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新刊案内「横歩取り最前線 ~いま、プロが注目する2つの手段~」 ~プロのすごさを堪能するハロウィン~

2016.10.14 | 島田修二

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こんにちは。
お湯をかけて作るわかめスープの化学的な味が好きでたまらない編集部の島田です。

季節の変わり目、風邪気味のあなたに向けた体も心も温まる新刊案内いきます。
本日紹介するのは10月25日発売の日浦市郎八段の新刊「横歩取り最前線 ~いま、プロが注目する2つの手段~」です。





このタイトルを見て日浦先生の前著を思い出した方はなかなかの棋書マニア。そうです。本書は同じく日浦先生による「角換わり腰掛け銀最前線 ~いま、プロが注目する三つの指し方~」の横歩取り編なのです。

この2冊はこれまでの戦術書にない画期的な手法を取っています。それは一つの戦法の中でも特に流行している2つ(または3つ)の形だけに絞って、かつその形になったプロの実戦を時系列に沿って解説する、というものです。

これによって、その戦型がどのような変遷をたどってきたのか、また現在プロは何を問題にしてその戦型で戦っているのかがよく分かるようになっています。プロの最前線に将棋ファンを連れて行ってくれる一冊といえます。

角換わり腰掛け銀最前線では
(1)先後同型
(2)豊島新手△2四銀
(3)反撃の▲6四角

の3つを取り上げました。

今回発売する横歩取り最前線ではテーマを2つに絞り込んで
(1)△2四飛ぶつけ
(2)△8六歩合わせ

この2つを徹底的に解説していきます。


さて、今日はこの2つのうち、△2四飛ぶつけを紹介したいと思います。なぜなら私がよくやられるからです。△2三銀~△2四飛が一番よくやられる上に、一番嫌です。
序盤に飛車交換なんて怖いですもん。

具体的にはこの形です。





私はいつもここで▲2五歩と打っていたんですが、それは△7四飛と7筋に逃げられて





歩を取られちゃうので先手は3筋から6筋の歩を突くことができません。また、先手は陣形の進展性がないのに後手は△6二玉が好手で美濃囲いに入る順があります。さらに△3四銀以下飛車をいじめられる手もあって、だいたい先手負けです。

と、105ページ辺りに書いてあります。(本文にはもっと詳しく書いてあります)


よって△2四飛の飛車ぶつけには怖くても▲同飛と取るべき、ということになります。

▲2四同飛△同銀に▲8六歩!!というのが豊島先生の編み出した新手。これを知っている人はかなりの定跡通とお見受けします。





それにしても飛車交換してからじっと▲8六歩って、よく思いつきますよね。豊島先生マジ天才。
このあと▲8五歩~▲8四歩~▲8三歩成とズンズン伸ばしていきます。

でもその前に、△2四飛▲同飛△同銀に▲8四飛と打つとどうなるんでしょう?





飛車成りと▲2四飛△同角▲1一角成を狙ってます。
これがこの形のスタート地点で、本書では「実戦例1」として紹介されてます。

この▲8四飛に対して後手にいい手があることを瀬川先生が発見するんですが、またさらにそれを上回る先手の手を大石先生が指します。でもまたそれを超える後手の妙手を木村先生が指し、さらにそれを上回る先手の終盤の妙手を阿部光瑠先生が発表します。

そういった変遷を踏まえて平成26年9月8日の竜王戦挑戦者決定戦第3局(▲糸谷―△羽生戦)、△2四飛以下▲同飛△同銀▲8四飛△7四歩▲8二飛成△8八角成▲同銀△5五角▲4六角△同角▲同歩△1四角▲3六角△2五銀▲4七角△3六歩(下図)という手順が現れます。





へ~。ほぉー。
わけわかめだと思いますが、この本を読むと不思議とよく分かります。

あと、プロ棋士って大変なんだな―、ということも分かります。

さらに、横歩取りに対して、「俺、知ってるもんね」と妙な自信を持つことができます。少なくともこの本を読んでいない人よりは確実に現在の横歩取りに詳しくなれます(当たり前)。

ちなみに△2四飛ぶつけをめぐる戦いは▲糸谷―△羽生戦の後も続きますがそれは書籍でご確認を。

さて、「△2四飛ぶつけ」だけだと物足りない人のために「△8六歩合わせ」の方も少し紹介します。

この形です。






後手が△2三銀を上がる前に先手が▲3六歩と突きます。この場合△2四飛は▲同飛△同角▲8四飛で先手が良くなります(書籍にはもっと詳しく書いてあります)。で、後手は先手の飛車の横利きが止まったのをチャンスと見て△8六歩と合わせます。これが「△8六歩合わせ」です(ここまでは分かる)。

以下、▲同歩△同飛▲3五歩△8八飛成!▲同銀△5五角打と進みます。




両方の角成りの狙いがあって、先手がはやくも困ったように見えます。が、互角です。ここでいろいろな手があるのですが・・・・・・、

・・・残念です。ここから先は有料になります。続きは書籍でお楽しみください。


本書は横歩取りの最新戦術書であり、最良のプロ棋戦観戦ガイドでもあります。
横歩取りで勝ちたい方も、プロの将棋を深く理解したい方もぜひ読んでいただければ幸いです。

宜しくお願いいたします。


それではみなさん、今週もよい週末将棋ライフを!!