2026.06.30
将棋世界8月号「棋士と将棋AI」特集記念! 渡辺明竜王VSボナンザ戦を振り返る
「こんなに強くなっているとは……」
渡辺明竜王(肩書は当時)がそう語ったボナンザとの歴史的対局から約20年。『将棋世界』8月号特集「棋士と将棋AI」に向け、あの名勝負を振り返ります。
『将棋世界2026年8月号』では「棋士と将棋AI」と題して、現代将棋を語るうえで欠かせない将棋AIの世界を深堀りする予定です。
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5月に行われた第36回世界コンピュータ将棋選手権では先手勝率8割超えという衝撃の結果が示されました。
特集ではこの大会のレポートや、棋士であり将棋AI開発者である谷合廣紀五段と山下数毅四段の対談などを収録する予定です。
この特集に先立って、過去の将棋世界のAI関係の記事を振り返ってみましょう。
みなさんは「棋士と将棋AI」というとどの出来事が記憶に残っていますでしょうか?
- 激指のアマ大会での活躍
- 鈴木大介九段の指し込み戦
- 米長邦雄永世棋聖の第1回電王戦
- 棋士が初めて敗れた第2回電王戦
- 劇的な△2八角打たせで終わった第4回電王戦
- 佐藤天彦名人とPonanzaの一戦
などなど、挙げていけばキリがないですが、今回紹介する渡辺明竜王(当時)とBonanzaの対局も印象に残っている方が多いのではないでしょうか?
見出しは「ボナンザ大善戦!」。渡辺竜王がギリギリの一手勝ちを収めた将棋でした。
以下の記事で当時の雰囲気を味わっていただければ幸いです。
大和証券杯特別対局 渡辺 明竜王vsボナンザ
世界NO.1 コンピュータ将棋ソフト ボナンザ大善戦!
平成19年3月21日
於・東京 「品川プリンスホテルクラブeX」
主催・日本将棋連盟 特別協賛・大和証券グループ
撮影・本誌
渡辺明竜王に話題の将棋ソフト「ボナンザ」が挑む夢の対決がついに実現した。歴史的一戦を目の当たりにしようと会場には大勢の将棋ファンや報道陣がつめかけた。
円形のステージを客席が取り囲む公開対局。別会場では森内名人、鈴木八段、木村七段による大盤解説が行なわれ、賑わっていた。
米長邦雄日本将棋連盟会長の合図で対局がスタート。先手ボナンザの四間飛車穴熊に対し、渡辺竜王も万全を期して居飛車穴熊へ。双方ガッチリ組み上げた後、ボナンザが角交換を挑んで開戦となった。
自宅のパソコンであらゆる戦型を試し、弱点をつかんできたという竜王はボナンザの無理攻めを待っていた。しかし、目の前のボナンザは最速マシンのうえプログラムに修正が施された改良版。いつもと違う安定した指し回しに「強くなってるな」と思ったそうだ。
当初はコンピューターの一方的な敗戦が危惧されていたが、始まってみれば期待以上の善戦。観客は固唾を飲んで見守った。互角の形勢が続いたが竜王が打開すべく果敢に玉頭戦を仕掛け、激しい切り合いになった。
悪手が見られなかったボナンザだが、得意なはずの終盤で致命的なミスが出た。渡辺の△3九竜切りを軽視(?)し、いっぺんに寄せ切られた。人間なら分かり易い筋だが、可能な手をしらみつぶしに読むボナンザの思考方法では一直線の読みが不得意らしい。
見応えある112手の熱戦に、客は惜しみない拍手を贈った。「こんなに強くなっているとは…。これなら何番か指せば負けることもあるかも」。渡辺竜王は短期間でレベルアップしたボナンザの棋力に驚き、率直な意見を述べた。
開発者の保木邦仁氏は「観賞に耐えうる棋譜ができて嬉しい」と重責を終えてホッとしたような笑顔を見せた。
記念すべき一戦は、渡辺竜王が貫録を示した。しかしコンピュータ対プロ棋士のXデーはそう遠くないかもしれない。
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