伝わる企画書にする文章&デザイン術 事例詳細|つなweB

誤解のない読みやすい文章に

文章がわかりづらかったり誤解を招いたりしてしまうと、せっかくの企画内容が伝わりづらくなってしまいます。特に気をつけたいのが、表記の揺れです。前のページと次のページで同じ事柄を指すのに、別の言葉を使っているということがよくあります。読み手は同じ話なのか、別のことを指しているのか疑問に感じ、理解を阻害してしまうので、必ず統一するようにしましょう(01)。

また、文章の主語と述語がきちんと対応していない、文章のねじれが起きていないかにも注意しましょう(02)。その他にも「~たり」のような曖昧な表現はあまり使わない、体言止めを多用しない、「~です、~ます調」か「~だ、~である調」に統一する、接続詞を極力使わない。文章を読点で繋いで長くせず、なるべく句点で区切って短くするといったことに気をつけると、すっきりわかりやすい文章になります。

 

視認しやすく読みやすい文字に

読みやすさには、文字サイズも大きく関係します。紙に印刷する場合は12ポイント以上、スライドに投影する資料の場合は18ポイント以上がオススメです。

フォントについては、ビジネス文書では明朝体かゴシック体が一般的です。視認性を重視するのであれば、ゴシック体がオススメです(03)。英数字だけ欧文フォントを適用することもありますが、作業効率を考えると、英数字も日本語フォントのまま使うことを推奨します。他にも、文字の配置や行間、段落の間隔などにも配慮します。

強調したい文字の装飾については、ストリームラインでは、文字サイズを大きくする、太字にする、有彩色にする、四角い背景を置いて文字を白抜きにするという4パターンしか使わないようにしています。下線や影がダメというわけではなく、装飾の種類を絞ってスッキリさせ、目立たせたい場所を明示することが狙いです(04)。

 

デザインで情報の関連・強弱を表現

企画書のレイアウトは、「余白を十分に取る」(05)、「オブジェクトを揃えて配置する」(07)、「内容が関連するものを近くに置く、グループ化する」(08)「同じパターンを繰りかえす」といった基本を押さえておくとよいでしょう。これらに準じてデザインしていくと、見た目が整い、内容の関連性や強弱が把握しやすくなり、情報設計という観点でもわかりやすい企画書になっていきます。

また、色もたくさん使い過ぎないようにしましょう(09)。企画書のようなビジネス文書は、基本的には有彩色はなるべく使わない方がよいです。無彩色以外にはメインカラー、サブカラー、目立たせるためのアクセントカラーの3色くらいにルール化するのがよいと思います。アクセントカラーを使うのも、全体の1割未満ほどに留めましょう。その方が、ここが大事なんだということが一目で伝わりやすくなります。

 

ルール化して効率的な作業を

デザインのルール化をすることは、誰がつくっても一定の品質を担保できるメリットとあわせて、企画書作成の業務効率化という観点でも有用です。企画書制作にたくさんの時間を使うよりも、企画内容に時間を使う方が有意義だと思います。また、多くの場合、個性的な企画書が求められることはないので、つどつど細部までデザインをつくり込む必要はありません。

例えば過去の似たような案件の企画書から一部を流用したいというときに、デザインなどが著しく違っていたら、それを今回の企画書にあわせて修正する手間がかかります。これはとても無駄な作業です。社内でテンプレートや見出しのパターン、画像やテキストボックスなどのモジュール集を用意しておくと、より業務効率が上がるでしょう。

 

教えてくれたのは…梶山洋二
(株)ストリームライン代表 大学卒業後、(株)キーエンスとECシステム開発のベンチャーを経て、(株)IMJモバイル(現アイ・エム・ジェイ)に入社。業務の中での豊富な資料作成経験を活かし、2016年に資料作成代行サービス「バーチャルプランナー」を提供する(株)ストリームラインを創業した。 https://www.stream-line.co.jp/
平田順子
※Web Designing 2019年6月号(2019年4月18日発売)掲載記事を転載

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