ユーザー調査から把握するInstagramの利用実態 事例詳細|つなweB

いま、企業におけるInstagram活用に注目が集まっています。そこで、本連載ではアライドアーキテクツ株式会社にて、SNSプロモーション支援領域の統括およびInstagramプロモーションツール「echoes on Instagram」のプロダクトを開発を行っている井出修二朗さんに、「Instagramで認知・集客・販促効果を高める方法」について解説していただきます。

 

Instagramは月間アクティブユーザー数3,300万人を突破し、LINEやTwitterと並んで利用者の多いSNSです。企業のマーケティングにおける期待も高く、企業Instagramアカウントの運営やInstagram上でプロモーションを実施する企業は増加傾向にあります。一方で、Instagramアカウントを立ち上げたものの、運用や施策に課題を感じられている企業も多く、「適切な目標が設定できない」「手間を掛けても成果が見えないといったケースも多く聞かれます。

アライドアーキテクツでは、定期的にInstagramのアクティブユーザーに対してアンケート調査を実施し、ユーザーの利用実態を把握しています。今回はその中から、「Instagram新機能の利用状況」「Instagramでユーザーが興味関心を持つ商品・サービス」「Instagram企業アカウントへの関与状況」に焦点を当てて、最新のInstagram利用実態について解説します。

 

1.機能ごとの利用状況を把握して最適な施策を選択しよう

Instagramアプリには様々な機能があり、アプリを開いて最初に表示される「投稿(フィード)」や、上部に表示される「ストーリーズ」に加え、「IGTV動画」「リール」「ライブ」「まとめ」など、新しい機能が矢継ぎ早に追加されています。

しかしながら、必ずしもInstagram利用者がすべての新機能を認知して使いこなしている訳ではありません。アライドアーキテクツが2020年12月に行った調査では、64.1%のユーザーが「投稿(フィード)をしたことがある」と回答しましたが、例えば「リール」において投稿の経験者は22%に留まり、「機能を知らない・分からない」と答えたユーザーも42.3%に上りました。このように、企業がInstagramを活用する際は、その機能を使用したコンテンツが表示される「面」の投稿者・閲覧者が、どの程度見込めるかを意識する必要があります。

 

図1 ストーリーズ

 

図2 IGTV

 

図3 ライブ

 

図4 リール

 

図05 まとめ
図01~05はInstagramの各機能について、投稿したことがある人を「投稿経験者」、投稿の経験がなく閲覧のみの人を「閲覧経験者」、機能自体を知らない人を「機能を知らない」と区分けした結果

 

また、Instagramでは商品カタログを掲載し自社ECサイトへ誘導できる「Instagramショップ」や、投稿に商品をタグ付けし、Instagramショップの商品ページに誘導する「ショッピングタグ」「ショッピングスタンプ」といった機能が提供されています。これらの機能利用については、図06のような結果となっています。

 

図6

「Instagramショップ」を認知しているユーザーは全体の63.3%と高まっているものの、「Instagramショップを利用して商品を購入した経験がある」ユーザーは21.1%に留まっています。Instagramショップを活用する企業は増加傾向にありますが、まだ成果を感じられていない企業も多く、このようなユーザー利用実態がその要因のひとつになっていると考えられます。

Instagramを運営するFacebook社によると、「利用者がショッピングの楽しさを体験できる場を提供したい」との考えの元、ショップ機能をはじめとする様々な機能の開発に注力する方針を明らかにしており(※1)、今後の利用拡大が期待されます。

 

2. Instagramでユーザーが興味関心を持つ商品・サービスとは

Instagramはビジュアルでのコミュニケーションが主体のため、いわゆる「インスタ映えする」コンテンツとの相性が良く、企業活用においても同様のコンテンツが求められています。

また、「日本では世界平均より5倍もハッシュタグ検索が行われている(※2)」というデータがあるように、興味関心のあるトピックをInstagram上で積極的に調べるユーザーも多いため、検索の受け皿になるような情報を複数枚の写真や動画内に盛り込んだ「役に立つ」投稿が増えています。そのため企業アカウントの投稿においても、情報として価値の高いコンテンツが求められるようになってきています。

「Instagram上の企業アカウントや投稿を見たことをきっかけに、購入・申込した商品・サービス」についての調査では、「食品(30.8%)」「菓子(28.2%)」「化粧品(21.4%)」「ファッション用品(21.3%)」「飲料・酒類(19.2%)」「雑貨・家具・インテリア用品(17.1%)」といった項目が高い購入経験率となりました(図07)。

