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知的財産権にまつわるエトセトラ Web Designing 2019年2月号

油断は禁物! フリー素材 ~青山ではたらく弁護士に聞く「法律」のこと~

身の回りに溢れる写真や映像、さまざまなネット上の記事‥‥そういった情報をSNSを通じて誰もが発信したりできるようになりました。これらを使ったWebサービスが数多く誕生しています。私達はプロジェクトの著作権を守らなくてはいけないだけでなく、他社の著作物を利用する側でもあります。そういった知的財産権に関する知っておくべき知識を取り上げ、毎回わかりやすく解説していくコラムです。

最近、地方自治体が、フリー素材としてネット公開されているイラストを広報誌に使用したところ、著作権使用料を請求されてしまう事例が増えているとの報道がありました。読者の皆さんの中にもフリー素材を使用したことがある方が多いかもしれませんが、取り扱いに気をつけないとこれらの自治体のようなトラブルに発展する可能性があります。今回はフリー素材を利用する際の注意点を紹介します。

まず大前提として、フリー素材と称してWebサイトに上げられているコンテンツが、他のサイトから流用したものである場合があります。この場合、フリー素材と思って利用しても本来の権利者からクレームを受けることになります。もちろん、Webサイトに上げられている素材の本当の権利者を利用者がチェックすることはできません。しかし、少なくともフリー素材を提供しているサイトの開設・運営者が連絡先も含めて明示されているか、本当に存在している会社なのかを確認することは最低限必要です。

また、フリー素材には権利者が著作権を放棄している「著作権フリー」の場合と、著作権は放棄していないが一定の条件さえ満たせば無料で使って良いという「ロイヤリティフリー」の場合があることを理解しておく必要があります。

著作権フリーの場合、特に利用範囲の限定なく使用できますが、ロイヤリティフリーの場合は利用条件を確認することが必須です。実際に利用条件を確認すると、フリーで使用できるのは「個人利用かつ非営利目的の場合」だけで、企業や自治体による利用、商業目的での利用、広報目的での利用、有償頒布物での利用などは使用料が発生すると明記されていることもあります。また、Webサイトの中にはフリーと称して利用者を集め、目立たない利用条件に基づき後から使用料を請求することを目的としているものもあります。

そのため、利用規約を確認すること、そして後で利用規約が書き換えられた場合に備えて、使用時点での利用規約の写しを保管しておくことが必要です。

さらに、著作権フリー、ロイヤリティフリーのいずれの場合でも、コンテンツを改変して使用する際には、そのような改変が許可されているかどうかを確認することも必須です。コンテンツの改変は著作者人格権にも関係しますが、著作権フリーの素材であっても放棄しているのが著作権だけで著作者人格権は含まれていない場合があります。この場合はWebサイトに掲載されている状態のまま使うことしか許されません。

フリー素材はとても便利ですが、「無料で好きなだけ使ってもいい」といった油断をせず、よく注意をして利用するようにしましょう。

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著作権フリー素材とロイヤリティフリー素材における、著作権および著作者人格権の有無
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Text:桑野雄一郎
1991年早稲田大学法学部卒業、1993年弁護士登録、2018年高樹町法律事務所設立。著書に『出版・マンガビジネスの著作権(第2版)』(一般社団法人著作権情報センター 刊 2018年)など http://www.takagicho.com/

掲載号

Web Designing 2019年2月号

Web Designing 2019年2月号

2018年12月18日発売 本誌:1,559円(税込) / PDF版:1,222円(税込)

Web制作会社の動向でわかる!IT業界の2019年

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アンケートとインタビューで浮き彫りにする
Web制作業界の今とこれから

Web制作のリアル 2019

●この5年、Webの役割はどう変わった?
●どんな業務が増え、どんな仕事が減った?
●Web制作以外で広げたい業務は?
●会社として求める人材像は?
●強化したい知識やスキルは?

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デジタル全盛の今、加速度的にWeb制作の現場も変化しています。
ほんの5年前と比べてもスマホの普及やインフラの進化、さらにはAIなど技術的潮流の変化もさることながら、
それらに伴う消費者の行動変化は今までないスピードになっています。

そんな中、デジタルを駆使した課題解決のプロであるWeb制作会社/Web制作者は、
「サイト制作」だけを請け負う存在ではなくなりました。
ブランディングやプロジェクトの上流から参加するコンサルティング、アプリやビジネスツールの開発、
IoT、AI、はたまた採用やコーポレートアイデンティティの構築まで、その仕事の領域は大きく広がっています。

なぜそんなことが起きているのでしょうか。
Web制作という仕事にはそういった新しい領域の課題を解決し、次世代の要望を実現するスキルとノウハウがあるからです。
デジタルを中心とした現代のビジネスは、そんな「パートナー」を求めているのです。

では、そんなWeb制作会社やWeb制作者は何に力を入れ、これからどこへ向かおうとしているのでしょうか。
本特集では、独自アンケートとインタビューによる調査を実施し、Web制作会社の現在の経営戦略や現場の生の声を徹底収集。
過去5年間からの現場の変化を鑑みながら、Webを中心としたデジタル時代の今と近未来を考えてみようと思います。




■[第1部]Web制作白書2019・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Web制作という仕事が登場して20年強。この仕事の形は大きく変化を遂げてきました。
かつてデザインを中心としたその仕事は、今や単なる制作に留まらぬ、実に幅の広い仕事になっています。
Web制作に携わる人達が何を考え、どう働き、どこを目指しているのか。
その点をさまざまな角度から尋ね、その結果をグラフとコメントで構成しました。

Web制作とは今、どんな仕事なのか。そしてこれからどう変化していこうとしているのか。
その結果からは驚きの今と未来が見えてきます。



■[第2部]時代がWebクリエイターを求め始めている! Web制作の今とこれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・「デザイン経営宣言」をWeb制作者観点から読み解く

[Chapter1]Web制作とクリエイティブの今・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・Web業界の変化と活路
 主に仕事の内容について、打ち上げ花火的なプロモーションの激減、クリエイティブという言葉が引き連れる意味の変遷など、
 Web制作が表現からクライアントの課題解決へと向かっている根拠を探ります。

・Web制作12社が考える「いま現場で必要とされる能力とは?」
 現場では、デザイナーであればデザインを、プログラマーであればコーディングを、という枠組みだけでなく、両者の知識やコミュニケーション能力など、職能が
 広がっている状況を把握します。

・デザインの力は企業になにをもたらすのか?_サイバーエジェント執行役員 佐藤洋介
 いまのWeb制作としての職能をどう育てるのかについて、対個人的、組織論的なアプローチで育成についてのヒントを解説します。
 同様に、個人がどのようにその能力を身につけることができるのか、日常の生活、毎日の仕事のなかでいかにアンテナを張り、知見をためていけるのでしょうか。

・Web制作会社進化論~広がる業務領域~


[Chapter2]制作会社が知っておきたい今ドキのクライアント事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
予算策定までのプロセス、要件定義の考え方、社内事情。制作会社に発注したい企業にも、「やりたくてもできない」理由があります。
現在の企業がWebビジネスを行う際、どのような課題や障壁があるのでしょうか。

・クライアントとの適切な関係をつくる「予算や見積もりの考え方」
・濃密で長期の関係を築く方法


など

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