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特集一覧 Web Designing 2019年6月号

社員のアイデアを形にする3ステップ 新規事業企画の立案・実現

新規事業を生み出すためには、社員一人ひとりのアイデアを活かす発想が求められる。ここでは、「アイデアの種集め」「選定して種まき」「事業化に向けて育成」という3ステップを追って、「新規事業を生み出す仕組みづくり」のヒントになる事例を紹介していく。

STEP 01:アイデアの種集め

提案が生まれる場をつくる<セラク・セラク情熱大学>

ITソリューション企業のセラクでは、セミナーやハッカソン・アイデアソンを定期開催する社内制度「セラク情熱大学」に約8年前から取り組んでいる。同社メディア戦略室の吉田空寛さんは、「IT企業では、独自のアイデアを持って入社してくる人が多いです。そうした社員の成長を促すとともに、アイデアを提案してもらえる場をつくることが企業の役割です」と話す。

セラク情熱大学はもともと、受託開発の案件が多かった同社で、それぞれのプロジェクト経験を自社サービスに還元させる狙いで始まった。経営戦略室の清水宏樹さんはこう話す。「開発、デザイン、組み込みなどに携わる多様な人材がいるので、交流を生み出せば、個々人の視野が広がると思いました」 2019年2月には18講座が開かれ、238名の社員が参加したという。「講座を開くのは各部署の社員です。企画者・参加者ともに、業務外でも積極的に関わってくれます。『自身の知見を会社にフィードバックすること』および『自身が成長すること』を評価する会社の風土も影響していると思います」(清水さん) いまや単なる社内制度にとどまらず、一部の講座はセラク社員でなくても参加可能。清水さんは最後に、「オープンイノベーションの時代ですので、社外とも積極的に交流したいです」と話してくれた。社員のインプット・アウトプットを促進する場の提供は、新規事業の企画を生み出す第一歩といえそうだ。

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情熱大学では、社員や外部講師を招き、セミナーやハッカソンなどを開催中。一部の講座は「みんなの情熱大学」として、社員以外にも開放されている

 

STEP 02:選定して種まき

ポイントを明確にして審査<ネットワンシステムズ・社内ベンチャー制度>

ネットワークインテグレーターのネットワンシステムズは、2018年夏に「社内ベンチャー制度」を開始。7~8月の応募受付、9月の1次審査をすでに終え、2019年4月に最終審査、6月以降に事業化が予定されている。

同社新規事業推進室の岸上要太さんは、「応募総数は18件。書類審査では、必須で書いてもらった『解決したい課題・解決策・提供価値』『収益性・拡張性』『実現可能性』『市場の大きさ』『情熱』の5項目をそれぞれ数値化して総合点を出し、上位9件が通過。1次審査は、約5分間のプレゼンを実施しました」と教えてくれた。1次審査の審査員には、取締役や各部署の部長など、ビジネス経験の豊富なマネジメント層を各方面から集め、審査の結果、1件のみが残った。

「ポイントになったのは、『実現可能性』と『情熱』の2点です」

実現可能性という点では、自由な発想を求めながらも、ビジネス展開のイメージがあるかを重視した。応募アイデアの中には、具体的な協業先まで構想に入っているものもあったという。情熱という点では、原体験が語られているかを重視した。「課題を捉える際に、『社会的に大きく報じられている』ではなく『体験をきっかけに問題意識を持っている』ほうが強い動機を感じられます」アイデアを選ぶ過程では、あらかじめ重視するポイントを明確にしたうえで審査したい。

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ネットワンシステムズの場合、アイデアを選ぶポイントは「実現可能性」と「情熱」だった。事前に何を重視するかはっきりさせておくことが重要だ

 

STEP 03:事業化に向けて育成

MVPで素早く仮説検証<TIS・U-Studio>

システムインテグレーターのTISは、以前より新規事業創出に注力しており、2019年2月、あらゆる組織・人材のアイデア実現を支援するスタートアップスタジオ「U-Studio」を開始した。

