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官民連携「豊岡DMO」で城崎温泉を世界に発信! 地元制作会社の挑戦

日本政府観光局の発表によると、2018年の訪日外国人数は前年比8.7%増の3,119万人で過去最高を記録しました。さらなる訪日外国人誘致に向け、官民連携で取り組むための新しい仕組みが「DMO」です。

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株式会社ハイファイブ
兵庫県豊岡市 デジタルコンテンツの企画・制作・運営 Webアプリケーションソフトウェア開発 藤原秀樹 (代表)谷垣精太 (マーケティング)平田メイゲン (デザイナー)
http://www.hi5.jp/

観光地域づくりの舵取り役「DMO」

観光庁は地方創生プロジェクトの柱のひとつとしてDMO登録制度を2015年11月に創立しました。DMOとは、「Destination Management Organization」の略で、地域にある観光資源に精通し、地域と共同し、観光地域づくり実現の戦略を考える官民連携の組織・法人を指します。海外ではすでに実績があり、インバウンド観光を考えるうえで注目されている仕組みです。このため「日本版DMO」とも呼ばれています。登録を受けた日本版DMOは、内閣府の地方創生推進交付金による支援の対象となります。

兵庫県豊岡市のDMOなどを手がけている(株)ハイファイブ。DMO形成の黎明期から地元密着の制作会社として協業してきた同社の代表藤原秀樹さん、マーケティングの谷垣精太さん、デザイナーの平田メイゲンさんに兵庫県豊岡市DMOの話をうかがいました。

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兵庫県豊岡市の位置とアクセス
兵庫県の日本海側に位置する豊岡市は、豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、出石町、但東町の6つの市町が合併してできた。人口の減少、高齢化問題を抱えるなか、城崎温泉をフックに外国人観光客の誘致に力を入れている

 

寄せ集めからスタートした官民連携の組織づくり

「寄せ集めからのスタートでした。インターネットの知識が全然ない人ばかり。加えて、行政には人事異動がある。人が変わってしまうのは大きな問題でした」と藤原さんは発足当時を振り返ります。

自治体の職員は人事ローテーションが当たり前。さらに民間企業、旅行会社や商社などからの出向者も、任期がきて戻ってしまったらノウハウがリセットされるリスクがありました。また、必ずしも専門的な人材が担当しているとはいえず、そんな中で官民が連携して観光振興に取り組む組織をつくらなければなりませんでした。

「インターネットやWebの知識はなくても例えば旅行会社で企画をやってきたとか、キャリアを積んできた人がさまざまいました。意見が交錯し、みんなの意見を取り入れるとぐちゃぐちゃになってしまうという事態が頻発してしまいました」と谷垣さんも続けます。

そこで組織のマネジメント課題解決のために責任者としてWebマスターを設置、豊岡市の大交流課の課長に就任してもらいました。

「DMOの仕事の中でもインバウンド向けWebサイト『Visit Kinosaki』の運営はもっとも重要です。『Visit Kinosaki』の制作費・運営費は豊岡市の大交流課から出ていて、責任者は豊岡市にもってもらおうということになりました。異動で人の入れ替わりがあっても大丈夫な組織にはなってきています」と藤原さん。

 

チームを成長させる組織づくり

役割分担や責任の範疇を明確化したことで組織も変わってきました。

「田舎なので人材が豊富にはいない。わかろうとしない人は放っておきますね。専門職ではなく、ピッチャーもライトもやるようなプレイヤーが、すごく短期間でたくさん勉強して育ってきています。優秀なチームになってきました」と藤原さん。現在は毎週、チーム全員がWebマスターのもとに集まって会議を行っています。

データアナリストが、Googleアナリティクス、Googleアドワーズからデータを抽出、スプレットシートに落とし込みグラフ化し、Webサイトの進捗や広告パフォーマンスなどを共有し問題をすべて洗い出しているといいます。

「専門職でない方に勉強してもらって、最初はアナリティクスのユーザー数を見るだけで精一杯だった人たちが、セグメントを使えるようになり、ついにマニアックなことまで質問するようなこともあるくらいになってきました」と、谷垣さんもチームの成長を感じています。毎週の会議は組織全体の底上げにつながる組織づくりにも役立っています。

 

「Visit Kinosaki」の認知拡大が目標

目標設定については、何回も議論を重ねたといいます。

「存在意義ってなんなんだろうとか、チームみんなで考えました。城崎温泉を世界中の人に知ってもらうのが我々の役目だということになりました」(藤原さん)

「認知度をどうやって指標にするのか、難しいんですが、指標としては、海外からの自然検索流入数をひとつの指標にしています。Googleトレンドの上昇数を高めていこうという活動をしています」(谷垣さん)

『Visit Kinosaki』では海外からのお客さんの認知拡大を目指しています。

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インバウンド観光客向けの施策
Visit Kinosaki
兵庫県豊岡市城崎温泉のWebサイト。宿泊予約ができるほか、観光コースの案内、城崎温泉の文化・歴史の特集など。英語とフランス語の多言語対応をしている

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掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。



●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

■都市部の高齢化問題の先進事例はローカルにある

■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

■特別な理由がなくても全社員が選べる働き方として、テレワークを活用している




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