2026.09.03
ヒューリック杯第6期女流順位戦ハイライト
タイアップ
A級 福間がプレーオフを制す
スタートから飛び出したのは、福間、伊藤沙、石本の3名でした。
福間5戦全勝、伊藤4勝1敗の状況で6回戦の直接対決を迎えました。
序盤で駆け引きがあり、福間の居飛車、伊藤の振り飛車という構図に。第1図は次に▲6一馬が厳しい攻めです。ここで△3三歩▲同竜△6二飛が冴えた手順でした。△3三歩と捨てたことで△6二飛が▲6一馬を受けながら竜取りになっています。受けに力を見せる伊藤らしい手順で、ペースを握って快勝しました。
石本は4回戦と6回戦でいずれも詰みを逃す悔しい敗戦を喫し、挑戦権争いから脱落しました。来期はこの悔しさをバネに、上を目指す戦いをしてほしいです。
その後、福間と伊藤は1敗ずつを喫したものの、最終戦を終えて7勝2敗で並び、挑戦権の行方はプレーオフに委ねられました。この2人は第4期でも挑戦権を懸けて、プレーオフを戦っています。
第2図の△5九飛を▲同金だと、△同竜で王手馬取りになります。
ここで▲2三香成がすばらしい踏み込みでした。△同玉には▲3五桂△同歩▲5六角と、王手をしてから▲5九金と飛車を取れば、王手馬取りになりません。
実戦は▲2三香成に△4一玉と逃げましたが、大きな拠点を作ったことに満足して、▲3七馬と受けにまわって優勢に。そのまま福間が押しきり、第4期に続いて伊藤をプレーオフで降して、挑戦権を獲得しました。
降級は鈴木と加藤圭の2名。鈴木は前期最後まで挑戦権争いに絡むも1歩及ばず、今期はスタートからの6連敗が響きました。
加藤は第1期で準決勝(あと1勝で七番勝負)まで進出し、その後もA級の座を保持してきましたが、ついに陥落することになりました。
B級 中村真独走で昇級
中村が開幕から怒濤の7連勝で、一気に昇級を決めました。前期からの連続昇級となります。
5回戦のB級最年少の加藤結との対戦は大熱戦でした。
第3図では、△4五銀▲同玉△4四飛以下、先手玉に詰みがありましたが、実戦は△7四竜としたため、▲6二金で逆に後手玉が詰んで逆転となりました。この勝利で中村は5戦全勝として独走態勢を築き、7回戦の段階で早々に昇級を決めました。
中村は第1期にB級所属が決まり、現在の形式での順位戦が始まった第2期以降、A級昇級→B級降級→C級降級→B級昇級→A級昇級と、上下動を繰り返しています。連続降級からの連続昇級は、本家の順位戦でもほとんど例を見ない珍しい記録です。
前期A級から陥落した香川でしたが、1期での復帰を決めました。
第4図は香川同様、前期A級から降級した和田あとの一戦。ここで▲4三歩成△同銀▲4四歩△3二銀と銀の位置を変えてから、▲4二金としたのがうまい食いつきでした。以下△4一金に▲4三歩成とと金を作って攻めがつながりました。早指しの香川にしては珍しく秒読みに入るまで時間を使ったところも、この一局に懸ける思いを物語っています。
強敵を降して勢いに乗った香川は、その後も星を伸ばして、1戦を残して昇級を決めました。
降級は清水・伊奈川・小髙の3名。前期昇級組の現日本将棋連盟会長の清水と小髙は、1期で陥落となりました。
B級は10名中3名が降級となるため、順位の悪い昇級組は残留するのがかなり大変です。前期に続き、今期も昇級組の3名のうち2名が降級となりました。
C級 炎の直接対決
今期の女流順位戦では昇級した9名のうち、20代が6名、10代が1名と若手の活躍が目立ち、世代交代を強く印象づけました。中でもC級の昇級争いは粒ぞろいの若手たちによる激しい争いが続き、結果的に将来を嘱望される若手3名が昇級を果たしました。
