアカウント投稿の閲覧がホーム画面となっているSNSとしては「Twitter」や「Facebook」が挙げられますが、いずれも「テキスト」が投稿の上部に表示され、画像や動画が無いテキストだけでも投稿ができる仕様です。

また、ビジュアルコンテンツの閲覧をホーム画面としたSNSには「YouTube」や「Tiktok」が挙げられますが、いずれもSNS側が「レコメンドしたコンテンツ」が優先的に表示され、フォローしたアカウントのコンテンツは別タブで閲覧する仕様になっています。

LINEはメッセージングアプリのため、他のSNSとは異なり「トーク」画面がホーム画面になっています。

下記の図は、主要なSNSのユーザー数、ホーム画面の特徴、ユーザーによる使われ方、企業活動におけるメリットと課題についてまとめたものです。




このような一覧で見渡すと、Instagramは利用のされ方などといった特徴が他のSNSとは異なることがわかります。そのため、Instagramを企業が活用する際にはさまざまなメリットと同時に、課題も生まれます。
 

2.Instagramの企業活用におけるメリット

企業がInstagramを活用するメリットとはどのようなことが挙げられるのでしょうか。一つずつ解説を行っていきたいと思います。

【A. エンゲージメント率が高い】

企業がSNSを活用する最もベーシックな手法は、「企業アカウントを作成し、フォロワーを集め、自社投稿でアプローチする」ことです。「アカウント運用」と呼ばれるこの手法においては、フォロワーからのいいね、コメントなどの反応(エンゲージメント)が、自社ブランドに対する注目度や好意を形成できているかどうかの判断指標となります。

Instagramは他のSNSと比べて、フォロワーの反応度合いを示す「エンゲージメント率」が高くなる傾向にあります。それは、Instagramの基本的な使い方が「ユーザーが興味を持つ人が発信するビジュアルコンテンツの閲覧」と「それを起点にしたコミュニケーション」であり、以下3点の傾向がユーザーにあるからだと考えられます。

  • A. 本当に興味関心のあるアカウントを選りすぐってフォローする
  • B. 一つひとつの投稿への視聴時間が長く、しっかりと画像や動画を見ている
  • C. 投稿に対して気軽に反応しやすい
またInstagramには、フォロワーの興味度合いが高い投稿のみを表⽰し、エンゲージメントが高いアカウントの投稿ほど上部に優先表示される「アルゴリズム」が組まれています。そのため、ブランドのターゲット層が関心を寄せるコンテンツを投稿し続けることができれば、フォロワーの注目を維持し、自社ブランドへの理解を高め、好意を持たれやすいSNSであると言えるでしょう。

【B. UGCの訴求力が高い】

SNSを活用するメリットとして、企業発信の情報をユーザーに届けられることだけではなく、ユーザーの投稿(UGC:User Generated Contents)によって、情報をクチコミ的に広げる効果を期待できることが挙げられます。

Instagramでは、UGCにおいても画像・動画とともに情報が発信されることから、他のSNSと比べてクチコミとして生活者に与える興味・関心への影響が大きいと言えます。

また、Instagramでは「ハッシュタグ」を利用して新しい情報や興味関心のある情報を発見・検索するユーザーが多く、特に日本のInstagramユーザーは、他国に比べて5倍もハッシュタグ検索を行うとされています(※1)。ハッシュタグで見つけたUGCを通して初めて認知されたり、ポジティブなUGCを発見して購買意欲が高まる、といったケースも多くあります。実際に、20~30代の53%が「UGCが購買活動に影響を及ぼした」と回答している調査もあり(※2)、このUGCの効果は、企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

【C. 幅広いクリエイティブ表現ができる】

現在のInstagramでは、「ストーリーズ」「リール」「IGTV」「ライブ」といったさまざまな機能を利用した、幅広いクリエイティブ表現が可能になっています。

その中でもストーリーズは、投稿から24時間で消えること、投稿がスマートフォンの画面一杯に表示されることが特徴で、ホーム画面に表示される投稿(以下、フィード)よりも、日常的なリアルタイム性の高い情報を投稿することができます。またストーリーズだけで利用できるスタンプやアンケート、質問、クイズ、カウントダウンといった機能を利用することで、表示される時間に制限のないフィードでは表現しきれないような「時間限定の情報」を発信したり、「アクティブなフォロワーとの交流」を図るのに向いています。

