2026.06.29
【ゴールドメンバー限定記事】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 特別編
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皆さんこんにちは。「どんなに暗くても、星は輝いている」でおなじみの島田です。
忙しくなってしまい、すっかりご無沙汰してしまいました。申し訳ございませぬ。
最近の藤井竜王・名人は手が付けられない強さで爆走してますね。13連勝中ですよ、恐ろし~~。
今年こそキャリアハイの記録をたたき出すかも!?とか言い出すと、またロクなことにならないのでやめておきます(笑)
さて、8月3日に発売する『将棋年鑑2026』について先日、将棋情報局に島田的に印象に残った場面を一つ挙げておきました。
当然ながら、将棋情報局のほうはだいぶマイルドでしたが、こっちは気持ち悪くなりますのでご注意ください(笑)。
では、一つ目からいってみましょう!
――これはちょっとお答えしづらいことかもしれないんですが、研究会をどなたとどのくらいやっているかっていうのは伺ってもいいことですか?
「私は研究会はかなり少ない方というか……ほとんどやっていないというのが正確な答えになるかと思います。ひとりでやっている時間が割合的には多いです。研究会やVSを否定するつもりはまったくなく、それが自分にとって必要でやるべきだと思えば、今後どなたかに声をかけてやることももちろんあるかなと思います」
藤井先生の研究パートナーと言えば永瀬拓矢九段。私の知る限り、今も永瀬先生しかいないはずです。今後、もし誰かと研究するとなれば、それが誰になるか、とっても気になります。
そこで次の質問。
――誘う相手の基準というか、求めるものみたいなものはありますか?
「具体的なものはありませんが、VSであれば、双方にとって有意義なものであることが求められると思います」
誘う相手の基準として藤井先生が挙げたのは「双方にとって有意義であること」。双方というのがポイントで、これは自分が相手にとって有意義であるか?という謙遜の面もありますが、相手が自分にとって有意義かという非常に厳しいハードルを提示したという意味もあります。
だいたい、藤井先生に有意義だと思わせられる棋士がどれくらいいるんでしょう?(笑)
島田的には、この発言には塩対応の「すん太」を見た気がしました。「今のところ、永瀬さん以外の人とやっても意義を感じないので一人で研究してるんですっ」ということですね。
藤井先生に次の研究パートナーが現れるのは、まだ先になりそうです。
個人的には、藤井先生がこれを言っているとき、「島田さんは私にとって有意義ですか?」と問いただされているようでドキッとしたのですが、きっと考えすぎでしょう(笑)。


以下のやり取りをご覧ください。
――将棋って毎回違って、この局面にはもう二度と出会えないかもしれないっていうことがあるかと思うんですけど、そういう局面で、自分自身がつまらない方向に行ってしまうかもしれないみたいな怖さはありませんか?
「それはあります。この局面自体は難しいし面白いんだけれど、自分自身が良い手を選べないと、張り詰めたものを崩してしまうかもしれないというような気持ちは、対局中も割と感じているように思います」
これは藤井先生もたまに言っていることですが、局面のバランスを自分が崩してしまうことをすごく嫌がりますよね。悪い手を指して互角だった将棋の形勢が傾いてしまうことです。
逆に終盤まで互角の状態が保たれているのがいい将棋、ということも言っています。ジェンガみたいなイメージでしょうか? ジェンガも勝ち負けのゲームではあるんですが、面白くするためにはお互いが最善を尽くしてバランスを保つ必要がありますよね。その意味では協力ゲームだと言えるかもしれません。
話は続きます。
――それは先ほどの「苦しいときに一か八かの手ではなく、考える要素がある方を選ぶ」という話と繋がってきますか?
