【雑談でチーム強化_01】リモートの孤独感は「Remo」で解決! 事例詳細|つなweB

煩わしく非効率なテキストでの会話を打破したい!

IT企業では多い、フルフレックス制の勤務体制。オフィスに出社をする「通常勤務」であれば、自分の裁量で効率的に仕事を進めることができ、とても便利です。しかし、全社員が完全リモートワークの環境下では、時としてそれが仇になることも。

(株)アジャイルウェアでも、「いつ、誰が稼働しているのかわかりづらいことが課題感でした」と、代表取締役CEO川端光義さんは言います。加えて、全社員完全リモートワークがスタートした当初の2020年2月下旬、Slackをメインのコミュニケーションツールにしていたことにも、社内各所から「やりにくさ」を訴える声が漏れるようになりました。

「コミュニケーションを取りたい相手にSlackで投げかけるのですが、ミーティングが重なっていたり作業に集中していたりすると、いつまで経っても応答してくれない。例えば営業がエンジニアに少し聞きたいことがありSlackで呼び掛けたけど、返事があった頃にはすでに解決済みだったということもありました。また、オフィスに出社して仕事をしているときであれば、ちょっとした時間にパッと声をかけて気軽に相談などをするのは簡単なことです。しかし、チャットツールであるSlackだけの運用では、相手がいつ稼働して、いつすきま時間があるのかわからない。ちょっとしたコミュニケーションのたびに、わざわざミーティングをセッティングしなければならないのは、面倒でした」

そして、テキストコミュニケーションに要する時間の長さも課題でした。オフィスで仕事していたときにはすぐに声をかけてできていた軽微な報連相も、リモートワークでは基本はSlack。細かなニュアンスを伝えるためにチャットを繰り返していたら、会話だったら3分間で終わることも、文字にすると10分費やした…と、コミュニケーションに対する効率が悪くなっていました。「この煩わしさや非効率さを何とかしたい」と、アジャイルウェアで導入したのが、仮想オフィスシステム「Remo」でした。

01 仮想オフィスツール「Remo」とは
「Remo Virtual Office」は、Remo社が有償で提供するバーチャルオフィス空間。7つの会議室にセミナールーム、レセプションなどが並び、メンバーは部屋ごとに、「チャット」「音声」「映像」などの方法で自由にコミュニケーションすることができる。自分のアイコンに、「Available」(在席で話しかけてもOK)、「Away」(離席中)、「Do not disturb」(在席だが話しかけるな)といった自身のステータスを表示。視覚的にメンバーの状況を確認することができる https://remo.co/

 

スタッフの状態が一目瞭然でわかる「Remo」

オフィス全体を眺めるようなUIになっているRemoの大きな特徴は、小部屋で仕切られており、小部屋間の移動はダブルクリックするだけと簡単なこと。そして、同じテーブルに着いている人同士は、気軽に声を掛け合えることです。また、アイコンで自分の存在や居場所、稼働状況などを視覚的に示すことができます。

「アジャイルウェアの仮想オフィス上では、チームごとに部屋を分けていて、社員それぞれ自分の席(スペース)をつくりました。仮想オフィス運用のルールは、?出社したらまず、Remo内の自分の席に着く。?稼働中は、マイクはオフに、スピーカーはオンになっている状態にする、とごく簡単なものです。同じスペース内にいるチームメンバーはその場で自由に会話をすることができるので、話しかけたいと思ったら、マイクをオンにして声を掛ければ、オフィスで前の席に座っている人に話しかけるのと同じ感覚で気軽に会話することができます。また、個人を示すアイコンの枠色で、今オンライン状態なのか、離席中なのか、集中タイムなのかが識別できるようになっています。これによって、『今話しかけても大丈夫かな? 集中して作業していたら邪魔にならないかな』などと遠慮することなく、コミュニケーションを始められるようになりました」

各メンバーの動きが可視化できる環境に、広報・光岡響子さんは、「ミーティングや作業が終わると、メンバーが部屋から出るので終了時が一目瞭然です。すきま時間をキャッチしにくいCEOやマネージャーも、部屋から出るのと同時に『今いいですか!』と声をかけやすくなりました。チーター並みのスピードで、CEOのすきま時間を狙うメンバーもいます(笑)」と言います。

また、話しかけるタイミングの見える化が実現したことで、Remo導入前には3割ほど増加していたSlackの社内書き込み数が約25%も減。コミュニケーションの効率化を図ることができたのは、大きな成果だったと言えます。

02 Slackの書き込み数グラフ
リモートワーク開始直後は急増したSlackの書き込み数が、Remo導入後、ほぼ在宅勤務開始前までの数値に戻り、テキストコミュニケーションの煩わしさが軽減した

 

タイムリーな会話を実現ストレスフリーに

他部署と連携しながら時間的な制約がある仕事を進める場面が多い光岡さんにとって、Remoの仮想オフィスの魅力は、話しかけたい相手をクリックひとつで気軽に呼び出せること。

