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特別企画 Web Designing 2019年12月号

AIパーソナライズによるオンライン体験変革 世界的リゾート企業のWeb施策!

エンターテインメントを生業とする企業は、独自の世界観をつくり、顧客に特別な体験を提供するプロだといえるでしょう。米国のシーザーズ・エンターテイメント社も、世界8カ国で55のホテル、リゾート、カジノを運営していますが、最近ではオンラインの体験変革にも力を注いでいるといいます。同社が取り組むWeb施策について、バイス・プレジデントのジェフ・デコルテさんにお話をうかがってきました。

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シーザーズ・パレス
米国のラスベガス・ストリップ地区にある1966年開業の統合型リゾート。運営するシーザーズ・エンターテイメントの社名同様、古代ローマの政治家・カエサルの英語読みである「シーザー」を名前に冠しているように、ローマ帝国調の建物を特徴としている

 

─ オンラインでの顧客体験価値を向上させる取り組みは、どのような背景で始まったのでしょうか。

従来より、自社施設における魅力的な体験提供のために、顧客データの活用を実践してきました。ただ、Webサイトを通じたオンライン体験に関しては大きな課題がありました。ホテルWebサイトの訪問者には、宿泊先候補を比較検討している人もいれば、すでに予約後で旅行の計画を立てている人もいます。目的も属性もさまざまな人が訪れるにも関わらず、誰が見ても様変わりしないWebサイトを公開していたわけです。そこで、Adobe Experience CloudのAI技術を活用して、顧客やWebサイト来訪者の膨大なデータを活用し、訪問者に最適化された情報提供を試みました。

─ 具体的には、貴社サイトを訪れた人に対して、どういった形で情報を提供しているのでしょうか。

「弊社施設を利用したことのない人なのか、よく使ってくれている人なのか、一度は利用したもののリピートしてくれていない人なのか」「車で訪れる人なのか、飛行機で訪れる人なのか」「旅行前の人なのか、旅行中の人なのか」、さまざまな要素を解析し、訪問者のセグメント化を行います。複数の要素の組み合わせで判断する点がポイントで、趣味嗜好まで明らかにする高精度の解析を実現しています。そして、セグメントごとに最適化された情報を、訪問者ごとに出し分けるわけです。

例えば、宿泊施設のページにおいて、未予約の人に対しては各人にパーソナライズされたおすすめの客室情報が表示される一方で、予約してくれている人には、客室の情報ではなく施設周辺の観光情報などが趣味嗜好にあわせた形で提供されます。また、最新情報を伝えるスペースでは、ある人には「今夜のステージに出演する人の情報」、ある人には「レストランのメニューの情報」を表示し、各人の趣味嗜好にあわせた形で「行きたい」と思ってもらえるようにします。こうしたユーザー目線を取り入れた仕掛けがコンバージョン率を向上させ、事業にもいい影響を及ぼしてくれました。2018年より本格的に力を入れている取り組みですが、現時点では、一定の成果を収めていると自負しています。

─ 今後、デジタルマーケティング施策を、どう推進していきたいですか。

AI技術を時間帯別の客層分析などにも役立て、施設利用客の満足度向上を図りたいと考えています。すでに、Webサイトと同じ基盤を活用して施設内や屋外のサイネージで情報発信するなど、リアル空間も改めて意識しており、これからもオンライン・オフラインの両方から顧客体験の価値向上にアプローチしたいです。また、デジタルマーケティングに留まらない話ですと、新しい市場を開拓し続けたいと考えています。日本の方々にも統合型リゾート(IR)の魅力を知ってほしいですね。

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ジェフ・デコルテさん
シーザーズ・エンターテイメント社で、各ブランドのWebサイト構築・運営チームを率いるバイス・プレジデント。47リゾートの広告宣伝を主導する。1996年、航空会社・USエアウェイズ社でマーケティングのキャリアを始め、Webサイト、オンライン予約エンジン、デジタル広告などの立ち上げを支援。WebサービスのAOL社、地図出版のランドマクナリー社、クルーズ船運営のロイヤル・カリビアン・インターナショナル社でも同様のポジションを経験した。2017年より現職。
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シーザーズ・エンターテイメントWebサイト
同社運営施設の最新情報をチェックしたり、予約を行うことができるWebサイト。あらゆるリゾート施設の総合窓口だが、表示される文章や画像は、訪問者それぞれに最適化される

掲載号

Web Designing 2019年12月号

Web Designing 2019年12月号

2019年10月18日発売 本誌:1,560円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

デジタル顧客接点でのUXの積み重ねが勝利に導く

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真の「顧客の顔」がわかれば失敗しない!

Webビジネスの顧客体験(CX)改善テクニック


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最近、Webビジネス界隈では「顧客体験(CX)の重要性」がよく話題に挙がるようになってきました。

「お客様一人ひとりにあった情報やサービスを提供し、顧客満足度をあげる」




この顧客体験は企業の経営層だけの話ではなく、企業の課題を解決するパートナーである制作会社をはじめ、すべてのWebやアプリ制作者、ディレクター、プロデューサーが考えなければいけないものになっています。

とはいえ、顧客体験の提供? 個人単位で接客? どうやってやればいいの? 高価なツールが必要なんでしょ? と考えてしまう企業のWeb担当者もいれば、「ウチはWebサイト制作が生業だから関係ないでしょ」と思う制作サイドの方もいるかもしれません。

いえいえ、今やすべてのビジネスでWebやアプリなど「デジタルの顧客接点」なしでは成り立たない状況の中、その接点が顧客体験向上にはなくてはならない重要な役割になっているのです。

本特集では、顧客体験(CX)が注目される背景から紐解き、実務で実現させるために必要な考え方・進め方をステップバイステップで丁寧に解説します。

本特集を読めば、すべての作業でCXを頭に置いて取り組めるようになるはずです!




【こんな方におすすめ】
◎クライアントワークで上流から関わる制作会社のディレクター、デザイナー
・企業のIT推進担当、Web担当者、マーケター
・「Web」と聞くと何か全く新しい世界だと思ってしまう決裁者、経営層



【内容】
■全てのWeb・アプリ制作者がCXに注目しなければならない理由。
■UXとCXはどう違う?
■自社の顧客体験見直しチェック
■生活者目線で探したい最適なタッチポイント  
■ユーザーインタビュー 8つの鉄則を学べ!顧客への「聞き方」のコツ
■CX向上を実現していくための6つのステップ
■「それイイね!」が集まるSNS運用の顧客体験向上術
■効果を10倍にするWeb動画の顧客体験向上術

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