ワーケーションならでは?業務効率は度外視、導入の意義 事例詳細|つなweB

(1)現状とワーケーションを導入した理由は?

従業員は7名、拠点は東京・西五反田の1つで全員が勤務。ワーケーションは創業以来、3カ月に1回程度のペースで不定期開催。ワーケーション期間は1回あたり1泊2日か2泊3日です。目的は、「社員同士のコミュニケーションの活性化」と「リフレッシュ」です。これまで北海道、宮崎、奄美大島など全国幅広く出向いています。

弊社がWebシステム開発事業を主軸とするため、創業当時は全員がエンジニア。会社の制度として導入して、1日の大半を社内で過ごし、メリハリや刺激が少ない日々に変化を与える目的もあります。

エンジニアはPCがあれば場所を選ばず仕事ができるので、恒例行事として定着しています。参加のハードルを下げるように全員参加と決めています。

 

(2)移動先での活動を支える仕組みは?

社内の連絡はSlack、クライアントとはChatworkかメールを利用。基本はPCと電話があれば、どこにいても対応可能なため、通常どおりの開発業務を行っています。

ただし、移動中で業務が進まない時間帯はあるので、案件のスケジュール調整はワーケーション実施前にしっかりと行い、進捗状況次第では実施時期をずらします。営業や広報部門からの参加者は、ワーケーションのタイミングでやりやすい作業(資料の作り込み、プレスリリースの執筆など)を充てる工夫もしています。短期間ですので、期間中のWeb会議は設けていません。

 

(3)ワーケーションと地域貢献への考えについては?

社員のリフレッシュやコミュニケーション活性化が目的なので、ワーケーション自体は地域貢献につなげられていません。今後、地方での案件が増えた場合には、サテライトオフィスを検討する可能性はあります。

 

(4)ワーケーションのメリットや成果について

ワーケーションの内容を求人サイトWantedlyで定期的に紹介すると、仕事内容のほかに会社そのものに興味を持たれ、求人応募数が30%増加しました。

定性面では、一緒に行ったメンバー同士の仲が深まり、社内の風通しが改善。仕事以外に移動や寝食も共にし、チームとしての一体感強化につながっています。

サテライトオフィスですと固定費がかかりますが、時期や予算、場所をその都度決められる自由度もメリットです。

 

(5)ワーケーションを行ったからこその気づきや注意点は?

業務効率だけなら、環境が整った社内の方が生産性は高いです。宿泊先や交通手段の予約、案件のスケジュール調整など、事前準備に時間がかかり、地域によってはネット接続が安定しません。また、地方の穏やかな空気にのまれ過ぎると、仕事がはかどりません。参加者には自律的な動きが求められます。

希望や任意でやると、一部だけの社員の利用になりがちですので、社内行事として全員参加(最低、年に1回)としています。周りが忙しかろうと、後ろめたさを感じずに参加しやすい制度にした上でワーケーションを運用中です。

遠藤義浩
※Web Designing 2019年10月号(2019年8月17日発売)掲載記事を転載

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