「マーケティング担当者と一緒に仕事をすることが多く、急ぎの作業が立て込んでいるときにはちょっとしたタイムラグも惜しい。そんなときには、ミーティングスペース(小部屋)にマーケティング担当者とともに入り、音声を常時オンにして会話をしながら作業を進めています」

会社に出社していた時には同じフロアで仕事をしていたので、自分の席から「あれってどうなりましたっけ?」など声をかけながらタイムリーに解決。自然と耳に入る他の人が会話を聞いて状況確認していた環境を、リモートワークでも再現することができ、メンタル的にも余裕を生んだと光岡さんは言います。

「リモートワークが始まった当初は、場の一体感を前提としたコミュニケーションが一切できず、わざわざテキストでやりとりをしていました。テキストコミュニケーションに費やす時間が増える一方で、自分の思いとは違うニュアンスで発言を受け止められることもあり、お互い無駄な作業をしていたなと感じていたのが何よりのストレスでしたね。リモートワークが導入された直後は、ノイローゼになるのでは…と思うほどストレスフルな状態でした。今では、人との接点も感じることができ、コミュニケーションもスムーズになったので、ストレスなく快適に業務を進められています」(光岡さん)

さらに円滑にリモートワークを進めるため、ツールの使い分けもルール化。Remoはお互いの存在を感じる仮想オフィスと会議の場として、音声コミュニケーションのために利用すると決めました。

Remoにもチャット機能はあるけれど、部屋を出てしまうと消えてしまうので、会議中に共有したいリンク情報の共有などをする程度。一方Slackは、業務上残しておきたい記録や、その場にいない人にも見てもらいたいものに使っているそうです。ただしSlackも会話が流れてしまうので、会議の議事録には「GIJI」を活用して管理・共有しているのだそうです。

03 部屋のイメージと画面・動作説明
業種ごとにエリアを決め、普段は自分の席にアイコンを置いている。打ち合わせなど会話をしたいときには、アイコン上で右クリック。「Knock the door」or「Get ○○」で話しかけたい人をいつでも呼び出せる

 

「ラジオ体操」でリアルオフィス以上の一体感を実現

「集合がかけやすい」「みんなのアイコンが集まってくるのが目に見えてわかる」という、Remoの感覚的・視覚的特徴を活かし、アジャイルウェアでほぼ毎日15時に行っているのが「ラジオ体操」。「オフィス勤務でもなかなか味わえなかった一体感」を感じられ、在宅勤務の孤独感も緩和されたと言います。

「ある種謎の一体感なのですが、その理由は“ラジオ体操”にあるのかもしれません。世代を超えて誰もが知る、国民的な馴染みの体操ですからね。体が覚えているので、意識を集中しなくても勝手に体が動きます。同じことをしているという一体感と、なんとなく会話が広がる心の余裕がいい気分転換になっています。リモートワーク環境下での運動不足も解消されるし、思わぬ副産物が多いものとなりました」(光岡さん)

“思わぬ副産物”としては、Remoでないとできないコミュニケーションも楽しんでいるという光岡さん。

「Remoの小部屋では、その場にいる人にしか会話を聞かれることはありません。オフィスだと注意をしていても、会話が漏れて聞こえてしまいますが、Remoにはその心配がありません。この環境下で、人に聞かれたくない悩みや、鬱憤を発散しやすくなりました。『そんなこと気にしなくていいんだよ』と励ましてもらうなど、話を聞いてもらうことでストレスが解消されています」(光岡さん)

Remoの導入で、視覚的にリアルオフィスの感覚を再現したアジャイルウェア。ここで実現したのは、いらぬ気づかいが必要ない、カジュアルなコミュニケーションでした。また、「リモートワークが始まってからも、多く部署が関わるプロジェクトも最速で実現することができています。この環境下で、『Lychee Redmine』の無料プラン新設という大きな決断もできました」という川端さん。仮想オフィスの導入をはじめ、”リモートワークでも生産性を落とさない工夫”をすることで、スピーディな業務が可能になっているようです。

04 一体感を生んだアジャイルウェアの取り組み例(1)ラジオ体操の様子
もともとは腰痛対策として始まったラジオ体操。体を動かしながらも会話が広がり、今は雑談の場としての側面も
04 一体感を生んだアジャイルウェアの取り組み例(2)Snap Cameraを使用したリモート歓迎会
全社員完全リモートワークになってから、4名の新入社員を迎えたアジャイルウェア。歓迎会もRemo上で開催。顔出しのハードルを少しでも下げるため、WebカメラにエフェクトをかけられるSnap Cameraを使うなどしている

 

教えてくれたのは…川端 光義さん
代表取締役CEO
光岡 響子さん
広報
八波志保(Playce)
※Web Designing 2020年8月号(2020年6月18日発売)掲載記事を転載

関連記事