これらの商品やサービスを扱う業種では、例えば食品であればレシピや、ファッション用品であればコーディネートなど、「インスタ映えする」「役に立つ」コンテンツがつくりやすく、ユーザーの興味関心を満たしやすいと言えます。

 

図7

もちろん、上記以外の商品・サービスにおいても「インスタ映えする」「役に立つ」コンテンツを多数保有・制作している企業であればInstagram活用の効果は高いと考えられますが、現在は上記の業界において、先行して活用が進んでいる状況と捉えられます。

なお、弊社では「Instagram上で購買経験のあるアクティブユーザー」に絞った調査を実施しました。さらに詳しい情報はこちらよりご確認ください。

 

3. ユーザーへの正しいアプローチ方法を見つけよう

Instagramユーザーは、企業アカウントに対して非常にアクティブです。例えば、企業アカウント投稿への「いいね!」をした経験率が全体の61%に上るなど、他のSNSよりもエンゲージメント(=投稿へのいいね!やコメント、保存といった反応)率が高い傾向にあります(図08)。そのため、企業は商品やサービスの情報を一方的に発信するだけではなく、自社の発信に対して意見を募ったり、自社商品を推奨してくれるアンバサダーを集めて対話するといった双方向のコミュニケーションを図りやすいのがInstagram活用の大きなメリットになります。

 

図8

 

また、Instagramでは、ハッシュタグ付きの写真投稿に代表される「UGC(User Generated Contents:ユーザーによって生成されたコンテンツ)」によって、商品やサービスをユーザーに広めてもらうことが可能です。企業や商品に関するハッシュタグ投稿を経験したことがあるユーザーは、全体の37.7%に上っています(図09)。

 

 
図9

 

さらに、65%もの生活者が「商品購入前にSNSでUGCを探している」(※3)というデータもあることから、生活者は自らハッシュタグを使ってInstagramをはじめとするSNSで商品やサービスを検索したり、また実際にそのクチコミを見て購入を決定したりしていると考えられます。

このように、いかに自社の商品やサービスの魅力を伝えてくれるUGCを増やしていくかも、企業がInstagramを活用するためのポイントとなります。

ここまで企業がInstagramを活用する際に知っておきたいポイントを、ユーザーの利用実態データに沿って解説を行いました。Instagramユーザーは企業アカウントに対して非常にアクティブであり、様々な商品・サービスにおいて、企業アカウントの投稿やUGCを購買のきっかけとしていることが見て取れたのではないでしょうか。

一方でInstagramには、様々な新規機能やそれに合わせた活用方法が次々に生まれています。そのため企業の活用においては、自社のターゲット顧客となるユーザーの利用傾向をしっかりと把握したた上で、マーケティングに活用することをおすすめします。

次回は、そんなInstagramの「企業活用におけるメリットと課題」について、さらに詳しく解説します。

 

【出典】

※01
Instagram、短尺動画のリールでもショッピングを楽しめるように
https://about.fb.com/ja/news/2020/12/shopping_in_reels/
※02
House of Instagram Japan 2020
https://hoijapan2020p.splashthat.com/
※03
Olapic『Facebook & Instagram Advertising With UGC : A Practitioner’s Guide』
https://service.aainc.co.jp/product/echoes-instagram/blog/instagram-user-report-2021

 

井出修二朗
アライドアーキテクツ株式会社 Promotion本部 本部長。Web制作会社を経て2009年よりアライドアーキテクツ入社。ソーシャルメディア黎明期より、SNSとWebを活用したマーケティング支援におけるセールス・コンサルティングに従事するとともに、Twitter・Instagramプロモーションツール「echoes」やハッシュタグキュレーションツール「Social-IN」といった自社プロダクトを立ち上げ、統括。
アライドアーキテクツ・グループ
アライドアーキテクツ・グループは、日本、アジア、欧米に7つの拠点を持つマーケティングDX支援企業です。2005年の創業以来累計6,000社以上への支援を経て得られた豊富な実績・知見を活用し、自社で開発・提供するSaaSプロダクトやSNS活用、デジタル人材などによって企業のマーケティングDXを支援しています。https://www.aainc.co.jp/

 

Text:井出修二朗