【チーム力を高めるアイデア_02】Lunch&Learn 事例詳細|つなweB

1. ランチタイムのコミュニケーションが生むいい結果

業務のメリハリをつけコミュニケーションを増やす

リモートワークを本格的に開始して、ハイマネージャー(株)で真っ先に挙がった課題は、仕事のメリハリが付きにくくなったことでした。オフィスにいるときのように、疲れたら社内のメンバーとコミュニケーションをとって一息ついて…といった気分転換がしにくい。かつ、ひとりだと延々に、そして黙々と作業を進めてしまい、「孤独感」が日ごと増加していきます。この課題を解決するべく、まずは業務のメリハリをつけるために「朝会・夕会」をルール化しました。

「リモートワークだと、通勤に費やす時間までもが仕事をする時間になりがちです。メンバーによっては、『いつパソコンの前から離れようかと、迷ってしまう』という声も。そこで、始業と終業をきちんと区切り、メリハリをつけましょうということになりました」

これによって、一定の効果があったという五十嵐さん。しかし、朝会や夕会という形式だと、どうしても業務の一環であるという感覚が拭えず、社内メンバーからも「業務以外の場所で、もっと全員が一体感を持ってつながる感じが欲しいね」「オフィスで勤務しているときのように、業務をストップしてゆっくりと考える時間をもっと取った方が良いね」という声が挙がり始めていました。そこで五十嵐さんが着目したのが、欧米の多くの企業で取り入れられているという「Lunch and Learn」。これは、社員間のコミュニケーションを活性化することを目的に、欧米で根付いている企業文化。

「『食べながら学ぶ』というその名の通り、休憩時間を有効活用して、ランチを食べながらみんなで軽く学び合おうというものです。チームメンバーと話し合い、学び合いすることができたら、孤独感の軽減に役立つのではないかと考えています」

 

「Lunch and Learn」継続させるコツとは?

「Lunch and Learn」のいいところは、導入に際して事前に準備するものが一切ないこと。話し合い学び合うお題さえあれば、思い立ったらすぐに始めることができます。

「ランチの時間を活用しているものなので、参加を強制しないことが楽しく文化として定着させるポイントだと思います。その日のお昼にたまたま空いている人が集まって開催するくらいのゆるさが良いのかもしれません。私たちは、週に3回くらい開催しています。あくまでも休憩時間なので、時間も長すぎない方が良いようです。いろいろ試した結果、30分程度が会話も弾み、『楽しかったね』という印象を残しやすいと思います」

 またお題を設定する人は持ち回り制にすることで、各人の趣味や興味に関するものなどジャンルを問わずに出てくるようになります。テーマ設定に気合いを込めすぎて、凝った内容にしないことも、次のお題担当に上手につなぐコツです。

「ご時世柄、健康系のお題は盛り上がりました。みんなで動画を見ながら筋トレをしたり、コンビニエンスストアの食事を健康的に食べる方法について話したり。どうしてもお題が見つからない場合は、『〇〇さんについて聞きたいことは?』など、他の人からのリクエストを募ったこともありました」

 画面を共有するツールも、使い慣れたものでOK。ハイマネージャーでは、自社の雑談ツール『RemoRoom』を利用。「弊社ツールの10分間の雑談が基本機能なのですが、Lunch & Learnの時は10分の制限を解除して使用しています。ツールを用いて気軽に会話をしていると、『リモートワークに必要なツールはどんなものだろうね』などディスカッションに発展することもあります」と五十嵐さん。「Lunch and Learn」のディスカッションから業務につながりそうなアイデアがでることも少なくありません。

「敢えて業務をストップする時間を設けることで、社員間のコミュニケーションと、ディスカッションをしながら考える時間が確実に増えていることが、いい効果が出始めている証として実感しています。しかし、こういうことは、強制感を出してしまうと途端につまらなくなり、往々にして継続しません。楽しく文化として定着させるためにも、自分たちのスタイルに合わせて自由に取り組んでみてはいかがでしょうか」

『RemoRoom』を使って行う「Lunch and Learn」の様子
オフィスで仕事をしているときに、ふと起こる雑談やたばこ休憩、ちょっとした買い物に要する時間をイメージして開発された、「10分で消える音声雑談サービス『RemoRoom』」。「10分」の制限が基本機能だが、アジャイルウェアでは制限を外して30分間の「Lunch and Learn」にも活用。 https://remote.himanager.me ※2020年内は、時間無制限のサービスを無料で開放

 

 

教えてくれたのは…五十嵐未来さん
ハイマネージャー株式会社 取締役COO 組織のエンゲージメント向上をサポートするパーソナライズド・マネジメントサービス「HiManager」、音声雑談サービス「RemoRoom」を提供。 https://peerly.jp/
八波志保(Playce)
※Web Designing 2020年8月号(2020年6月18日発売)掲載記事を転載

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