DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれて久しくなります。だからこそ、注目技術やデジタル関連ワードへの理解を深めておきたいところです。ここでは、オープンソースデータを中心に4つの代表的なキーワード(「AI」「IoT」「5G」「クラウド」)に関する調査データを掲載。以下の「活用目的」データ(DATA0)も参照しながら、各技術の全体像や利用状況を把握しましょう。
AI - 国内利用率が1割強。世界と大きな差
AIについて、世界と日本国内それぞれの利用状況を俯瞰できるデータを用意。日本は世界上位国の動きから離されぎみです。
日本のAI事情はまだまだ?
時代の変遷とともに技術の進化を遂げ、AI市場が右肩上がりの状況にあることは間違いありません。しかし視点を世界に向けて、世界主要国に比べると、日本はまだまだ遅れをとっています。
ここでは、AIの導入状況を、世界→日本(DATA1、DATA2)、大企業→中小企業(DATA3)、現場での使いどころ(DATA4)という観点で整理できるデータを掲載。特にAIの使い方を調査したDATA4を通じて、自社事業だと考えられる活用場面を想定しつつ、業務改善だけでなく、マーケティング上の成果を引き出すツールとしてAIの活用場面を生み出せるかどうかです。
AI活用後に何をどう導きたいのかまでを描けていることが、AIの導入状況の今後に関わってくるでしょう。AIを導入し活用する側だけでなく、AIを提供する側にも求められる課題と言えます。
IoT - 米国・中国と大きく離された世界3位
IoTは、AIに比べると活用が進んでいますが、米中の背中は遠く、国内活用率は3割未満。しかし、伸びしろは十分です。
AIよりは浸透が進むIoT。「業務改善」で活用する
「モノのインターネット」とも訳されるIoTは、ここ数年で生活シーンに関連する家電や文房具、自動車、ヘルスケアなどの製品が浸透してきています。IoTという意識を持つことなく、暮らしに溶け込む製品が出てきている点やAIよりも一足先に注目されていたことからも、世界の中の位置づけ(DATA1)や国内状況(DATA2)の両面で、AIよりIoTは利活用されている状況が確認できます。
活用状況の業種別では、製造業が約3割でトップを占有(DATA3)。労働力人口減少や作業の効率化、人為的なミスの防止策などが要因と推察されます。活用の中身は、「データを業務改善に活用」が46.7%(DATA4)。AIと同様、IoTを導入して使いこなせるかどうか、活用による成果に基づきさらに先の展開を描けているかが、今後の浸透や利活用の広がりに関わるでしょう。
5G - 各業種で注目。消費者の興味喚起がカギ
高速・大容量の次世代通信規格「5G」のサービスが3月25日から開始。各社の利用意向調査を中心に整理しましょう。
5Gは今後の広がりを見据えた準備を
日本では2020年3月から5G(第5世代移動通信)のサービスが開始。今後、回線数の増加とともに、高速・大容量、低遅延、多接続という5Gの特徴を活かした革新的なサービスの提供が期待されます(DATA1)。5Gの発展は、ネットワーク連携とリアルタイム分析/検知などを要するIoT系サービスをますます拡張させるなど、さまざまな業種のデジタル環境の進化にもつながります(DATA2)。
現状の調査データの多くは主に利用意向が大半で、5Gと言えば、「スマートフォン/携帯電話」や「ノートパソコン」が浮かびやすい状況です(DATA3)。5Gの認知に関する調査を参照すると、5Gという名前のみの認知層だと、興味を持つ割合が5割を切るため(DATA4)、先手を打って5Gの利点がわかりやすく伝わるソリューションを提供できるかが、普及スピードを左右するでしょう。
クラウド - なぜ利用率が6割弱に止まるのか?
「クラウド」は、本誌読者にはなじみが強いサービスですが、基礎データを参照すると、利用していない層の多さも気になります
クラウドが「利用されていない」理由を探る
「クラウド」にまつわるデータは、総務省「通信利用動向調査」にさまざまなデータが数多く掲載されています。ここでは、その中でも踏まえておくべきデータを抽出しました。産業を分けず全体の割合でクラウドの利用率を見ると58.3%(DATA1)。利用の中身(DATA2)や利用による効果の側面(DATA3)についても、客観的な状況を把握しておきましょう。
今回掲載していませんが、ガートナーが発表した2019年の調査では、日本のクラウド支出の状況を「抵抗国」と評価。抵抗国とは、「米国より7年以上遅れている」ことを意味した言葉で、6割未満の国内利用状況が世界規模だと不十分であることを指摘されたような形に。クラウド利用をしていない企業の理由(DATA4)を参考に、利用を阻む要因への解消策を打ち出したいところです。