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Web Designing 2021年2月号

【コラム】デザイナーとして越境すること 今号のお題 [Web制作]

さまざまな方々に、それぞれの立場から綴ってもらうこのコラム。ひとつの「お題」をもとに書き下ろされた文章からは、日々の仕事だけでなく、その人柄までもが垣間見えてきます。

現在働いている株式会社KOSでは、デザイナーという職種の社員は私一人です。WebサイトやSNSまわりのクリエイティブをつくるほか、代表の頭の中のイメージを具現化・言語化したり、カメラマンさん、コーダーさんなどのアサインや認識合わせ、スケジュール共有などを含めた進行管理など、さまざまな役割を担っています。

以前、制作会社のデザイナーとして勤めていた時は、アートディレクターやディレクターの先輩がいたので、クライアントとの打ち合せや撮影についていくことはあっても、メインで発言することはほとんどなく、どちらかというと「手を動かす」ことに時間を割くのがほとんどでした。「いずれはアートディレクターのように上流工程から関わりたい」と、当時の入社面接で話していたのですが、デザイナーになって半年で現在の会社に転職するチャンスをいただき、ひよっこデザイナーのまま、ほとんど独り立ちすることになります。

まず一人であれこれやってみて、デザイン力以上に、ヒアリングやディレクションの力が足りないことに気づきました。そして、できないことに対しては想像以上に時間がかかるもので、結果的に「今日、デザインソフトを一度も立ち上げていない…」という日もしばしば。「自分にとってデザイナーとしての価値ってなんだろう」と自身に問いかけてみたり、活躍する同世代のデザイナーを見て焦ったり、ヒアリング力やディレクション力が足りないことと連動して、アウトプットも納得いくものができなかったり、と悩むことも多々ありました。

また、最終的には制作物にアウトプットするのがデザイナーの仕事ですが、見てもらう人に対して、どんなクリエイティブだったら届くだろうか、行動してくれるだろうか、ワクワクしてくれるだろうか…ということを考えながら動いていると、どうしても制作の範疇を超える作業も発生します。そんな時は、不慣れながらも、サービスの設計や進行管理など、これまでやったことのない仕事に取り組むこともありました。

そうした経験で感じたのは、「手を動かすことに限らず、相手のことを考え続けられる人こそが、これからのデザイナー像である」ということ。そのためには、前述したヒアリングやディレクションをはじめ、単に制作物を形にするだけに留まらないスキルも必要です。

最近は、デザイナーという職業の中にも、Web・グラフィックのみならず、さまざまなジャンルが存在し、マーケティングや経営といったレイヤーの視点を持つ方もいます。それぞれの得意分野があるのは専門職ならでは。ただ、届けたい相手にとって最適な解を出すためには、時には自身の専門分野だけに囚われず、「越境」することも必要なはずです。私も一人のデザイナーとして、越境することに挑戦し続けるデザイナーでありたいと思っています。

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2020年3月にリリースしたタレントオーディション「KOS,inc AUDITION 2020」。まさに、サイト制作だけでなく、オーディション本体のスケジュール設定、カメラマンのアサインも含め、デザイナーの職域を越えて包括的に関わった例です。 https://kospro.jp/audition/
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ナビゲーター:小島香澄
株式会社KOS デザイナー。ハウスメーカーに新卒入社、資料のデザインが褒められたのをきっかけに、デザイナーとしてWeb制作会社に転職。日々の学習記録をSNSで発信していると、“モテクリエイター”として活動するゆうこす(菅本裕子)の目に留まり、2019年より現職。ゆうこすの手がけるサービスやプロダクトのデザイン全般を担当。 Twitter:@_mi_su_ka_

掲載号

Web Designing 2021年2月号

Web Designing 2021年2月号

2020年12月18日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

独自アンケートで浮き彫りにする、「新常態」時代のWebビジネスの「新実態」

サンプルデータはこちらから

Web Designing 12月号(12月18日発売)特集

[非接触時代]のIT業界の今後はどうなる?
Web制作のリアル2021

年初には誰もが予想し得なかった事態になった2020年。全ての企業において例外なく、ビジネスも働き方も従来の常識が通用しなくなったと言っても過言ではありません。

リアルでの接触がしづらくなった代わりにオンラインでできるマーケティング活動が存在感が増していく中、企業のビジネススタイルは明らかに変わってきました。では現在、この状況下でも成果をあげている企業はどんな取り組みをしはじめ、どんなビジネス潮流が起きているのでしょうか。

それを知る鍵は、さまざまな企業規模、業種のデジタル施策の相談を受けソリューションを提供し続けているWeb制作会社の動向にあります。今、彼らの元にはどんな相談が舞い込み、どんな近未来のビジョンを持っているのでしょうか。

Web Designing 2021年2月号では、同誌編集部による完全オリジナルなアンケートによる大規模な調査により、2021年のWebビジネス、デジタル施策の潮流、そしてWithコロナ下での働き方まで紐解いていきます。

●様変わりしたビジネスの潮流とクライアントの悩みとその解決策
●リモートワークはWebビジネスをどう変えた?
●Withコロナ下で求められるスキルや人材とは?
●今後習得したいスキルは?
●もっとも利用されているマーケティングツールは?
●もっとも利用されているコミュニケーションツールは?
●もっとも利用されているUIデザインツールは?
●リモートワークで課題だと思っていることは?

など

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