2026.09.01
『やばボーズ流 攻めて勝つ角交換四間飛車』レビュー
はじめに
今回は、2026年6月に発行された『やばボーズ流 攻めて勝つ角交換四間飛車』(あくと(先川)著、やばボーズ監修)のレビューをお届けします。
「角交換四間飛車やばボーズ流」は本書監修のやばボーズ氏が考案した、△4三銀+△3二金型の角交換四間飛車です。
アマチュア将棋界で大流行しており、自分では指さなくても、見たことはあるという人がほとんどなのではないでしょうか。
監修のやばボーズ氏は、将棋のネット配信者で、ニコニコ動画やYouTubeで活動されています。
著者のあくと氏は、やばボーズ氏と親交が深く、やばボーズ氏と本戦法の棋書を制作することに至ったそうです(そのあたりについてもコラムに記載があります)。
本レビューを書いている私は、元々「やばボーズ流」を相手にして戦っていましたが、あまりにも負かされるので、この戦法に興味を持ち始め、いまでは「やばボーズ流」を裏芸として指しています。
方針がわかりやすく、指し方を少し勉強すればすぐに実戦投入できる、手になじみやすい戦法だと感じています。その上、破壊力も抜群で、相手を圧倒して勝利できるということもしばしばあります。
本書では、その「角交換四間飛車やばボーズ流」の基本的な指し方から、応用的な指し方まで、「やばボーズ流」の指し方を広く解説されています。
なお、本書は一貫して先後逆の図(後手が下側)になっていますが、符号も反転されていますので、PCやスマホの棋譜アプリで並べやすい表記となっています。後手がやばボーズ流で、先手が居飛車となります。
本書の概要
まずは、各章の構成と見どころをご紹介します。
序章「やばボーズ流とは」では、導入として、やばボーズ流の基本的な駒組みが紹介されるとともに、やばボーズ流が勝ちやすい理由がまとめられています。
第1章「△4五歩早仕掛け」では、先手が4筋の歩を▲4六歩と突いてきた場合に、△4五歩とぶつけて攻めていく指し方が解説されています。飛角銀桂を活用して攻めを組み立てていく様々な手法が紹介されています。実戦手筋もまとめられていて、役に立つこと間違いないでしょう。
先手が4筋の歩を突いていると、そこを争点にできるので、やばボーズ流としては戦いやすい展開になります。また、やばボーズ流の駒組みが早いため、先手の居飛車側は玉形をきちんと整える余裕がありません。あっという間に飛車先突破できることも珍しくないでしょう。
第2章「2筋逆襲」では、先手が2筋の歩を切った場合に、後手が△2一飛と飛車を2筋に回って、2筋の逆襲をしていく指し方が解説されています。2筋から飛車先突破を目指していく指し方が多く紹介されていますが、4筋→2筋→4筋」と柔軟に再度4筋に飛車を戻し、突破を目指していく手筋も紹介されています。
2筋逆襲では、角を犠牲に飛車を成り込む展開が紹介されています。「角を犠牲に」と言っても銀などと交換に持ち込むので、最小限の犠牲で、こちらだけ一方的に竜を作って優勢を築けることになります。このあたりの攻め筋は爽快感があり、やみつきになること間違いなしです。
第3章「立石流風味」では、先手が2筋の歩を切らず、△3五歩が突ける場合に、△2四飛型や△3四飛型を目指す指し方が紹介されています。△2四飛型や△3四飛型を作るまでの手順から、その後の突破の方法について解説されています。
第4章「ポスト・スクリーンショット」では、先手が第1章~第3章以外の駒組みで、▲3六歩と突き、3七の地点に桂や銀がある場合の指し方について紹介されています。「ポスト・スクリーンショット」という名前の由来は本書に記載されています。▲3七桂型には銀多伝風味で桂頭を狙っていく指し方を、▲3七銀型には駒組みを進め、隙を見て持ち角を打ち込んでいく指し方が解説されています。
第5章「居飛車からの早い動き」では、先手が早いタイミングで横歩を取ってきた場合の指し方や、対棒銀や対筋違い角の指し方が解説されています。実戦では、相手が積極的に仕掛けてくることがあるので、この章の内容はとても有用です。
私が、道場や大会でやばボーズ流を指した際も、相手が棒銀や筋違い角をしてくることがありました。ちゃんと対策を知っていないと困ることになるので、ぜひ読んでおくことをオススメします。
第6章「戦型ポートフォリオ」では、あくと氏、やばボーズ氏それぞれの、先後や対居飛車・対振り飛車でどのような戦型ポートフォリオを構築しているかが紹介されています。やばボーズ流ひとつで全戦型に対応できるわけではないので、お二人の戦型ポートフォリオを参考に自分の戦型ポートフォリオを見直してみてはいかがでしょうか。
対象となる読者
やばボーズ流は振り飛車側から攻めていける戦法ですので、振り飛車党でも積極的に動いていくのが好きな方はぜひ本書を読んでやばボーズ流を試してみるといいと思います。
本書は、基本から丁寧に解説されていますので、級位者の方でも十分読める内容となっています。
本書のコラムであくと氏が語っていますが、やばボーズ流を使うのが初めての人は、まず第1章を読んだらさっそく実戦で投入してみるといいと思います。第1章を読んだだけでも、やばボーズ流がいかに破壊力のある戦法なのかがわかります。実戦で試すと、あっという間に勝てることも多いのではないでしょうか。うまくいかないことが出てきたら、本書に戻ってさらに勉強する、というサイクルで本書を活用するのがいいと思います。
おわりに
今回は、『やばボーズ流 攻めて勝つ角交換四間飛車』のレビューを書かせていただきました。
各章ごとに、導入としてフレームワークが記載されていたり、数ページのまとめが載っていたり、とても読みやすい棋書となっています。
また、コラムも豊富で、読み物としての面白さもあるでしょう。
本書で取り上げられている駒組みは実戦でよく出てくるものですので、そのまま同じ形が実戦に出てくることもあるかと思います。また、もし少し違う形でも、たくさんの手筋が本書の中で紹介されていますので、それらを組み合わせて攻めを構築していくと勝ちやすいと思います。
やばボーズ流は、攻めの狙いがわかりやすく手になじみやすい戦法ですので、得意戦法を作りたいと考えている人は本書を手に取って試してみていただければと思います。
レビューをお読みいただきありがとうございました。
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