2019.08.21
「移住」のノウハウに学ぶ参入すべき地域の見つけ方 どうしたら地域に受け入れられる? その1
都市部を拠点にビジネスをしている人から見ると、地方には都市部にない魅力がたくさんあるように見えます。そこに視点を当てれば、ビジネスのチャンスがあるのではないかと思う人も少なくないでしょう。しかし実際にビジネスを展開するとなると、さまざまな問題が立ちはだかります。ここでは都市部在住者の地方移住や地元事業の継業をサポートし、地方移住の事情に詳しいNPO法人ふるさと回帰支援センターの嵩(かさみ)和雄さんに、最新の移住の状況を元に地域への溶け込み方についてうかがいました。
【NPO法人ふるさと回帰支援センターに聞く】NPO法人ふるさと回帰センターは、地方暮らしやIJUターン、地域との交流を深めたい人をサポートするために、東京・大阪を除く45道府県の自治体と連携して地域の情報を提供し、都市と農村の橋渡しによって地方の再生、地域活性化を目指している
http://www.furusatokaiki.net/
飛び込む前にまずは関係づくりを始めよう
移住の難しさとは?いきなり飛び込むその前に
東京・有楽町にある「ふるさと回帰支援センター」は、東京と大阪を除く45道府県の自治体と連携し、移住に関する情報提供を行っているNPO法人です。そこには日々、移住を考える人が訪れています。
ただし、同センターの副事務局長を務める嵩和雄さんは、「希望者すべてに移住を勧めるわけではない」と言います。
「例えば理想的な家を見つけたからといっても、地域との関わりがないままに入っていってしまうと、隣近所との付き合いがうまくいかずに苦労することになってしまいます。特に多いのは、地域の環境やその地区独自のルールに対する理解がないまま移住を進めてしまう例。そこで失敗すると、不幸な結果になりかねません」
地域には道や用水路を守るための草刈りだとか、地元の神社修繕のための積立制度といったような、土地の事情に根ざしたルールがあります。移住者もそうした輪に入る努力をしなければうまくいかないのです。
「移住というのは大変重い決断です。理想を実現したいという思いを抱くだけでなく、その前段階として交流事業に参加したり、短期のお試し移住を実践してみたりと、その地域への理解を深めておくことが必要なのです」