WD Online

特集一覧 Web Designing 2019年10月号

地域での「共働」で求められる外から目線と逆転の発想 どうしたら地域に受け入れられる? その2

人口の減少や都市部への集中を背景に、今後、都市部で活動する制作会社やクリエイターが、地方の仕事を受注するケースが増えていくことが予想されます。しかし、“地域の課題”がどんな構造で生み出されているのか、そこに外からやってきた人間としてどう関わればいいのかを理解していなければ、解決策を導き出すことはできません。ここでは地域の課題解決に携わっているクリエイティブ・エッジの村中克成さんにお話をうかがうことにしました。

【クリエイティブ・エッジに聞く】(株)クリエイティブ・エッジ。2017年8月に創業。福井県坂井市に本社を置く。「物語を発見することで地域を豊かにする会社」を実践、東京新宿にある拠点も活用し、日本中の地方の課題解決のためのコンサルティングやソリューション提案を行う http://www.creative-edge.co.jp/
Photo:森本隼人

SWOTを捨てて逆転の発想を持つ

日本の地方は第二、第三のシリコンバレーになる?

地域の活性化のためのコンサルティングなど、さまざまな事業を手がけるクリエイティブ・エッジは、東京の大手企業で働いていた村中克成さんが、地元である福井に戻って立ちあげた会社です。そもそも村中さんが地方の仕事に携わるようになったのには2つのきっかけがあったと言います。

「一つは90年代の終わりにシリコンバレーに出向して働いた経験です。世界のIT技術をリードするシリコンバレーに行ってみたら、“車で1時間も行けば海や山が楽しめる環境だからイノベーションが育つ”と自慢している。日本の田舎との差はどこにあるのだろうと気になりました。もう一つは地方創成の仕事に携わっていたときに、東京で熱く語られる地域振興策の多くが、実は地域から外に出る手助けをしているだけなんじゃないか、と思ったことです。東京の成功モデルをミニチュアにして地方にあてはめているだけ。まるで“地方”という単一のエリアがあるような発想はおかしいと感じたんです」

一石を投じられないか、考えた村中さんは移住促進や観光振興などで、地方の課題解決に携わるようになります。

 

なぜ「ゆるキャラ」や「B級グルメ」に行き着いてしまうのか

「地方」に大きな可能性を感じているという村中さんですが、一方で、そのポテンシャルをうまく発揮できない現実があると感じていると言います。

「例えば、それぞれの地域が自己アピールをするような事例を考えてみると、ゆるキャラにB級グルメ、そしてインスタスポットと、皆同じになってしまう。風土も土地がらも何もかも違うのに」

なぜだろうと考えて行くうちに「発想の仕方」そのものが悪いのではないかと思いつきます。

「マーケティングにも使われるSWOT分析に、皆が囚われているのではないかと」

SWOTから導かれる戦略では、S(強み)を重視し、W(弱み)を切り捨てがちですが、村中さんはそこに問題があると考えました。

「あまり議論されることはないのですが、地方で弱みとなる部分を切り捨てていったら残るものはだいたい同じです。山や海がすばらしい、水がきれい、お米がうまい…。これだとどうしも没個性、横並びになってしまう」

そこで村中さんは、W(弱み)をS(強み)にひっくり返して(=turn around)捉え直す「StW」(シチュー)という考え方を提唱します。

「地域の“弱み”は、実は土地固有のもので、個性的なものが多いんです。その部分をうまく強みに転換できれば他にない個性になると考えたのです」

発想のもとになったひとつが、クリエイティブ・エッジが映像制作などで協力した新潟県見附市の事例。市町村大合併の流れに乗らなかった見附市は、“小さな自治体”のまま取り残されてしまったのですが、それを強みと捉え直し、「コンパクトシティ」という施策に結びつけ、全国からの注目を浴びたのです。

続きを読むためにはログインが必要です。
マイナビBOOKSの「WD Online全文購読サービス」(有料)をご利用ください。

マイナビBOOKSへの新規会員登録もこちらから。

定期購読者はオンライン版が読み放題 !!
雑誌『Web Designing』の定期講読者には、
WD Onlineの全文購読サービスを無料でご提供しています。
詳しくは「定期購読のご案内」をご覧ください。

掲載号

Web Designing 2019年10月号

Web Designing 2019年10月号

2019年8月17日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

ローカルへの貢献でビジネスも広げよう

サンプルデータはこちらから

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

クリエイターのスキルが活かせる課題&チャンスが日本中にある!
地域活性化成功のポイント

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【複数拠点】【リモートワーク】
場所に縛られない働き方

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

高齢化や人口減少など、地方が抱える課題は山ほどあります。
一方で、インバウンドによる地域資源の再発見やITインフラの整備など、
ポジティブに捉えられる話題もあります。
もちろん地方の自治体・民間企業は今、大きな課題に対し真摯に取り組んでいますが、
WebをはじめとするITスキルのプロフェッショナルの力を必要としているのです!

WebやIT業界で活躍する制作会社をはじめとしたプロフェッショナルのみなさんは、
今そこにある地方の課題解決に多少なりとも貢献できるスキルを持っていると言えるでしょう。
また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。


また、ネットワーク技術の進化は働く場所の自由度を大きく広げました。
自分の理想とするライフスタイルに合わせて、住む場所をはじめ関わりを持つ地域の選択肢も増えています。
そこで、企業や制作会社の地方も視野に入れた働き方の可能性も追求していきます。



●地方が抱える課題とは
・制作会社の力が活きる地方のニーズ

●地方におけるWebビジネスのヒント
・制作会社の強みを活かす 考え方と実践
・今行われている地方でのビジネスとは?

●自治体側の受け入れ態勢や協業、助成金

●地方との繋がり方
・「移住」は手段の一つ。「住まなくても繋がる」関係性

●企業で考えるべき「働き方」
・地方志向の社員を活かすための制度導入
・サテライトオフィス、在宅リモートなど事例

【本誌内注目の一文】
■本当の魅力を発見して伝えていくためには、外から来たヨソモノ視点が必要

■まずは参加して、違う環境に関わってみよう

■都市部の高齢化問題の先進事例はローカルにある

■地域外の人材が地域づくりを担い変化を生み出す

■WebやITを生業とする方であれば、自身のスキルを活かす形でも関係人口になれます

■特別な理由がなくても全社員が選べる働き方として、テレワークを活用している




【スペシャル記事】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

より高速に、よりクリエイティブに!
共同制作の質を大きく向上させる新定番ツール

Adobe XDで進化するWeb・アプリの開発プロセス

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この記事を見た人はこんな記事も見ています