アンブッシュ・マーケティング ~便乗はどこまで許されるのか~|WD ONLINE

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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2021年4月号

アンブッシュ・マーケティング ~便乗はどこまで許されるのか~ ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

新型コロナウイルスの感染拡大による不況の中、映画『鬼滅の刃』が記録的なヒットとなり、コンビニなどでも正式にライセンスを受けたコラボ商品が溢れています。その一方で、島根県の「奥出雲たたらと刀剣館」で展示されている、たたら製鉄という伝統的な製鉄方法で生産された玉鋼を原材料にした黒い日本刀が、主人公の炭治郎の使う「日輪刀」に似ていると話題になるなど、作品と無関係なものまでが人気を集めています。 

これは意図せずに作品の人気が波及した例ですが、世の中には正式なライセンスを受けずにわざと作品の人気に便乗する手法があります。『鬼滅の刃』に登場するキャラクターをイメージさせる緑色のちくわや、市松模様の柄を使ったマスクなどが例です。これらは明らかに作品の人気に便乗しているのですが、ライセンスを受けているわけではありません。こういう手法をアンブッシュ・マーケティング(便乗商法)といいます。

アンブッシュ・マーケティングで問題になるのは商標、不正競争防止法、そして著作権です。まず商標ですが、例えば、『鬼滅の刃』という作品名、『禰豆子』などのキャラクター名は既に商標登録されていますし、市松模様などの着物の柄についても、まだ登録はされていませんが、登録のための出願がなされています。登録された商標はライセンスを受けないと使用できません。ですからアンブッシュ・マーケッティングでは商標そのものを使わず、「鬼滅の刃『風』」や、「禰豆子『になれる』」といった表現が使われます。こういう使い方であれば商標権の侵害にはなりません。不正競争防止法についても同様です。

著作権については、作品のタイトルや登場人物の名前には著作権がありませんので、これらを使っても著作権の侵害にはなりません。ただ、キャラクターのビジュアルには著作権が成立していますので、イラストなどを使うと著作権侵害になります。市松模様などの着物の柄は、古典的なもので著作権は既に切れていますから使っても著作権侵害にはなりません。

このように商標、不正競争防止法や著作権に注意し、権利が認められている言葉やビジュアルを直接使わなければ、アンブッシュ・マーケッティングであっても違法ではないわけです。

ただ、法律上は問題なくても、社会的に問題になったケースはあります。例えば、2015年、変更前の東京五輪エンブレムに似せたPOP(右図)を使ったところ、組織委員会からクレームが入り、使用をやめたことがありました。法律上は特に問題ないのですが、五輪やW杯などの世界レベルの大会は重要な収入源であるスポンサーの利益を重視して、アンブッシュ・マーケッティングに対してクレームを入れる傾向があるので、十分注意が必要です。

「うどんすき」「巨峰」など、社会で一般的に使われているような商標は、商標としての役割が希釈化し、一般名称化していると言える
Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

掲載号

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“新常態”時代のWebサイト運用には「多様なコンテンツ管理」と「セキュリティ」の意識が不可欠!

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2021年に突入しても、未だ先行き不透明な“新常態”の現在。
直接的な接触を極力避けることを推奨される「非接触」前提の中、顧客とのタッチポイントとして
Webサイトの役割はますます高まってきました。

ひとえにWebサイトと言っても、PC、スマホはもちろん、さまざまなデバイスで情報を発信できるようになり、
コンテンツもテキストベースだけでなく動画やライブ配信など、さまざまな手段が主流になってきています。

そう言った中、コンテンツ管理システム(CMS)の重要度はますます高まります。
さまざまな手段で情報を受け取る顧客の状況に合わせて適切な情報を届け、それを管理するには、
CMSを上手に活用することが不可欠です。

また、
「Webサイトに異常が発生したけど、在宅勤務なので社内サーバにあるCMSが触れない!」
などなど。テレワークという新しい働き方は、新たな課題も生み出しています。

さらに今後、個人情報保護の意識も国を挙げて高まり、
一度不祥事を起こすと会社の存続に関わるほどのダメージを受ける可能性も大いに高まってきました。
社内サーバにアップデートしていないCMSを置きっ放しにして許される状況ではもはやありません。
早急に「セキュリティ」について整備しないといけない状況です。


本特集では、そんな「非接触時代のWebビジネス」を効果的に、そして課題も解決しつつ運用するための
“新常態”におけるCMS運用の必須知識を、「選択・導入・運用」「セキュリティ」「リモート体制」「動画」の側面から
見ていきましょう。

さらに、この“新常態”時代に安価・安心・安全な商用CMSも多々紹介しています。
みなさんの会社やお仕事の状況&条件に適したCMSを検討してみてください!


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●個人情報保護法改正の衝撃! CMSの最新セキュリティ
●動画・ウェビナーはCMSで効果的に仕掛けよう
など

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