2019.11.07
今すぐ試してみたい、CX強化の近道「AB3C分析」 消費者に「選ばれる」ためにすべきはコレだ!
「集客すれば売れる時代」が終わり、今求められているのは「選ばれるサイト」づくり。「選ばれるために顧客のことを知らなければ」と、さまざまなフレームワークを駆使してみても、いざサイト構築やコンテンツ制作にどう役立てていいのかわからない…ということもあると思います。そこで(一社)ウェブコンサルタント協会代表理事の権成俊さんに、CXを強化した選ばれるサイトづくりについて具体例で教えていただきました。
なぜ今、WebでもCXが必要なのか?
WebサイトにおけるCXを考える際に忘れてはいけないことは、消費者にとってWebサイトがどんな存在へと変化しているかということです。ひと昔前は、「とにかく検索して1位になれば売れる」という時代。差別化もイノベーションも必要ありませんでした。インターネットを使う消費者も今ほど多くなく、またそれ以上に事業者が少なかったからです。それが今や、消費者は何をするにしてもまずはWebで調べます。言ってみればWebサイトが消費者との最大の接点。「Web中心消費行動」ともいえる状況です。時代、環境の変化とともに競争が激化したなかで、消費者に「選ばれる」Webサイトであるためには、カスタマーズアイを持った戦略やWeb設計が重要だとわかります。では、選ばれるためには何をするべきか。答えはまず、「お客さまが何を求めているのか?」を知ることです。それを整理する有効なツールが「AB3C分析」なのです。
見誤っていない?「お客さまが何を求めているか」
CXを強化しようというとき、私たちはまず「誰に・何を」を戦略的に立案するツールである「AB3C分析」から着手します。ABとは、アドバンテージとベネフィット。つまり、差別的優位点と本質的な価値です。AB3C分析で整理して、クリエイティブに落とし込んでいくうえで重要になるのがこのベネフィット=「お客さまが求めていること」です。
例えば、「ビールが欲しい」と言っている人は、本質的にのどが渇いている人もいれば、単純にお酒が飲みたいという人もいる。のどが渇いている人は、ビールと一緒にジュースや水と比較して検討するだろうし、お酒を飲みたい人はウイスキーやワインと比較するでしょう。このように、シーンやその人が求めているものが違っていたら、比較する対象・競合も変わります。つい競合を同業他社に絞って比較しがちですが、それでは意味がない場合もあるということです。同じベネフィットを提供する他者と比較して、お客さまにとって好ましい違いは何か? つまり、差別的優位点とあわせて考えることが、クリエイティブにつなげる肝だといえます。
また、一般的には比較をするとき、「自分たちの方が美味しい」などの主観はNGとされています。しかしデザイン思考では、主観やあいまいなものも載せないと、なかなか差がつきません。そういう意味でも、私たちは抽象的なスペックも議論しながら、AB3C分析を行います。こうして戦略時点で出てきた抽象的な差別化要素は、そのままクリエイティブにつなげやすいこともメリットです。