2020.09.10
それイイね!”が集まるSNS運用の [インスタ動画]術 企業アカウント「中の人」養成講座
企業のSNS運用は、戦略を欠いたままでは担当者の負荷が高まり、投稿ネタの枯渇やトンマナを逸脱してトラブルが生じるリスクも。今回は運用体制のつくり方から省力化のアイデアについて考えていきます。
Illustration:シライカズアキ
【SNS担当 仲野ヒトミ】
とある中堅メーカーに勤務する仲野さんは、ある日SNSアカウントの担当に指名されました。企業アカウントの「中の人」としての活動をウォッチしていきます。
ユーザー層が多様化し男性向け商材にも有用
Instagramといえば、比較的若い女性ユーザーが多く、オシャレでキラキラした写真が多く投稿されているというイメージがあるかもしれません。しかし、今はそれだけではないようです。ソーシャルメディアマーケティングを研究し、企業などの課題解決を支援する(株)ガイアックスの重枝義樹さんと吉田朋子さんは、こう話します。
「女性ユーザーによるオシャレな投稿が多いという傾向は今も引き続きありますが、近年はユーザー層がより多様化しています。男性ユーザーも多く、年齢層も広がっています。そのため、自動車メーカーやスポーツメーカーなど男性ユーザーの多い商材を持つ企業でもInstagramが活用されるようになってきました。特に最近は、在宅ワークになり家にいる時間が長くなった方が増えた影響で、男性をターゲットとした料理コンテンツや調理家電などが盛況のようです」
同社が推算したInstagramユーザーの年代別分布を見ると、10代から60代まで幅広く、男性ユーザーも4割~5割程度と多くなっています。いまや業種を問わず、企業にとってマーケティングに有用なプラットフォームになっているといえます。
投稿される写真に関しても、“映える”ものばかりではなくなっているそうです。
「インフォグラフィックスや文字主体のものなど、“読むInstagram”が増えてきました。また、ダイエット記録や家計簿帳としてなど、使われ方も多様化しています」
TwitterやFacebookといった他のSNSとは、どのような違いがあるのでしょうか。Instagramの特徴を伺いました。
「Instagramの公式アプリでは、DMで共有する機能はあるものの、リポスト機能がありません。情報が場違いに拡散されることが少なく、ほとんどがフォロワーかタグから検索されるか、発見タブというレコメンド機能で表示されるかという経路で閲覧されることになるので、“同じ物が好き同志で繋がる”という特徴があります。そのため炎上しづらく、場が荒れることを心配する企業も安心して使えます」
フィードは世界観を重視ハマらない投稿はストーリーに
Instagramには、「フィード」「ストーリー」「ライブ」「IGTV」と4つの投稿場所がありま
す。これも他のSNSにはない特徴です。それ
ぞれ、どのように使い分ければよいのでしょうか。まずは、ユーザーのタイムライン上に
表示されるフィードについて伺いました。
「フィードの投稿は、ブランドのカタログやお店の正面玄関のようなものです。“世界観を統一し、壊さない”ことが大切です。動画より静止画の方が見られやすい傾向があるので、複数枚投稿にして1枚目は静止画、2枚目以降に動画を置くというような使い方をするのもよいでしょう」
そうはいっても、セールの告知などブランディング以外で使いたいこともあるでしょう。その場合は、24時間で投稿が消えるストーリーが有用です(アーカイブを残すこともできます)。
「フィードが“表の顔”だとしたら、ストーリーはそこにハマらないセールのお知らせや舞台裏を見せる“裏の顔”として利用されています。たとえば、人気のアイス店のスタッフが上手な盛り付けを練習する光景や、普段は表に出てこない雑誌の編集スタッフによる対談といった内容もあります。投稿を最後まで見てもらうための工夫としては、再生された瞬間に心を掴む内容にし、縦長動画で画面占有率を高くして目にとまりやすくすることがポイントです」