企画を練るときに正しく課題を洗い出すメソッド 事例詳細|つなweB

課題の理解(1)用語を定義する

使う言葉を定義する

課題解決を行う上で、まず最初に押さえておきたいのが、ヒアリングやミーティング等で使用する言葉の定義です。「課題」や「問題」といった用語が、同じ社内の人であっても、それぞれ違った認識で使われていることが多々あります。「こういう課題がある」という話をしつつ、その内容が実は「対策」や「作業」のことであったり、「社員のモチベーションを上げるのが課題だ」と言いつつも、「あるべき姿」のことを指していたりという場合は少なくありません。

コパイロツトでは、それらを次のように定義しています。

• 問題(Issue) = 「現状」と「あるべき姿」のギャップ、ズレ
• 課題(Task) = 問題を解消するために解決すべきこと
• 対策(Solution) = 課題解決のための具体的な方法
• 作業(To Do) = 考えなくてもできるくらい明確になっているアクション

ここで大事なのは、どう定義するかということよりも、プロジェクトに関わるメンバーの言葉の捉え方がバラバラにならないようにすることです。コミュニケーションに齟齬が生じてしまいかねません。また、これらの定義を念頭に置いておくと、クライアントからのヒアリングの際に、情報整理をしやすくなります。

プロジェクトに関わるメンバー間で「課題」や「問題」などの言葉の認識を揃えておかないと、話が噛みあわなくなることがあります

 

 

課題の理解(2)情報を整理する

情報を分類し課題解決策を紐解

実際に課題を洗い出す際は、最初にクライアントのヒアリングを行います。このとき、バイアスをかけないためにも、まずは言葉の定義などを気にせず自由に話してもらうのがよいでしょう。

ヒアリング内容から、クライアントの現在の状況(現状)と、こうなりたいという理想の姿(あるべき姿)を抽出し、その間にあるギャップやズレ(問題)を見つけ出していきます。このとき、基本的には現状に何かよくないこと、不足していることがあるはずなので、なぜ現状のようになってしまったのかを、繰り返し掘り下げていくと、問題がより本質に近づいていきます。そして、問題を解消するために解決すべきこと(課題)、その課題を解決するための具体的な方法(対策)、対策を実行するうえでの具体的なアクション(作業)を紐解きます。

実際にどのように情報を整理し、解決策を紐解くかをまとめた例が、右ページの図になります。定期的なWebサイトリニューアルを望むクライアントを想定したものです。1年に1回程度のリニューアルを希望するけれども、そのためにはコストがかかりすぎるという「問題」を抱えています。ここでは、コストを抑えるための「課題」として、グループ各社でも活用できるようなサイトリニューアルの仕組みにする(各社バラバラでやるよりもコストが抑えられる)こと、CMSを構築してリニューアルを簡単に行えるようにすることの二つを挙げています。そして、それぞれの課題を解決するための「対策」、対策を実行するために行う具体的な「作業」を導き出しています。あくまで例なので分類をシンプルにしましたが、実際は対策や作業をさらに細かく分類して整理していきます。

普段手がけている案件で、クライアントに求められることはさまざまです。「何が自社の課題なのかというところから見つけ出してほしい」という場合もありますし、逆に「課題を吸い上げすぎて困っているので整理してほしい」という場合もあります。どんな案件においても、クライアントの悩みや疑念、不安などが解消される道筋をつくるというのが、制作側が企画立案で為すべきことではないかと思います。

クライアントからのヒアリング内容を整理し、「現状」や「あるべき姿」「問題」を見つけ、「課題」や「対策」「作業」などを紐解いていきます

 

 

課題の理解(3)課題を洗い出す

 

定期的にWebサイトのリニューアルを行いたいという与件を例に、具体的な「現状」「あるべき姿」「問題」「課題」「対策」「作業」を記入したものです。「コストがかかりすぎる」という問題に対して、「グループ各社で共用のシステムにすること」「CMSでサイト構築すること」を課題と定義し、コストを抑えた運用方法を紐解いています
平田順子
※Web Designing 2019年6月号(2019年4月18日発売)掲載記事を転載

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