【将棋世界】女流棋士の現在地 松下舞琳女流初段|将棋情報局

将棋情報局

【将棋世界】女流棋士の現在地 松下舞琳女流初段

マイナビ女子オープンで本戦進出を決めた松下舞琳女流初段。女流順位戦では前期、全勝でC級へ昇級し、今期もB級昇級まであと一歩に迫った。20歳を迎えたばかりの若手女流棋士は、さらなる飛躍を目指す。マイナビ女子オープン、女流順位戦での戦い、現在の課題、そしてタイトル挑戦への思いを聞いた。

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから

マイナビ女子オープン、本戦へ

写真は第20期マイナビ女子オープン一斉予選のときのもの(撮影:中村詩緒里)

──今期のマイナビ女子オープンでは、予備予選、一斉予選を勝ち上がり、本戦進出を決めました。まずは、本戦進出おめでとうございます。

「ありがとうございます」

──現地の一斉予選は観客が近くで見守る中で行われます。対局中に気になることはありますか。また、持ち時間についてはいかがですか。

「対局が始まれば将棋に集中しているので、見られていることは特に気にならないです。持ち時間は長いほうが好きですが、短いと早く決めないといけないので、必然的に決断できるというのは大きいかもしれません」

──個人スポンサーからは毎年メッセージカードも届きます。そうした応援をどのように受け止めていますか。

「メッセージカードをいただくのはとてもうれしいです。毎年応援してくださる方は覚えていますし、励みになります。『勝たなきゃ』というプレッシャーはあまり感じなくて、応援してくださっているから頑張ろう、という感じです」

──本戦への意気込みを聞かせてください。

「マイナビは本戦に進むこと自体は結構多いんですけど、毎年ベスト8で負けてしまっています。今期も初戦から強敵(中七海女流三段)ですが、頑張りたいと思っています※」

※ インタビュー後の9月4日に対局があり、残念ながら敗戦)

「あと1勝」を重ねた女流順位戦

──女流順位戦にはこれまで4期参加しています。3期目に全勝でC級へ昇級し、今期は初めてC級で戦いました。年間を通して戦う順位戦には、どんな難しさがありますか。

「1年間を通してリーグがあるので、ちゃんとコンディションを整えることが大事だと思います。対策はしやすいですけど、逆に相手からも対策されやすいですし、先後が決まっているからこそ作戦の選択が難しい部分もあります。1年間を通して戦う棋戦はなかなかないので、そこが難しいところかなと思います」

──D級1期目は、6回戦を終えた時点で1敗。自力昇級の可能性がありました。

「その時は自力だったと思うんですけど、7回戦で負けて、最終局を残して昇級の目がなくなりました。自分が負けて昇級できなくなったなら、もうしょうがないかなと思いました」

──D級2期目は、5局目を終えた時点で4勝1敗でした。その後はいかがでしたか。

「年明けぐらいから将棋の内容がずっと悪く、全然勝てない時期が続いたのでメンタルがきつかったです」

──その年は最終的に5勝3敗で終え、翌期は全勝でC級に昇級しています。何か変えたことや、きっかけになったことはありましたか。

「何かを大きく変えたわけではないですが、前年度の最終局に勝てたことが大きかったように思います。4勝4敗と5勝3敗では、順位もそうですし、指し分けと勝ち越しという意味でも全然違います。そこからだんだん勝てるようになったので、いま思えばあの1勝が転機だったのかなと思います。2回戦の頃が高校最後のテストと重なっていて、それが終わってからは学校の勉強をする必要がなくなったので、将棋に集中できる環境になったのも大きかったです」

──昇級を意識したのは、いつ頃でしたか。

「4回戦です。内容的には負けの将棋だったんですけど、それを逆転して勝つことができて、そこから結構、昇級を意識するようになりました。そこで負けていたら順位も落ちていたと思いますし、全勝でこられたからには昇級したいなと思いました」

──初めてC級で戦った今期は、クラスが上がったことを意識しましたか。

「意識しすぎず、目の前の一局に集中して、という感じでした」

──今期は5勝3敗。最終成績を見れば、あと1勝でB級昇級圏という成績でした。今期をどのように振り返っていますか。

「確かに、あと1勝していればというところだったんですけど、負けた3局は内容の悪い将棋が多かったので、そこは課題だなと思います」

「具体的によくする力」を

──来期に向けて、特にどんなところを伸ばしたいと考えていますか。

「今の課題は中終盤かなと思っています。序盤で、例えば作戦勝ちになったとしても、そこから具体的によくしていく力がまだ足りていないと思うので、そこの力をつけたいです」

──普段はどのように勉強していますか。

「高校を卒業して時間ができてからは、序盤の研究を重点的にやるようになりました。中終盤については読みの力がいちばん必要だと思うので、詰将棋を増やしていきたいと思っています」

「タイトル挑戦」までの距離

──高校卒業の頃には、「タイトル挑戦」を目標として挙げていました。今も覚えていますか。

「はい。覚えています」

──いま、その目標までの距離をどのように感じていますか。

「まだ全然足りないかなと思います」

──直近の1年で、特に結果を出したい棋戦はありますか。

「女流順位戦で昇級することがいちばんです。マイナビも本戦にいくことが多いので、そこでも頑張りたいと思っています」

──取材時点では、女流二段まであと7勝というところまで来ています。昇段は意識していますか。

「そうですね。あと7勝なので、なるべく早く上がりたいと思っています」

──いつ頃までの昇段を目標にしていますか。

「今年中です。12月までには上がりたいです」

──年齢の近い女流棋士も多く活躍しています。そうした存在は意識しますか。

「ライバルとはちょっと違うんですけど、年が近い方は結構意識しています。同い年に限らず、少し上とか少し下くらいの方も多いので、その辺りは意識します。ただ、いまは自分の力をつけることがいちばん大事だと思っているので、そこを頑張りたいです」


目指す先を見据えながらも、いま最も大切なのは「力をつけること」。松下女流初段は、目の前の一局、一つひとつの課題と向き合いながら前へ進んでいる。これからどんな将棋を見せ、どんな結果を積み重ねていくのか。今後の活躍を楽しみにしたい。

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから

将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。

著者

皆瀬しょうこ(著者)
藤井聡太竜王・名人の活躍をきっかけに将棋観戦の面白さに魅了され、実戦にも取り組むようになる。
観る将と指す将の両方の視点から、棋士の人間味と盤上の奥深さを楽しんでいる。趣味は棋譜並べ。