WD Online

特集一覧 Web Designing 2019年10月号

制作会社が提供する「働き方」の選択肢 なぜ地方に働く場所を求め、地方で事業を起こしたか?

「働き方」に着目した時、都市部でない地方に活路を求めて、本社と異なる時間の流れの中で働く、という考え方があります。東京・代々木に本社を構え、徳島県や山口県にサテライトオフィスを持つ(株)モノサスは、どういう考えで地方に拠点を置くに至ったのでしょうか。同社代表取締役社長の林隆宏さんのもとを訪ねました。

b59989cbd69ff988e2c60a0de0d15740.jpg
(株)モノサス 代表取締役社長 林 隆宏さん
https://www.monosus.co.jp/

1. 働きやすくするための地方拠点

中長期的な経営を見据えて「働き方」が選ベる環境にしたい

モノサスは、2004年にWeb制作会社として創業以来、マーケティングコンサルティング事業やデジタル運用事業なども含めて総合的に事業を手がけ実績を重ねています。働き方や仕事のあり方に対して問題意識が高い会社としても知られ、その一端はモノサスのコーポレートサイトを見ると一目瞭然。それらの考えを背景にしたコンテンツが数多くサイト内で確認できるでしょう。

モノサスが興味深いのは、東京本社や大阪事務所といった都市部の拠点に加えて、徳島県神山町や山口県周防大島(すおうおおしま)にサテライトオフィスを構えていることです(タイに関連会社もあり)。国内の従業員数が60名弱と、Web業界では中堅以上の規模ながら、業種を問わず判断すると、決して大きな会社とは言えない規模での複数拠点。サテライトオフィスに限れば、過疎化に悩む地域での設置です。

首都圏とギャップがある地方に、しかも複数の拠点を持つ理由とは? 同社代表の林隆宏さんに聞くと「働き方や暮らし方の幸福度を高める一つの策として、東京以外の場所で仕事ができる可能性を模索したかった」と語ります。

「会社経営の観点で言うと、社員一人ひとりが納得の上で20年、30年と働き続けてほしい。一方でWeb業界自体は、一部を除くと高収入を得やすい業界とは言えない。働き方やお金の稼ぎ方について、もっと選択肢があっていいのでは? 東京で働くことが好きでなかったり、ガンガン働くことに疑問や不安のある人に、別の道も用意できる状況をつくりたいと考えた結果、地方への拠点づくりを意識し出しました」

探し始めた2012年は、まだ「地方」がキーワード化していない時代、と林さんは回想します。社内の反応は鈍く、拠点案の有力候補として視察を重ねた徳島県神山町の話をしても、社内は微妙な空気に…。一度は話が萎んだものの、翌年、家族も含めた神山移住希望者が1名現れ、それがサテライトオフィス開設にもつながっていきます。

 

違和感は徐々に消えてくる?大型モニタ越しでの会議

徳島県神山町は、人口5,000人を超える程度の小さな農村。神山ではNPO法人グリーンバレーが先頭に立って、仕事を持った状態での移住を促すワークインレジデンスやサテライトオフィスなどに力を入れています。林さんがこの地に惹かれたのは、観光客ではなくアーティストが来たくなる仕組みづくり(神山アーティスト・イン・レジデンス)に注力するなど、神山に関心を持ったアーティストや起業家、クリエイター自身の都合やペースで、「来たい時に来てほしい」というスタンスに共鳴したからでもあります。

現在の神山には、サテライトと名づけながら、常駐スタッフが数名いる完全なオフィスを設置。ここでのノウハウが手伝って、2017年には副社長の永井智子さんが実家のある山口県周防大島町への移住とともにサテライトオフィスを開設、これで地方に2拠点です。

地方への拠点や複数拠点に関心がある人たちほど気になるのは、日ごろの仕事の実態。その場所で大丈夫か、という本音をこぼす人もいるでしょう。

「もともと、手元にある業務を持ち込む形で考えていました。神山は古民家の貸し出しなど拠点づくりの整備がしやすく、周防大島は実家の一室があるので、あとは通信環境など、働くための最低限の環境整備ができればOK。問題は、相手が何をしているかが見えないことで、定期的にインターネット会議を行い、相手をリアルに感じる機会を設けています。最後は“慣れ”。各拠点に設置した大型モニタの画面越しでの対応に慣れてくれば、相手が離れた場所にいることも気にならなくなるでしょう」

007863f2b6a849dde957656822b659b4.jpg
スタートは「働き方」の選択肢づくり
モノサスが地方に拠点を置く流れは、地方ありき、テレワークありきではなく、「働き方」の選択肢をつくることがスタート。一度できると、他拠点の可能性を探る場合に横展開できるメリットがある

続きを読むためにはログインが必要です。
マイナビBOOKSの「WD Online全文購読サービス」(有料)をご利用ください。

マイナビBOOKSへの新規会員登録もこちらから。

定期購読者はオンライン版が読み放題 !!
雑誌『Web Designing』の定期講読者には、
WD Onlineの全文購読サービスを無料でご提供しています。
詳しくは「定期購読のご案内」をご覧ください。

掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

ローカルへの貢献でビジネスも広げよう

サンプルデータはこちらから

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

クリエイターのスキルが活かせる課題&チャンスが日本中にある!
地域活性化成功のポイント

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【複数拠点】【リモートワーク】
場所に縛られない働き方

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。



●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

■都市部の高齢化問題の先進事例はローカルにある

■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

■特別な理由がなくても全社員が選べる働き方として、テレワークを活用している




【スペシャル記事】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

より高速に、よりクリエイティブに!
共同制作の質を大きく向上させる新定番ツール

Adobe XDで進化するWeb・アプリの開発プロセス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この記事を見た人はこんな記事も見ています