2019.05.31
佐藤ねじ式・「企画」の流儀 アイデアマンは、企画をどう世に送り出している!?
数多くのおもしろデジタルコンテンツを制作し、華々しい受賞歴を持つ株式会社ブルーパドル代表・佐藤ねじさん。「ねじさんに頼めば、何かおもしろいことをやってくれるに違いない」と、クライアントが期待するのも無理はありません。各方面から大きな期待を寄せられながらも、ヒット企画を世に送り出し続けるために佐藤さんがやっていることとは?突拍子なく見える企画を生み出す、ねじ式・「企画」の流儀を伺いました!
Text:八波志保(Playce)
侮るなかれ!企画を通しやすくするための土壌づくり
佐藤ねじさんのもとに寄せられるオーダーは、商品企画や話題化・PR、コーポレートサイトのWeb制作など多岐にわたります。それぞれに企画のアプローチ法がありますが、特にコーポレートサイトの場合、「どの土壌で戦うのか」ということが企画の良し悪しに大きく影響すると言います。コーポレートサイト制作の打ち合せ時に、クライアントから「こんなコンテンツを入れたい」というアイデアをもらうことも少なくありません。その場合、佐藤さんはそれらの一つひとつに答えることはせず、まず「なぜそうしたいのか?」を問うのだそうです。
「今はコーポレートサイトだけですべてのPRが完結する時代ではありません。本当はコーポレートサイト以外の方法で、クライアントが抱えている課題を解決することの方が有効かもしれない。だからこそ、お題の『本質』を問うことはとても大切なのです」(佐藤さん)
サイトをつくるということは、「採用したい/何かのPRをしたい/知ってもらい/売りたい(販促)/ブランディングしたい」という本質を実現するための手段のひとつ。「何かおもしろいことをしたいんだよね」とお題が届いたとき、その本質がどこにあるのかをぶつける必要があります。ここでのクライアントとのコミュニケーションの質が、企画を進めやすくするための土壌・環境づくりに大きく影響します。
「例えば打ち合せの場に、意見の強いマーケティング担当者と決定権を持った立場の人が同席した場合、議論の軸が2本になってしまうこともあります。軸が2本あるブレストは途端に濁ってしまうので、『そのプロジェクトのキーマンは誰なのか?』を掴むことはとても重要です」
キーマンに信頼してもらえるためのねじ式コミュニケーションは、無茶なアイデアだと思っても頭ごなしに否定せず、一度乗っかるコト。
「『そういう考え方もありますね』から入り、できることとできないことをその場で返答できると、距離が近づき信頼されやすくなります。営業のみのチームだと、できるできないの判断がつかず、一度持ち帰ることも。数日後に『できませんでした』となると双方イライラしますよね。しかも、そのアイデアそのものを実現したいわけではないことが多い。具体的な提案であっても、その本質は『何か変わったことがしたい』『もう少しおもしろいことがしたい』ということが結構あります。そこを見極めながら、技術的にできるできないの判断をその場で下せるというのは、企画者兼制作者の強みだと思います」