2019.08.23
「プロボノ」で課題解決に協力 地域を知り、人とのつながりをつくる どうしたら地域に受け入れられる? その3
地方へ移住したい、別の地域とビジネスをしたいと考えたとき、最初にハードルとなるのはこれまで縁のなかった場所とのつながりをつくることです。いきなり移住やビジネスを考える前に、別の形で地域と関係を持ってみるのもひとつの方法かもしれません。そのひとつとして、目的を絞りながら自分のスキルで異なる領域に携わることができる「プロボノ」について、認定NPO法人サービスグラントの代表理事である嵯峨生馬さんにお話をうかがいました。
【サービスグラントに聞く】サービスグラントとは、ビジネススキルや専門知識を活かして、社会的課題解決に取り組む非営利組織(NPO・地域活動団体等)の基盤強化を支援する「プロジェクト型助成」です。「サービスグラント」は、お金ではなく、スキルや専門性によって非営利セクターを支援することを意味します。
https://www.servicegrant.or.jp/
プロボノでの経験は新しい領域への挑戦
違う環境に関わるプロボノで「越境」をはじめてみる
「プロボノ」とは、社会人が職業上の知識やスキルを活かして行うボランティア活動のことを言います。サービスグラントは、社会的課題の解決に取り組むNPOなどの組織基盤強化をサポートする、いわば「NPOを支援するNPO」として活動しており、その手段となっているのがプロボノです。
「サービスグラントでは各団体の活動全般を手伝うのではなく、情報発信や業務改善など、必要ではありながら自力でまかなうのが難しい、専門的なプログラムを提供しています。1件ごとに明確で具体的な目標を立て、それを実現するプロジェクトとしてプロボノワーカーの方々を組織化し、応援する仕組みを用意しています」
優れた活動をしている団体でも、十分な情報発信ができていないと支援や協力者を集められません。サービスグラントはそうした団体のWebサイト制作を手伝うところから活動を開始し、現在は業務フローの構築やマニュアルの作成、事業計画立案と、支援の幅を広げています。
サービスグラントの活動は主に拠点を持つ東京・大阪エリアが中心ですが、「ふるさとプロボノ」として、地方で活動するNPOや自治体のプロジェクトに取り組むこともあります。個人がいきなり移住したり、遠い地域の人と仕事をしたりするのはハードルが高く、難しい部分もあるでしょう。しかしプロボノなら、スキルを活かしながら日頃の仕事とはまったく違う領域の人たちとの関係づくりができます。
「ライフシフトやパラレルキャリアと言われるように、現在の生活と並行して異なる環境の感性を少しずつ養ってから、本格的に移る方法もあるでしょう。我々は移住のサポートは行っていませんが、プロボノもそうした越境のひとつの選択肢になると思います」