リアルタイムでモノを売るライブコマースの 魅力と実力|WD ONLINE

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リアルタイムでモノを売るライブコマースの 魅力と実力 緊急事態宣言下で培われたオンラインの接客ノウハウを事例で学ぶ

新型感染症の自粛ムードの中、3月以降一気にバブルのように盛り上がったのがライブコマースです。ただ単に動画映像を見ているだけから、コミュニケーションから購入へのアクションが出てきたことでライブコマースは店舗側、ユーザー側ともに進化していると言えます。その最新情報をご紹介します。

緊急事態はライブコマースの土壌をつくった

今、コロナ禍でリアル対面販売の意義が問われています。店舗で店員と顧客がコミュニケーションを密に取れるというリアルならではの大きなメリットが失われ、InstagramやYouTubeなどSNSのライブ機能を介しリアルタイムで顧客とのコミュニケーションを図ろうとする動きが活発化しています。いわゆる「ライブコマース」です。オンライン上でリアルと同じかそれ以上の接客をする、この状況で生き残るにはそれをいかに早く実現できるかが鍵になります。

この緊急事態宣言以前からなにかと話題にはなっていましたが、そこまで活性化することはありませんでした。理由の1つとして、「ライブコマースに出演する店員や店長がライブ動画に慣れていない」というのがありました。メルマガでは何度も推敲して配信するのに対して、ライブコマースではリアルタイムで動画配信されてしまうため、「失敗は許されない」と妙に気負って緊張したり、チャットで届く質問にリアルタイムで回答できなかったりと、今までのECの運営とはずいぶん違っていたのです。

しかし、状況は強制的に一変します。リアル店舗での接客ができなくなるという未曾有の事態により、「慣れていない」などと言っていられなくなりました。これは販売業以外の企業でも同様ですが、業務遂行のために新しいツールを使わざるを得なくなったというわけです。ただ、実際にやってみると「意外といけるんじゃない?」と思った方は多いのではないでしょうか。

それは顧客側も同様で、テレワークやオンラインセミナーなどを実際に体験することで十分コミュニケーションが取れることを認識でき、オンラインでやりとりするノウハウが蓄積されてきました。さらに、コメントを入れたりチャットをすると、ライブで出演している店員や店長がそれに対してリアルで回答してくれることで、コミュニケーションが取れるんだという喜びが響きました。顧客側のデジタルリテラシーが上がったことで誹謗中傷や迷惑発言も少なくなり、ライブコマース開催側にも安心感が出て、信頼できるライブコマース環境ができてきたのです。

店舗側、顧客側双方のライブコマースの経験が豊富になるにつれて、さらに両者の信頼度は高まると考えられます。

注目を浴びるInstagramの2つの機能

そんな状況に一番ハマったSNSが、Instagramです。すでに多くのユーザー数を抱え、さらにストーリーズやIGTVといった気軽に動画およびライブ配信が投稿できる機能を揃えていたInstagramは、わざわざ自店舗のプラットフォームに送客しなくてもInstagram経由で販売できるため、店舗には非常に使いやすいプラットフォームです。

Instagramストーリーズは通常のフィード投稿ではできなかったURLも入れることができますし、ユーザーの反応もわかりやすいです。動画やリアルタイムな情報を重要視しているためプロモーションが掛けやすくなっています。

一方のIGTVはYouTubeと違ったパーソナルな感じ、親しみを感じることができます。これがライブコマースにつながっていることもわかってきます。ライブコマースをこれからやってみたいのならば親しみのある動画が参考になります。

次ページでは、そんな状況下でInstagramのサービスを利用している事例をはじめ、ライブコマースによって成果をあげている3つの事例を紹介します。

Instagramストーリーズ
Instagramの投稿とは別に短時間の動画や写真の投稿、ライブ配信ができる機能。ユーザーにはすっかり定着した感があります。動画の加工はストーリーズの機能で文字入れや手書き、動く(GIF)スタンプ、BGMも付けられます。最大の特徴は24時間で自動消滅することですが、アーカイブで保存することができ、「ハイライト」として過去の動画を公開することもできます。画像はP117で紹介するCohinaさんの例
IGTV
最大60分の動画をInstagramのフィードやストーリーに投稿できる機能。Instagramアカウントのフォロワーに公開できます。長尺の動画を配信できるだけでなく、InstagramではできなかったURLのリンクを貼り付けることができ、自社サイトやSNSに誘導することができます。また、ライブ配信機能「インスタライブ」で配信した動画を保存し、IGTVへ投稿も可能です