8回戦ではタイトル戦の挑戦争いに絡んだ経験のある、磯谷と内山の直接対決が行われました。
磯谷が攻めまくって迎えた第5図。△8八銀打も見えますが、△6八同銀不成▲同金△7九歩成がスマートな手順でした。▲同飛には△8八銀▲同玉△6八角成で収拾困難です。実戦は△7九歩成に▲8八飛としましたが、△8七銀で飛を取れる形となり、粘り強さが持ち味の内山も土俵を割ることになりました。
この一戦を制した磯谷は、1戦を残して昇級を決めました。
タイトル挑戦2度と、実績で他を圧倒する大島ですが、女流順位戦ではC級からなかなか昇級できませんでした。今期も早々に2敗目を喫し、5回戦ではC級最年少の木村との対戦を迎えました。
第6図は駒得ながら攻め込まれて、正確な受けが求められる場面。ここで△5三銀▲5二成桂△2二玉が、すばらしい手順でした。▲4二成桂に△同銀上とすれば、先手はこれ以上迫ることができません。この後も丁寧に受け続けて、木村の攻めを完封して大島が制しました。
いつも時間を目一杯使って読みふける、大島らしさの出た一局でした。そしてここから怒濤の全勝で、見事に昇級を決めました。また、大島に敗れて2敗目を喫した木村でしたが、6回戦で内山に勝利すると、波に乗ってそこから全勝でリーグを終えました。最終戦の前は4番手でしたが、最終戦で自力の中澤が敗れたことで、逆転昇級を果たしました。磯谷と木村はD級からの連続昇級となります。
残留争いでは、最終戦の藤田―頼本が熱い一番に。大逆転で勝利した頼本は辛くも残留を決め、藤田は第2期から守ってきたC級の座から陥落と、明暗が分かれました。
D級 大波乱の最終戦
奨励会三段から女流棋士へ転向し、女流順位戦初参加の中は、8戦全勝で昇級を果たし、実力の確かさを証明しました。
D級では最終戦に大きなドラマがありました。1敗同士の宮澤と山口稀の直接対決は、勝者が昇級する大一番でした。
第7図は▲4三香成などの攻めも見えますが、▲6一竜△2四香▲7九歩が落ち着いた手順でした。憂いをなくしてから攻める、振り飛車の勝ちパターンに持ち込んで山口が勝利し、うれしい初昇級を決めました。
最終戦を1敗で迎え、勝てば昇級が決まるメンバーのうち、渡辺は中に敗れて脱落。もう一人の自力だった宮宗は、ここまで1勝の相川と対戦しました。
第8図から実戦は△2八金としましたが、詰みを逃して先手の勝利に。△4八角ならば、▲同金△2八金▲4九玉△3九金打▲5八玉に△4八桂成と追えるので詰みでした。
渡辺・宮宗の敗戦により、最終戦に勝利した今井の昇級が決定。残り1枠は、勝てば昇級だった礒谷も痛恨の逆転負けを喫したため、山口との直接対決に敗れた宮澤に順番が回り、逆転昇級を果たしました。
最終戦の重みを感じさせるD級最終戦のドラマでした。
D級は降級点が累積3つになると、フリークラスに陥落となります。そして、今期から「フリークラスに7年在籍すると引退」という制度が追加され、順位戦同様、女流順位戦の成績が女流棋士人生に直結するようになりました。
前述した相川は、最終戦の勝利でギリギリ降級点を免れました。1勝以上の価値を持つ、大きな逆転勝利でした。
女流順位戦が終わると白玲戦七番勝負が始まります。西山白玲が防衛すると「クイーン白玲」の称号を獲得し、同時に棋士編入の資格も得ることになるため、今期はいままで以上に注目される七番勝負となるでしょう。
本記事はヒューリック株式会社とのタイアップです。

