「そうですね、でも有利な局面と難しい局面だと、考え方が変わってくるところもあります。不利な局面ですと、自分自身の中では既にちょっとその将棋の難しさや面白さを壊してしまったというような気持ちになっていて……そういうときですと、逆に少し開き直れる部分もあるかもしれません」
感覚的なものですけど、局面のバランスを自分が崩してしまったときの言い方に「将棋に対して申し訳ない」という気持ちが表れているような気がするんですよね。
対局開始時点で、せっかく「将棋」が面白くなる原石を用意してくれたのに、それを壊してしまった申し訳なさとか、悔しさがにじみ出ている。
そして、この藤井先生の姿勢はインタビューの最後にも表れました。
――ありがとうございます。それでは最後に、2026年度の抱負をお願いします。
「先ほど述べたように具体的な結果についての目標というのはないんですけど、自分自身がどうすればより強くなれるかということをしっかりと考えて、そこに向き合って取り組んでいきたいです。その結果として、これまでよりも良い将棋が指せるように頑張っていきたいと思います」
――「良い将棋」というのは、どういう定義というか、どんな意味合いで使われている感じでしょうか?最後まで粘ってすみません……。
「自分自身が将棋を指す上で、ここは良い手が指せたなと実感できると非常にうれしいので、そう思える将棋を多く指していけたらと思っています。将棋の持つ難しさであったり面白さであったりを、対局において引き出すことができて、かつその中で自分なりの手を考えて指せたらという思いがあります。そこを目指していきたいです」
・・・どうですか? この考え方。
「将棋」というルールの中で対局者が面白い内容を創っていくということではない。「将棋」が最初から面白いのであって、対局者として自分なりの手で、その魅力を「引き出す」ことが大事なんだと。
これはとても独特な考え方で、棋士でも藤井先生くらいな気がします。
「将棋」そのものに対する圧倒的な信頼感とリスペクト。
5歳で将棋を覚えた日から変わらない、この将棋への想いが、藤井先生を支えているのだと思いますし、だから強い。
これは、最近の話になりますが、名人戦の糸谷先生、棋聖戦の服部先生と力戦派の棋士との対局が続いています。藤井先生は研究勝負よりもこういう自由な将棋の方が好きなんじゃないでしょうか。なんか、生き生きしているように見えますよね。
藤井先生がこれからも将棋を楽しんでくれることを願って、終わりにします。
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忙しくなってしまい、すっかりご無沙汰してしまいました。申し訳ございませぬ。
最近の藤井竜王・名人は手が付けられない強さで爆走してますね。13連勝中ですよ、恐ろし~~。
今年こそキャリアハイの記録をたたき出すかも!?とか言い出すと、またロクなことにならないのでやめておきます(笑)
さて、8月3日に発売する『将棋年鑑2026』について先日、将棋情報局に島田的に印象に残った場面を一つ挙げておきました。
「奨励会に入った時点では、それほど強くプロになりたいと思っていたわけではありませんでした」 藤井聡太竜王・名人インタビュー 『将棋年鑑2026』
・・・が、本当はこれ以外にも2つほど言いたいことがあるので、ここで書いていきたいと思います。当然ながら、将棋情報局のほうはだいぶマイルドでしたが、こっちは気持ち悪くなりますのでご注意ください(笑)。
では、一つ目からいってみましょう!
双方にとって有意義
これは、芦沢さんが藤井先生の研究パートナーについて質問したところです。かなり気を遣うところなので、ここに切り込んだのはさすがだなと思いました。心の中で「いいぞ、もっとやれ~」と思いながら聞いていた場面でございます。以下のやり取りをご覧ください。――これはちょっとお答えしづらいことかもしれないんですが、研究会をどなたとどのくらいやっているかっていうのは伺ってもいいことですか?
「私は研究会はかなり少ない方というか……ほとんどやっていないというのが正確な答えになるかと思います。ひとりでやっている時間が割合的には多いです。研究会やVSを否定するつもりはまったくなく、それが自分にとって必要でやるべきだと思えば、今後どなたかに声をかけてやることももちろんあるかなと思います」
藤井先生の研究パートナーと言えば永瀬拓矢九段。私の知る限り、今も永瀬先生しかいないはずです。今後、もし誰かと研究するとなれば、それが誰になるか、とっても気になります。
そこで次の質問。
――誘う相手の基準というか、求めるものみたいなものはありますか?
