2026.08.17
「将棋のここがわからない」をプロ棋士に聞いてみよう!①
将棋ファンの皆様から募集した「将棋のここが分からない」に遠山雄亮六段が回答してくださいます!
お悩み①「定跡が覚えられません」
Q:定跡が覚えられません。何とか覚えたとしても相手がちょっと違う手を指してきた瞬間、どうしていいかわからなくなります。(ニックネーム:グミ)
A:うーん、これはプロでも悩むところです。私も覚えるのは苦手です。そして実戦で知らない手がくると、どうしていいかわからなくなります。人間なので、皆さんと同じです。
とはいえ、やっぱり定跡は偉大だし、定跡を知っている人が強いのも事実です。
そこで、現代的な定跡の覚え方を一つ提案します。
まず、本などで定跡について学びます。しかし、無理に指し手(符号)を覚える必要はありません。
読み進める中で、「あれ、この手は前も出てきたな」という手や「初めて見る手だ」とか、「△8五歩には▲7七角が絶対手なんだ」など、引っかかりを覚えたらメモを残しましょう。スマホのメモ帳や、Googleドキュメントなどがいいでしょう。
この時にきれいに書く必要はありません。ここは意外と重要で、きれいに書こうと思うとメモを残すのがおっくうになってしまいます。いっそのこと、多少変換ミスは気にせずに音声で入力するのもいいでしょう。
そうして本を読み終えた頃には、メモがそれなりの量になるでしょう。そしてここからが本番です。
そのメモを『ChatGPT』のような生成AIに「このメモを生かして、私が定跡を理解できるように問題を作ってください」と指示して、問題を作らせてそれを繰り返し解きます。
手間を惜しまない方なら、『NotebookLM*』のソースとしてこのメモを読み込ませれば、「フラッシュカード」や「クイズ」でより問題として解きやすい形式で出力してもらえます。
こうして覚えるのは「その定跡に存在するコツ」です。覚えるべきなのは指し手ではなく論理なのです。
*編集部註:NotebookLMとは、Googleが開発した「ユーザーが指定した独自の資料のみを学習・参照する」パーソナルAIリサーチアシスタントのことです。
さて問題を何度も解いたら、実戦でその定跡を用いて対局を繰り返しましょう。定跡を覚えるにはアウトプットも重要です。
「相手がその定跡を使ってくるかわかりません」という声が聞こえてきそうですが、大丈夫です。ひよこが対戦相手になってくれます。『ぴよ将棋』で戦型を指定したり、局面作成をして、何度指してもひよこは文句一つ言いません。
そうしてアウトプットをする中で、新たに気がついたことをメモに残していきます。ある程度たまったら問題を作り直して解き直しましょう。
ここまでやれば、いつの間にか定跡が身につき、気がついたらいままで勝てなかった人に勝てるようになるかもしれません!