また、ストーリーズは没入感が高いことからInstagram広告の配信面から見ても効率が良く、Facebook社の誇る精度の高い広告ターゲティングと組み合わせることで、ユーザーの態度変容やアクションに繋げられることも大きなメリットです。

リールは、TikTokに似た機能で、Instagramにあらかじめ用意された音源を使ってショートムービーを投稿することができます。IGTVは他の形式よりも長尺(通常アカウントでは60秒から15分まで)の動画を投稿することができます。ライブは、ストーリーズと同じ表示面でライブ配信をすることが可能です。

【D. 商品カタログを掲載し、ECに誘導できる】

現在、Instagramが注力していると言われるのが「ショップ」機能です。コマースポリシーに準拠している商品が一つ以上ある企業は、商品カタログをアップロードし、Facebook社の審査を経ることでこの機能が利用可能になります。

ショップ機能をInstagramで活用すると、自社のアカウントに「ショップを見る」ボタンが追加され、Instagramアプリ内で商品カタログに誘導し、個々の商品ページから自社ECサイトの商品ページへと、直接誘導することが可能になります。また、通常の投稿には「商品タグ」、ストーリーズ投稿には「ショッピングスタンプ」という形で投稿内で紹介した商品にタグ付けをすることで、投稿からその商品のカタログページに誘導することが可能です。

さらには、Instagramアプリ内で商品の購入決済まで完結できる機能も米国で展開されており、長期的には米国外での利用も計画されていることから、日本での展開も非常に期待されます。

参考:【Instagramが、同アプリ内で決済まで完了できる機能Checkoutを発表!】今後のInstagramのEC展開に備えて、私たちが準備するべきこととは?

【E.クリエイターとコラボレーションできる】

SNS施策の一つとして「インフルエンサー」投稿による認知拡大が挙げられますが、Instagramでは「ブランドコンテンツ」という形で、人気のクリエイターとブランドがコラボレーションできるようにサポートされています。

インフルエンサー活用においては、広告と明記せずに好評価のクチコミを装った「ステルスマーケティング」とならないように気を付ける必要がありますが、Instagramで用意された「タイアップ投稿タグ」や「ブランドコンテンツタグ」を使うことで、企業とクリエイターはパートナーシップを明示することができます。また、企業はクリエイターの投稿を広告として配信し、リーチを拡大することも可能です。さらに、上述のショップ機能と連携し、クリエイターに商品タグを使って自社商品を紹介してもらい、ショッピングへと繋げることもサポートされています。
 

3.Instagramの企業活用における課題

ここまで、企業がInstagramを活用することの5つのメリットを挙げました。それでは逆に、企業活用に際してデメリットとなり得るような課題について触れてみます。SNSの最もベーシックな活用方法である「アカウント運用」においての課題は、以下のようになります。

【A.フォロワーの規模拡大が難しい】

Instagramは、上述のとおり「1つひとつの投稿への視聴時間が長い」ことで、「本当に興味関心のあるアカウントを選りすぐってフォローする」傾向があります。テキスト主体のTwitterでは気軽にフォローをしやすいため、企業活用においてもフォロワーを集めやすく、アカウントの規模や投稿当たりのインプレッション数を拡大しやすい傾向があります。

一方、Instagramにおいて数十万人といった規模でフォロワーを増やすためには、マス的に関心の高いコンテンツを継続的に発信する必要や、大規模な広告予算を投じる必要も出てきます。

そのため一部の大手BtoC企業や大手ブランドにとっては、顧客数が何百万人といる中で数千人単位のフォロワーしか集まらず、「施策規模」の視点から運用予算やリソースを割くべきか? と感じて注力度合いを下げているケースが見受けられます。

一方で、顧客ターゲットが限定された中小企業やニッチ商品にとっては、規模は小さくともターゲットとしっかり繋がることができていればマーケティング効果が高く感じられるため、積極的に活用するケースが多い状況であると捉えられます。

【B.投稿制作のコストが高い】

Instagramはその特徴から、アカウント運用で成果を拡大しようとすると「ビジュアルとして美しいコンテンツ」や「情報・読み物として有用なコンテンツ」、「フォロワーとの交流・対話」が求められてきます。

