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この連休は、将棋の芝居を観に行こう! 劇団ラビット番長『天召し―テンメシ―』

2016.09.17 | 田名後健吾

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この連休は、将棋芝居を観に行こう!

劇団・ラビット番長
第28回池袋演劇祭参加作品
『天召し―テンメシ―』
脚本・演出/井保三兎


9月15日(木)から東京・池袋で上演中の、劇団「ラビット番長」の『天召し―テンメシ―』は、将棋をテーマにしたお芝居。
「故・村山聖九段と、伝説の真剣師・小池重明が、もし同じ時代に生きて真剣勝負をしたら?」をモチーフにしたオリジナルストーリー。
将棋ファンなら、それだけでワクワクしちゃいますよね? そこで、東京・調布市にある劇団の稽古場におじゃまして、作・演出の井保三兎さん(41)にお話をうかがいました。


―― うわあ、大勢の役者さんがいて賑やかですね。皆さん楽しそうで、活気が伝わってきます。この劇団は、いつ立ち上げたのですか?
井保 「今年で10年目になりますね。ラビット番長という名称は、私の名前の『兎』から取った悪ふざけのつもりでつけたのが最初です。こんなに長く続くとは思っておらず、単発で芝居を打つプロデュース団体にしようと考えていたら、思いのほか続いたという感じです。団員はおらず、役者は毎回いろんなところから集めています」

―― この『天召し』という芝居は、将棋がテーマですが、将棋を題材にしようと思ったきっかけは?
井保 「単純に言えば、僕が将棋を好きだということですね。生まれは滋賀県の田舎ですが、将棋は小学生の頃からよく指していました。最近は、ニコ生でよく将棋の対局が生放送されているじゃないですか。棋士の対局姿を観るのが好きで、よく観ていますが、棋士が持っている人間性というか、ドラマ性を感じたんです。そこで、これを舞台に上げてみたいと思いました」

―― 主人公は、故・村山聖九段と、伝説の真剣師の小池重明さんがモデルだそうですが、なぜこの二人なのですか。
井保 「僕は昔から小池重明さんが大好きなんです。だって、生き様がむちゃくちゃで面白いじゃないですか(笑)。小池さんについての本は、団鬼六先生の本を始め5冊くらい持っています。それらを読んでいて、ふと、小池さんは死に場所を探して将棋を指していたんじゃないかと感じたんですよね。逆に、村山聖さんは、生きるために将棋を指していた感じがあって……。そこで、生きるため指す男と、死ぬために指す男が真剣勝負を戦ったらどういう将棋になるんだろうか。そういう妄想からスタートしたんです(笑)」

―― 羽生三冠ではなく、村山聖九段というところが面白いですね。
井保 「実は、私はこの芝居をするまで、『聖の青春』を読んだことがなかったんです。A級のまま亡くなったという情報だけはあったんですけど、人物像はほとんど知らなかった。ニコ生の解説や、将棋会館の大盤解説などで、いろんな棋士が村山さんの面白いエピソードを語っていたのを見て、なんで皆さん笑顔で村山さんのことを嬉しそうに語るんだろう。こんなに愛されている村山聖という棋士とは何だったんだろうと感じたんです。死んだから故人のことを悪くいわないんじゃなくて、たぶん面白い人だったんだろうと思ったんです。それで、私が面白いと思う小池さんと、皆さんが面白いと思う村山さんを舞台に上げてみようと」
 

稽古風景。遊んでいるわけではありません
(中央が井保さん)
―― 『天召し』の初演は、2014年だそうですが、今回再演するということは、かなり反響があった芝居なのですね。
井保 「はい。前回の公演では、見てくださったお客さんの感想も好評でした。そして、グリーンフェスタ2014という、30近い参加劇団の中で最優秀賞を取り、賞金100万円をいただきました。実は今年、棋士対コンピュータの電王戦をモチーフにした『成り果て』という芝居を書いたのですが、これも最優秀賞をいただきました」

―― 「それは凄い。将棋をテーマにした芝居が、2つとも認められたのですね。お客さんは将棋ファンだけではないと思いますが」
井保 「将棋がわからなくても、棋士の面白さやドラマに心引かれてくれるんだと、思っています」

―― でも、中には将棋ファンもいたのでは?
井保 「元奨励会に在籍されていたという方が、たまたま別の芝居を観に来ていて、将棋の芝居だからということで観てくださいました。上演後に面白かったとお褒めの言葉をいただいて嬉しかったですね。あと、生前の小池さんと実際に真剣を指したことがあるという方も、数人いらしてくれましたね」

―― 今回の再演では、たくさんの将棋ファンも来てくださると思います。最後に、見どころを教えてください。
井保 「今回の『天召し』は、シアターグリーンのステージの中でも、前回よりも広くなるので、キャストを一新し、より華のある役者をそろえてやります。内容も、少し変更している部分もあるので、前回来てくださった方もまた観ていただきたいです。劇中での対局シーンの盤面や、セリフで出てくる棋譜は、実際にある将棋を使っています。分かる人には分かると思います。また、いろんな棋士の有名なエピソードも小ネタとして盛り込んでいるので、そういうところも楽しんでくだされば嬉しいですね」

公演は、9月19日(月・祝)まで。ぜひ、お見逃しなく!
当日券もあります!


詳しいスケジュール・チケット申込は、ラビット番長ホームページで