将棋×医療!? 香川愛生女流四段の「おくすり手帳」に込めた調布つむぎ薬局の思い|将棋情報局

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将棋×医療!? 香川愛生女流四段の「おくすり手帳」に込めた調布つむぎ薬局の思い

2026年8月、東京都調布市「調布つむぎ薬局」は、香川愛生女流四段の写真を使用したオリジナルおくすり手帳の配布を開始しました。
将棋界と医療のほかに例のないコラボレーションを実現させたわかばソリューションズ業務執行役員伊藤雄二さんに、おくすり手帳制作のきっかけや想いを伺いました。

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──薬局内にたくさんのおくすり手帳のサンプルを置いてあるのを拝見しました。オリジナルおくすり手帳の制作は今回の香川愛生女流四段のものが初めての取り組みなのでしょうか?

伊藤 そうですね、現在30種類ほど選べるようになっていますが、香川先生のもの以外はすべて既製品になります。
元々うちは立川で薬局をやっておりまして、去年の12月に調布つむぎ薬局をオープンしました。立川の店舗が小児科の前にあるため、患者さんにお子さまが多く、従来はお子さま向けのキャラクターもののおくすり手帳を多く置いていました。そこで、幅広い年代の方に使っていただけるように、香川先生のデザインがいいかなと思ったことが今回の制作のきっかけになります。

──薬局の中が明るくきれいだったので新しいとは思っていましたが、本当に最近オープンされたばかりなんですね。こんなにも多くの中から自分のおくすり手帳を選べる薬局自体、珍しいのではないでしょうか?

伊藤 おくすり手帳は、「いつ」「どこで」「どの先生が」出してくれたかといった、お薬の情報の全てを書いている実用品だと思っています。ただ、おくすり手帳はどうしても実用性が中心になって、デザインの選択肢がそれほど多くないこともあります。
せっかくおくすり手帳を持っていても、気に入ったものでなければ持ち歩きたくならないじゃないですか。

──私もおくすり手帳を持ってはいますが、処方してもらったときにもらえるシールを家で貼るだけで、普段は持ち歩いていないですね。

伊藤 せっかくオリジナルで作るなら、手にした人が気に入るもの、楽しいと思えるようなものを作りたいと思い、香川先生にお声がけいたしました。

──調布の出身ということも関係しているのでしょうか? また、数ある候補の中から香川女流四段のお名前が挙がったのは、ご親族や身近に将棋に親しんでいる方がいらしたのですか?

伊藤 調布にゆかりがあるという点が、やはりいちばん大きいです。それに加えて、実は私自身が以前から将棋好きなんですよ。香川先生が調布のご出身ということも元々知っていたので、今回の企画を考えたときにパッと浮かびました。
将棋はお子さまからお年寄りの方まで幅広い年代に親しまれている文化ですし、薬局に来られる方もお子さまからご高齢の方まで幅広いので、将棋と薬局は親和性が高く通じるものがあるんじゃないかと思い、お声がけすることに決めました。
将棋を知らない方が見ると「誰なんだろう?」と思われるかもしれませんが、単なるファングッズではなく「実用品としてのおくすり手帳」にしたかったんです。もちろんファンの方が見てうれしいものにしつつ、先生を知らない一般の方が見ても「きれいな写真を使っているおくすり手帳だな」と思っていただける仕上がりを目指しました。

──実際にオファーされたとき、香川女流四段はどのような反応をされましたか?

伊藤 突然のお願いでしたので、お引き受けいただけるかどうか正直不安ではありました。ですが、最初にご相談したときから驚くほど丁寧に対応してくださって。すごく前向きにご協力いただき、写真もたくさん提供してくださいました。
制作の途中も香川先生に確認していただきながら進めたのですが、最後まで本当に丁寧にご対応いただきとてもありがたかったです。

──数ある写真の中から、和室で着物を着て将棋を指している姿のものを選ばれました。この写真の決め手は何だったのでしょうか?

おくすり手帳の裏表紙。下部には調布つむぎ薬局の情報が載っている

伊藤 着物の色がとても鮮やかできれいなので、先生を知らない方が見ても爽やかに感じられると思いました。日常的に持ち歩いても違和感のないものとして選んでいます。いろいろな写真をいただいたのですが、やはり将棋を指している姿がいちばんわかりやすいですし、凛としたたたずまいが伝わってくるのもいいですね。

──制作中や完成後、香川女流四段とのやり取りで印象に残っているエピソードはありますか?

伊藤 手帳が完成したあと、香川先生がXでご紹介してくださいましたし、薬局宛てにサイン色紙も送ってくださいました。宛名までしっかり書いてくださっていて、私たちも非常に喜んでいます。

香川女流四段の揮毫色紙とおくすり手帳。薬局のスタッフの方と一緒に

──それは神対応ですね。ちなみに、すでにこちらのオリジナル手帳を手にされた方はいらっしゃいますか?

伊藤 配布開始からまだそれほど時間は経っていないのですが、想像以上の反響があります。特に香川先生がXでご紹介してくださってからは、「香川先生のおくすり手帳はありますか?」とお問い合わせをいただいたり、八王子や稲城など、普段より遠方の方にもご利用をいただいたりと、その大きさに驚きました。

──実際に手にした方の反応はいかがですか?

伊藤 薬局という場所柄、「すごい!」と大きな反応はないのですが、とてもうれしそうな表情で「これ、欲しかったんですよ」と言っていただけて、本当に作ってよかったなと感じています。

──グッズとして単体での配布や販売はせず、「調剤の利用者にお渡しする」という形をとられているのも、実用品として大切に使ってほしいという思いからでしょうか?

伊藤 そうですね。そもそもが「ちょっと楽しい実用品」としておくすり手帳を活用していただきたいという思いからスタートしていますので、香川先生ともご相談のうえ、グッズとしての販売は行わず、患者さまへの配布に限定するという形をとらせていただきました。

──今後さらに将棋界や、調布にゆかりのある方とのコラボレーション企画などは検討されていますか?

伊藤 正直、現時点で具体的な次の企画が決まっているわけではありません。ただ、香川先生が「皆さんと健康に気をつけながら、これからも長く将棋を楽しめたらうれしいです」とXにポストしていらした通り、将棋を心から楽しむためにも健康は欠かせない土台です。今後も自然な形で、将棋界の方々とご一緒できる機会があればいいなと考えています。

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著者

中村詩緒里(著者)
大人になってから将棋を始めたのに、観る将が高じて「将棋世界」の編集者に。「強くなくても将棋は楽しい!」を読者に伝えることを使命に、将棋界のあれこれをお届けいたします。好きな駒は香車。好きな食べ物は肉・魚・麺類。