「具体的なものはありませんが、VSであれば、双方にとって有意義なものであることが求められると思います」
誘う相手の基準として藤井先生が挙げたのは「双方にとって有意義であること」。双方というのがポイントで、これは自分が相手にとって有意義であるか?という謙遜の面もありますが、相手が自分にとって有意義かという非常に厳しいハードルを提示したという意味もあります。
だいたい、藤井先生に有意義だと思わせられる棋士がどれくらいいるんでしょう?(笑)
島田的には、この発言には塩対応の「すん太」を見た気がしました。「今のところ、永瀬さん以外の人とやっても意義を感じないので一人で研究してるんですっ」ということですね。
藤井先生に次の研究パートナーが現れるのは、まだ先になりそうです。
個人的には、藤井先生がこれを言っているとき、「島田さんは私にとって有意義ですか?」と問いただされているようでドキッとしたのですが、きっと考えすぎでしょう(笑)。
将棋そのものが面白い
続いては局面が悪くなってしまったときの考え方についての質問で出た発言です。芦沢先生は「苦しい局面って、考えたら好転するってことはないので」というところが印象に残ったとエッセイで書かれてました。・・・が、私の心に残った言葉はちょっと違います。以下のやり取りをご覧ください。
――将棋って毎回違って、この局面にはもう二度と出会えないかもしれないっていうことがあるかと思うんですけど、そういう局面で、自分自身がつまらない方向に行ってしまうかもしれないみたいな怖さはありませんか?
「それはあります。この局面自体は難しいし面白いんだけれど、自分自身が良い手を選べないと、張り詰めたものを崩してしまうかもしれないというような気持ちは、対局中も割と感じているように思います」
これは藤井先生もたまに言っていることですが、局面のバランスを自分が崩してしまうことをすごく嫌がりますよね。悪い手を指して互角だった将棋の形勢が傾いてしまうことです。
逆に終盤まで互角の状態が保たれているのがいい将棋、ということも言っています。ジェンガみたいなイメージでしょうか? ジェンガも勝ち負けのゲームではあるんですが、面白くするためにはお互いが最善を尽くしてバランスを保つ必要がありますよね。その意味では協力ゲームだと言えるかもしれません。
話は続きます。
――それは先ほどの「苦しいときに一か八かの手ではなく、考える要素がある方を選ぶ」という話と繋がってきますか?
「そうですね、でも有利な局面と難しい局面だと、考え方が変わってくるところもあります。不利な局面ですと、自分自身の中では既にちょっとその将棋の難しさや面白さを壊してしまったというような気持ちになっていて……そういうときですと、逆に少し開き直れる部分もあるかもしれません」
感覚的なものですけど、局面のバランスを自分が崩してしまったときの言い方に「将棋に対して申し訳ない」という気持ちが表れているような気がするんですよね。
対局開始時点で、せっかく「将棋」が面白くなる原石を用意してくれたのに、それを壊してしまった申し訳なさとか、悔しさがにじみ出ている。
そして、この藤井先生の姿勢はインタビューの最後にも表れました。
――ありがとうございます。それでは最後に、2026年度の抱負をお願いします。
「先ほど述べたように具体的な結果についての目標というのはないんですけど、自分自身がどうすればより強くなれるかということをしっかりと考えて、そこに向き合って取り組んでいきたいです。その結果として、これまでよりも良い将棋が指せるように頑張っていきたいと思います」
――「良い将棋」というのは、どういう定義というか、どんな意味合いで使われている感じでしょうか?最後まで粘ってすみません……。
「自分自身が将棋を指す上で、ここは良い手が指せたなと実感できると非常にうれしいので、そう思える将棋を多く指していけたらと思っています。将棋の持つ難しさであったり面白さであったりを、対局において引き出すことができて、かつその中で自分なりの手を考えて指せたらという思いがあります。そこを目指していきたいです」
・・・どうですか? この考え方。
「将棋」というルールの中で対局者が面白い内容を創っていくということではない。「将棋」が最初から面白いのであって、対局者として自分なりの手で、その魅力を「引き出す」ことが大事なんだと。
これはとても独特な考え方で、棋士でも藤井先生くらいな気がします。
「将棋」そのものに対する圧倒的な信頼感とリスペクト。
5歳で将棋を覚えた日から変わらない、この将棋への想いが、藤井先生を支えているのだと思いますし、だから強い。
これは、最近の話になりますが、名人戦の糸谷先生、棋聖戦の服部先生と力戦派の棋士との対局が続いています。藤井先生は研究勝負よりもこういう自由な将棋の方が好きなんじゃないでしょうか。なんか、生き生きしているように見えますよね。
藤井先生がこれからも将棋を楽しんでくれることを願って、終わりにします。
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