インハウスで編集者を抱えるメディア企業にとっては優位性のある土俵ですが、多くの企業にとってこれらのコンテンツをゼロから企画・制作するコストは高く、外注をした場合に掛かる費用と、上述のフォロワー規模の課題から、運用を維持できないケースが見られます。また、フォロワーとのダイレクトなコミュニケーションは負担が大きく、多忙を極めるマーケターにとってはなかなか実施できない、という課題もあります。

【C.サイト誘導が弱い】

Instagramでは、他のSNSにあるような、通常の投稿から自社サイトへリンク誘導する機能がないため、Webサイトへのアクセスを増やしたい企業にとっては、アカウント運用での成果の拡大は難易度が高いと言えます。

広告を使わずにサイト誘導する方法は、以下の3つです。
  • プロフィールのURL
  • ストーリーズ投稿のリンク (ただしフォロワー数が1万人以上)
  • ショッピング投稿の商品ページリンク(ただし商品カタログのアップロードとFacebook社の審査が必要)

【D.投稿管理の仕組み化が難しい】

Instagramは、投稿の予約配信ができないことから、他のSNSに比べて投稿管理が仕組み化しづらい特徴があります。外部のSNS運用管理ツールからの予約投稿は可能なものの、2021年3月現在、投稿のAPI(Instagram外のツールからInstagramデータを操作可能とするための仕組み)にはフォーマットが制限されており、通常投稿においては「カルーセル」形式での予約投稿ができなかったり、ストーリーズやリール、IGTVも予約投稿を行うことができません。この点からも、他のSNSと比較して運用管理コストが高くなる傾向にあります。

【E. DMの一括送信ができない】

Dと同様に、Instagramは2021年3月現在、DMのAPIが開放されていません。

そのため、DMのAPIが利用できるTwitterなどとは異なり、外部のツールを介してDMを予約配信したり一括送信することができず、InstagramアプリまたはInstagramのWebサイトから1人ずつ送信する形になります。

また、多量のDMを短期間に送信しようとすると、一時的に送信が制限される仕様となっています。これは、DMを使ったスパム行為を制限するため、またDMを1to1コミュニケーションに限定するためであると考えられますが、現時点では企業活用においては、DMでのユーザーサポートを効率化することが難しいと言えます。

現在、InstagramではDMのAPIをDMのAPIをテスト中であることを発表しており、よりダイレクトなコミュニケーションにおける活用が期待されます。


まとめ

以上、企業のInstagram活用における主な「メリット」と「課題」について整理してきました。企業はInstagramを活用することでさまざまなメリットがあるものの、Instagramならではの難しさもあります。

Instagramを含め、SNSを活用しようとなると「まずはアカウントを立ち上げて、フォロワーを集めて、できるだけ費用をかけずに投稿運用してみよう」となりがちです。その際には本稿で述べた活用に際しての課題と、自社が持つ人的リソース・コンテンツリソースを踏まえつつ、Instagramのメリットを享受できるような活用方針をしっかり検討することをおススメします。

それでは、Instagram活用の方向性にはどんなものがあり、どのような指標を持って施策を実施していくべきでしょうか。次回、「Instagram活用の方向性とKGI・KPI」について解説します。


※1参照:House of Instagram(#インスタハウス)
※2参照:Olapic『Facebook & Instagram Advertising With UGC : A Practitioner’s Guide』
 
alide_Ide.jpg
井出修二朗
アライドアーキテクツ株式会社 Promotion本部 本部長。Web制作会社を経て2009年よりアライドアーキテクツ入社。ソーシャルメディア黎明期より、SNSとWebを活用したマーケティング支援におけるセールス・コンサルティングに従事するとともに、Twitter・Instagramプロモーションツール「echoes」やハッシュタグキュレーションツール「Social-IN」といった自社プロダクトを立ち上げ、統括。
 LOGOA_4C_White.png
アライドアーキテクツ・グループ
アライドアーキテクツ・グループは、日本、アジア、欧米に7つの拠点を持つマーケティングDX支援企業です。2005年の創業以来累計6,000社以上への支援を経て得られた豊富な実績・知見を活用し、自社で開発・提供するSaaSプロダクトやSNS活用、デジタル人材などによって企業のマーケティングDXを支援しています。https://www.aainc.co.jp/

この記事を見た人はこんな記事も見ています