同社インキュベーションセンターの岡本奈央美さんは、「U-Studioでは、有望なアイデアに開発者やノウハウといったリソースを提供し、6カ月という期限を決めて具現化します」と話す。U-Studioに持ち込まれたアイデアは、「ブラッシュアップ」「マネタイズ方法も含めた仮説の構築」「仮説検証に必要なMVP(実用最小限の製品)設計・開発」「アイデアを試行するためのPoC(概念実証)」「PMF(マーケット適合)の見極め」という手順でサービス化を目指す。PoCで結果が思わしくなければ、再度ブラッシュアップまで戻る。

「さまざまな技術を有するエンジニアやデザイナーがチームを組むことで、MVPを最短工数で開発します」(岡本さん)

“実用最小限”を素早く形にすることで、仮説検証をスピーディに回すことが可能だ。そのためには開発力が鍵になる。

さらに、インキュベーションセンターの福井孝太郎さんは、「アイデアを出した当人の熱意が結局は大切です」と話す。アイデア実現のためには多くのメンバーが関わるが、主役はあくまで立案者。アイデア段階から関わっている立案者が、責任と情熱をもってチームを引っ張っていくのが理想かもしれない。

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U-Studioでは、5つのプロセスでアイデアの具現化を目指す。期間は6カ月で、検証結果によって、プロセスは複数回実施される

 

掲載号

Web Designing 2019年6月号

Web Designing 2019年6月号

2019年4月18日発売 本誌:1,530円(税込) / PDF版:1,200円(税込)

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「自信に満ちた企画であってもなぜだか通らなかった」「用意周到に進めたつもりでもコンセンサスが得られなかった」。企画に関しては、そういった類のことが社内外を問わずに起こりうるものです。考えが浅いのか、企画が甘いのか、それともコミュニケーションが足りないのか。いろいろと頭の中で考えを巡らせてみるもののその答えはよくわからないまま、なんてことも多いと思います。
とは言っても、「誰も思いつかないエッジのたった企画を!」「すごい発想力が必要!」と意気込む必要はありません。

企画(力)は、①発見(インプット) ②立案 ③提案(アウトプット)の3段階でそれぞれの手順を踏めば見違えるほどレベルアップするのです。

本特集では、大きく3つの段階で考えるべきこと、やるべきことをステップ化し、Webビジネスの現場で「仕事につながる=お金になる」企画力の鍛え方を、順を追ってチェックできるように構成しました。
スピード感がもっとも重要な特徴の1つであるWebビジネスで「より速く」「より確度高く」「より効果の出る」企画を実現させるノウハウを凝縮しています。

【イントロダクション】
なぜ、あいつの企画書は通るのか?
クライアントの心を鷲掴みにする、勝つための「企画術」


【インプット】
●クライアントは頼りたくなる本当の「インプット」とは?
●課題明確化のためのヒアリング術
●意見を引き出すためのブレストノウハウ術


【企画立案】
●やるべきことを見誤らないために、正しく課題を洗い出す
●速く繰り返すアジャイル開発で答えを探ろう
●クライアントの反応からわかる企画提案の落とし穴
●デザイナーが主導する、企画のあり方


【アウトプット】
●読み手目線で伝える企画書づくり
●「聞かせる」「見られる」を意識したプレゼン術
●佐藤ねじ式・「企画」の流儀


●戦国武将から学ぶ、ビジネスに活きる“11”の企画
●チームで企画を生み出すためのTips「12」

など


※記事内容は変更になる場合があります。


【こんな方にオススメ!】
■競合他社に先んじて有力な企画を打ち出していきたい企業担当者、プランナー
■Webのスピード感に乗って数々の課題解決を提案する制作会社ディレクター、アカウント、クリエイター
■上司やクライアントに「費用対効果に見合う」と判断(納得)させ予算を引き出すノウハウを知りたい
■面白い企画なのにうまく実現できない、企画はバッチリのはずだけど承認されない・・・
■企画を提案しても、クライアントに即決してもらえない&値引きなどの注文をつけられてしまう

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