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データのミカタ Web Designing 2021年2月号

Web制作者の働く場はWeb制作業界だけではない データアナリスト萩原雅之氏による統計コラム

2020年11月に公表された内閣府「経済財政白書」の一節に、日本のデジタル化が遅れているのは「IT人材がIT業界に偏っているから」という指摘がある。白書によれば、日本はIT人材の7割以上がIT業界に在籍しているが、欧米では4割前後だ。

ここでのIT人材にはソフトウェア・システム開発やサーバ運用の技術者、インターネット・Web関連サービスも含まれる。発注側となる非IT企業の人材・能力不足を感じる読者も多いだろう。知識不足による丸投げや、不適切な指示・仕様で受注側が困惑するのはよく聞く話である。

これはIT業界に限らず、日本のアウトソーシング業界共通の課題だ。日本は新卒一括採用が基本で、自分のやりたい仕事に就けるとは限らない。エンジニアになりたければシステムベンダーに入る方が、マーケティングをやりたい人は消費財メーカーではなく広告代理店やマーケティング支援会社に入る方が確実だ。エンジニアやマーケターも企業都合の定期異動があり、その分野のプロが育ちにくい事情がある。

一方、欧米企業では仕事に人をつける「ジョブ型雇用」が一般的で、その分野のスキルを持った人がベンダー以外でも選択しやすい。システム開発もマーケティング施策も、発注する側に優秀な人材がいると、概してプロジェクトはスムーズに進み、成果物のクオリティも上がるものだ。

Web制作に携わる技術者やデザイナーも、制作会社での受託業務のほか、非IT企業の発注側としても力を発揮できる。知識と技術を持ったプロフェッショナルが発注側で活躍するのは、業界のためにも必要だ。Web制作会社側もうかうかしていられない。人材流動化における最大のライバルが他の制作会社ではなく、顧客企業かもしれないのだ。

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2020年11月6日に内閣府が発表。欧米各国と比較すると、IT人材がIT産業に従事する日本の割合の高さが際立っている
出典:「令和2年度 年次経済財政報告」(214ページ)
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je20/pdf/p04023.pdf
Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/

掲載号

Web Designing 2021年2月号

Web Designing 2021年2月号

2020年12月18日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

独自アンケートで浮き彫りにする、「新常態」時代のWebビジネスの「新実態」

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Web Designing 12月号(12月18日発売)特集

[非接触時代]のIT業界の今後はどうなる?
Web制作のリアル2021

年初には誰もが予想し得なかった事態になった2020年。全ての企業において例外なく、ビジネスも働き方も従来の常識が通用しなくなったと言っても過言ではありません。

リアルでの接触がしづらくなった代わりにオンラインでできるマーケティング活動が存在感が増していく中、企業のビジネススタイルは明らかに変わってきました。では現在、この状況下でも成果をあげている企業はどんな取り組みをしはじめ、どんなビジネス潮流が起きているのでしょうか。

それを知る鍵は、さまざまな企業規模、業種のデジタル施策の相談を受けソリューションを提供し続けているWeb制作会社の動向にあります。今、彼らの元にはどんな相談が舞い込み、どんな近未来のビジョンを持っているのでしょうか。

Web Designing 2021年2月号では、同誌編集部による完全オリジナルなアンケートによる大規模な調査により、2021年のWebビジネス、デジタル施策の潮流、そしてWithコロナ下での働き方まで紐解いていきます。

●様変わりしたビジネスの潮流とクライアントの悩みとその解決策
●リモートワークはWebビジネスをどう変えた?
●Withコロナ下で求められるスキルや人材とは?
●今後習得したいスキルは?
●もっとも利用されているマーケティングツールは?
●もっとも利用されているコミュニケーションツールは?
●もっとも利用されているUIデザインツールは?
●リモートワークで課題だと思っていることは?

など

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