2026.10.04
【将棋世界こぼれ話】将棋世界誌上企画「蒼翔戦」5回戦
将棋世界誌上企画「蒼翔戦」──
岩村、生垣、片山、山下、小窪、川村、古井。次代を担う7人の棋士たちが、意地とプライドを懸けて戦う、1日指し切り、オール10秒、総当たりリーグ戦だ。
4ラウンド終了時点では、生垣と山下が3連勝で首位を走る。しかし、ほかの棋士たちも黙ってはいない。佳境を迎えた第5ラウンドから、注目の局面を振り返ろう。
4ラウンド終了時点でのリーグ表
| 名前 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | 勝 | 負 | 引分 | ポイント | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 岩村凛太朗 | ー | ⚫︎ 生垣 |
⚪︎ 片山 |
⚫︎ 川村 |
先 山下 |
小窪 | 先 古井 |
1 | 2 | 0 | 3 |
| B | 古井 丈大 | ⚫︎ 生垣 |
⚪︎ 片山 |
⚪︎ 川村 |
⚫︎ 山下 |
先 小窪 |
ー | 岩村 | 2 | 2 | 0 | 6 |
| C | 小窪 碧 | ⚫︎ 片山 |
⚪︎ 川村 |
⚫︎ 山下 |
ー | 古井 | 先 岩村 |
生垣 | 1 | 2 | 0 | 3 |
| D | 山下 数毅 | ⚪︎ 川村 |
ー | ⚪︎ 小窪 |
⚪︎ 古井 |
岩村 | 先 生垣 |
片山 | 3 | 0 | 0 | 9 |
| E | 川村 悠人 | ⚫︎ 山下 |
⚫︎ 小窪 |
⚫︎ 古井 |
⚪︎ 岩村 |
生垣 | 先 片山 |
ー | 1 | 3 | 0 | 3 |
| F | 片山 史龍 | ⚪︎ 小窪 |
⚫︎ 古井 |
⚫︎ 岩村 |
⚫︎ 生垣 |
ー | 川村 | 先 山下 |
1 | 3 | 0 | 3 |
| G | 生垣 寛人 | ⚪︎ 古井 |
⚪︎ 岩村 |
ー | ⚪︎ 片山 |
先 川村 |
山下 | 先 小窪 |
3 | 0 | 0 | 9 |
5ラウンド① 古井VS小窪
2004年7月26日生まれ。東京都杉並区出身。石川陽生七段門下。2026年4月1日、四段。棋士番号は353(撮影:中野伴水)
下からの突き上げ
振り飛車党としてのプロ間の評価が高い小窪の三間飛車に古井は居飛車で対抗した。 古井がうまくさばいて1図。
▲2一飛△6二金寄に▲7五桂と打って、△7二銀なら▲6三香。△7四銀なら▲同馬から△6三香成といった横からの攻めが考えられるが、古井の視点は直接、玉頭に向いていた。
▲8八香!が味わい深い一着。以下△9六歩に▲8六歩△7四銀▲6六馬△9七桂▲7七桂△8九桂成▲同玉△9七歩成▲7八玉△9八歩▲8五歩(2図)で一気に玉へ迫る。
この後も好手筋を連発した古井が3勝2敗とし、優勝戦線に踏みとどまった。
2005年10月3日生まれ。東京都調布市出身。中村修九段門下。2026年4月1日、四段。棋士番号は351(撮影:中野伴水)
5ラウンド②生垣VS川村
2003年7月3日生まれ。兵庫県神戸市出身。井上慶太九段門下。2025年10月1日、四段。棋士番号は348(撮影:中野伴水)
ここでじっと……
生垣の中飛車に川村が引き角の趣向を見せた本局。双方が大きく駒を捌き、3図を迎えた。
