2019.12.26
変化に適応するプロジェクトの進め方 会議を軸にドライブさせる“プロジェクトスプリント”
プロジェクトマネジメントにおいて、スケジュールと作業状況を調整する進行管理は、大事な業務の一つ。コパイロツトでは、定例会議を軸としたプロジェクトマネジメントのメソッドを体系化し、プロジェクトを取り巻く状況の変化にも素早く対応しつつスムーズな進行を実現しているそうです。そのノウハウをうかがいました。
1· 定例会議で、プロジェクトをグレードアップ!
変化に対応しゴールを目指すプロジェクトマネジメントとは?
コパイロツトでは、「プロジェクト」をWebサイト・プロダクト・サービスなどをつくり出すために限られた期間や予算で実施する業務、「プロジェクトマネジメント」をその制約の中でバランスを取る業務と考えています。近年、プロジェクトをベースにした働き方やテクノロジーの進歩により、プロジェクトの規模や参加するメンバーの人数が大きく変わりました。そのためプロジェクトも、最初に提案した企画やスケジュールを最後まで変更なく進めるということは少なくなったと感じます。状況の変化が速くなり、軌道修正や多様なメンバーと意見をすりあわせる場を持つ必要が出てきたことで、定例会議を活用しながらプロジェクトマネジメントをスムーズに進められないかと試行錯誤してきました。そうして体系化したのが、定例会議を中心に据えたプロジェクトマネジメントのメソッド「プロジェクトスプリント」です。
これは、プロジェクトに変化が起きることを前提として、定例会議で見直していく方法です。「クライアントの課題を解決する」ためには、最初に決めたことを信じ込んで実行するのがプロジェクトの本質的な成功とはいえません。進めていく中で新たに課題が出てきたり、最初に導き出したものよりもっといいゴールが見えてきたりする場合もあります。プロジェクトスプリントの一番の目的は、変化に柔軟に対応し、プロジェクトの成果をよりよいものにすることです。
具体的には、短いサイクルで定例会議を行い、その中で課題やタスクの洗い出し、その実行や検証を繰り返して進めていきます。定例会議は再構築の場として捉え、毎回ゴールのためにはこれでよいのかという見直しを行うことで、本質的な成功に近づけていきます。
プロジェクトの全体設計
プロジェクトがシンプルな施策で規模も小さく、状況が変わりにくくてゴールが明快なものであれば、一人のプロジェクトマネージャーで管理していくことが可能です。しかし、施策が複雑・多様で規模が大きく、状況が変わりやすくてゴールが不明瞭な場合は、プロジェクトの進行もチーム全体で対応していく方がよいでしょう。ここからご紹介していく方法はそうした場合に向いていますが、規模にあわせて必要なところを取り入れていけばよいでしょう。
まずは、現状の把握をします。探索から始めるべきなのか、いきなり要件定義から取りかかれるのかといったスタート地点を明らかにします。そして、ゴールにいたるまでのマイルストーンを設定します。マイルストーンごとの間の期間をフェーズと呼び、その期間内でどのくらいの頻度・開催時間で定例会議を行っていくか、最初のマイルストーンまでの定例会議ではどんなアジェンダを取り扱っていくのかといった、プロジェクトを設計していきます(01)。
ゴールは変化していく前提ですが、何も決めないままだと動き出せないので、その段階で判断できる仮説を組み立てていきます。以降は、毎回の定例会議で見直します。クライアントに不安を感じさせないためにも、プロジェクトの進め方やフェーズごとのゴール・成果物を明確にし、その上で変化していくことに理解・納得をしてもらうとよいでしょう。
会議の頻度や開催時間は、プロジェクトの納期やかかりそうな工数、クライアントの担当者が短いスパンで確認したい人かどうかなどの観点から判断していきます。経験上、週1回、1~2時間程度で始める場合が多いです。
プロジェクトを取り巻く状況に変化の兆しが見えてから関係各所に会議の打診をしていては、すぐに動けず手遅れになる場合もあり得ますが、定例会議を設定すると、想定外の変化や新たに見えてきた課題に対応しやすくなります。また、開催曜日や時間を固定することでプロジェクトメンバーのスケジュールを確保しやすくなり、作業のリズムも掴みやすくなります。

プロジェクトの最初に行う設計例。例えば半年後のゴールに向けて二つのマイルストーンがある場合、このように全体のマイルストーンの設計とフェーズ1の定例会議ではそれぞれ何を行うかという計画を立てていきます。これらの内容は定例会議ごとに見直し、必要に応じて変化していくことが前提です