2019.05.23
真の課題解決を目指す[企画立案] 知っておくべき情報や理解すべき状況
クライアントからの与件やヒアリングをもとに企画を立ても、目先の課題解決にしかならない場合があります。根本的な要因から解決していくためには、さまざまな情報を把握し、クランアントの状況を理解する必要があります。
Illsutration:そねくみ
課題解決(1)5W1Hのヒアリング
課題を深掘りするためのヒアリング
クライアントからの情報収集としてまず大事なのは、ヒアリングです。売上を伸ばしたい、商品をプロモーションしたいといった要望を提示された際に、その背景にあるクライアントの考えや状況を詳しく知らないと、本質的な課題解決ができない場合があります。クライアントと制作側で本来見るべき問題や課題がズレてしまわないようにするためにも、本質を見極めたいところです。
コパイロツトでは、クライアントの要望をフラットにヒアリングして課題などを整理した次のステップとして、自社で作成したヒアリングシートに基づき「5W1H」で話を聞きます。そのシートでは企業戦略や経営、事業戦略、プロダクト、サービス、マーケティングなどさまざまな面について、幅広くリストアップしています。市場やトレンドの変化に対してクライアントはどう捉えて、何をしていこうと考えているのか。競合はどこで、どの部分にベンチマークを打っているのか。企業メッセージとしてどんなことを発信しているのか。他に公には出ていない情報はないのかなどを確認し、幅広く情報を収拾していきます。
というのも、例えばコーポレートサイト制作やサイトリニューアルの依頼が来た際、主に関連する情報は企業戦略や企業プロフィール、経営戦略などになるかと思います。しかし、コーポレートサイトを通してクライアントの課題を本質的に解決するためには、実は事業戦略を刷新する必要があったり、プロダクト開発が必要となったりする場合があるからです。

さまざまな場所から企業情報を集める
先述のヒアリングシートは40項目以上あり、すべて聞くのは時間もかかるので、クライアントが制作した資料や社内報からわかる部分はそれらを代用するケースも多いです。その際、第三者の視点が入ったものではなく、クライアント自身が発信していて、極力内容に加工が入っていないものが望ましいです。ときには、中期経営計画書やアニュアルレポート(統合報告書)なども見ます。
課題解決(2)多角的な情報収集
例えば新規事業のプロジェクトを手がける際には、クライアントの社長の言葉をチェックすることもあります。社内報や広報が発信しているもの、社長自身がSNSやブログなどで外に出している発言などから、新商品に関連するものはひととおり集めます。こうしたクライアント自身が発信しているメッセージを元に企画を立てていくと、クライアントの目標到達を支援するようなものになるので、企画が通りやすくなるように思います。社長メッセージや経営層の情報や指針が企画の元になっていれば、その目的を実行するための施策は否定されにくいものになるからです。また、こうした情報は、立案中の企画が、クライアントのためになっているかどうかを判断するためにも使います。
ユーザー像を理解する
クライアントの商品やサービスのターゲットとなるユーザー情報も大事な要素です。ユーザー像を掴むための方法として、ペルソナをつくることがあります。このとき、プロジェクトに関わるメンバー各人の中で、ペルソナがどういう人かというのを明確に描くことができるようになっていることが重要です。そのため、「ペルソナはこういう人だからきっとこう思うよね、こう行動するよね」というように、繰り返し話の中に登場させるようにし、刷り込みを行うことで、ユーザー視点を内部のメンバー全員がきちんと認識できるようにします。
スピーディーにその場で意識を合わせるためには、ぺルソナに合致するパブリックイメージの芸能人、 チームメンバーで合致する人をベースに議論を始めてもよいでしょう。
また、「リーン顧客開発」という、ペルソナに合致するユーザー5~10人くらいに15~30分ほどインタビューを行い、本当に想定しているユーザー層に合致しているのか、企画がユーザーニーズにマッチしているのかを判断し、改善を回していく手法を行うこともあります。メールや電話インタビューでも構いませんが、どういう質問をするかはとても大切です。
このように、企業や市場のデータといった定量的な情報とユーザー心理のような定性的な情報の両面から、ユーザーのニーズを紐解いていきます。