後手は角銀と金桂の交換と駒損だが、飛車を捌いているのが主張だ。図は先手が4四の銀を取った局面。 駒損の後手としては一刻も早く攻め掛かりたいところだが、ここでじっと△4四同歩が妙着。歩切れの先手に歩を渡さず、自らは歩を蓄えて次の端攻めを厳しくする狙い。実戦で指すのはなかなか難しい妙手だ。先手は▲8二角と打って▲9一角成と▲6四角成を見せて攻めを催促したが、川村は満を持して△1五歩▲同歩△1七歩▲同香△2四桂▲1九飛△1八歩▲同飛△7九竜▲3九銀△1六歩(4図)と攻め掛かる。
形勢自体は難しいものの、8二角と4八角の働きが乏しく、後手としては不満のない展開だ。その後も切れる寄せを見せた川村が勝ちきった。 生垣は初の敗戦で優勝戦線から一歩後退。
1998年12月22日生まれ。神奈川県川崎市出身。小倉久史八段門下。2026年4月1日、四段。棋士番号は352(撮影:中野伴水)
5ラウンド③岩村VS山下
2006年7月31日生まれ。東京都練馬区出身。飯塚祐紀八段門下。2025年10月1日、四段。棋士番号は347(撮影:中野伴水)
馬作りを恐れない
後手の雁木に先手がバランス型の中住まいに構えた5図。
ここから、▲5五歩△6三銀▲7七桂に△3五歩と仕掛けて後手がペースを握った。しかし、5図では一見、▲7二角からの馬作りが受からないように見える。多くのアマチュアなら、無条件で馬を作れると見れば飛びつきたくなるところだ。なぜ▲7二角はダメなのか。
▲7二角には△8四飛▲6一角に△6三銀が手筋の受け。次に△8一飛と引かれると馬が詰んでしまうので、▲7一馬の一手が必要になるのが先手としては痛いのだ。後手からは△7五歩や△3五歩といった攻め筋が複数あって難解ながらも後手ペースと言えそうだ。具体的には△7五歩▲同歩△6五歩▲同歩に△6六歩(変化図)が痛打。
▲同銀は△7六角~△8七角成。▲7六銀は△9四角▲7七金△7六角▲同金△6七銀で後手勝勢となる。
△3五歩以下も▲2七銀△7五歩▲同歩△6五歩と先手玉の急所を的確に突いた山下が快勝。開幕4連勝で優勝争いの単独トップに躍り出た。
2008年6月3日生まれ。イギリス・ノッティンガム市出身。森信雄七段門下。2025年10月1日、四段。棋士番号は350(撮影:中野伴水)
| 名前 | R1 | R2 | R3 | R4 | R5 | R6 | R7 | 勝 | 負 | 引分 | ポイント | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 岩村凛太朗 | ー | ⚫︎ 生垣 |
⚪︎ 片山 |
⚫︎ 川村 |
⚫︎ 山下 |
小窪 | 先 古井 |
1 | 3 | 0 | 3 |
| B | 古井 丈大 | ⚫︎ 生垣 |
⚪︎ 片山 |
⚪︎ 川村 |
⚫︎ 山下 |
⚪︎ 小窪 |
ー | 岩村 | 3 | 2 | 0 | 9 |
| C | 小窪 碧 | ⚫︎ 片山 |
⚪︎ 川村 |
⚫︎ 山下 |
ー | ⚫︎ 古井 |
先 岩村 |
生垣 | 1 | 3 | 0 | 3 |
| D | 山下 数毅 | ⚪︎ 川村 |
ー | ⚪︎ 小窪 |
⚪︎ 古井 |
⚪︎ 岩村 |
先 生垣 |
片山 | 4 | 0 | 0 | 12 |
| E | 川村 悠人 | ⚫︎ 山下 |
⚫︎ 小窪 |
⚫︎ 古井 |
⚪︎ 岩村 |
⚪︎ 生垣 |
先 片山 |
ー | 2 | 3 | 0 | 6 |
| F | 片山 史龍 | ⚪︎ 小窪 |
⚫︎ 古井 |
⚫︎ 岩村 |
⚫︎ 生垣 |
ー | 川村 | 先 山下 |
1 | 3 | 0 | 3 |
| G | 生垣 寛人 | ⚪︎ 古井 |
⚪︎ 岩村 |
ー | ⚪︎ 片山 |
⚫︎ 川村 |
山下 | 先 小窪 |
3 | 1 | 0 | 9 |
