2026.06.28
「奨励会に入った時点では、それほど強くプロになりたいと思っていたわけではありませんでした」 藤井聡太竜王・名人インタビュー 『将棋年鑑2026』
『将棋年鑑2026』を紹介します
皆さんこんにちは。「目の前の仕事に専念せよ。太陽光も一点に集めなければ発火しない」でおなじみの編集部島田です。
現在、絶賛制作中の『将棋年鑑2026』から、私が担当した巻頭特集1「藤井聡太スペシャルインタビュー 芦沢央が聞く試練の一年」をご紹介いたします。

ここ数年、将棋年鑑の第1特集を飾ってきた藤井竜王・名人へのインタビュー。
今年は作家の芦沢央先生にインタビュアーになっていただき、これまでにない視点から藤井竜王・名人にさまざまな質問をしていただきました。
そしてなんと!芦沢先生がインタビューの振り返りエッセイを書いてくださいました。まだお読みでない方はぜひ読んでみてください。
藤井聡太竜王・名人へのインタビューを終えて
https://book.mynavi.jp/shogi/detail/id=151289
私はインタビューに同席していただけだったんですが、ここでは、島田的に印象に残った場面を紹介したいと思います。
八冠を達成した藤井竜王・名人に、芦沢先生が目標の立て方について質問されたところです。
――以前インタビューなどで、新記録とか何冠制覇とかはそれほど意識していないとおっしゃっていたと思うんですが、目標というのはどういうふうに設定していかれるんですか? プロになるまでは、プロになりたいとか、明確な目標も立てやすいと思うんですけど、プロになってから時間が経ってくると、なかなか具体的な目標設定が難しくなってくると思うんですが。
確かに興味深い質問です。これに対する藤井竜王・名人の答えは驚きの内容でした。
「実は、私は奨励会に入った時点では、それほど強くプロになりたいと思っていたわけではありませんでした」
なんと!!これは初めて聞きました。子どもの頃から将棋の棋士を目指して一直線で進んできたイメージがあったので、ビックリ。話は続きます。
――そうなんですか?
「当時はまだ小学4年生だったというのもありますが、なれたらいいなというくらいで、覚悟とか決意のようなものはなかったです。ある程度大会で活躍できるようになって、研修会でも上のクラスに進んでいくことができたので、その流れで奨励会を受けてみようかな、という感じでした。なので、昔から、何かそういう大きな目標を立ててそれに向かって取り組むというのはあまり得意ではなかったように思います。奨励会に入った後も、三段になるぐらいまではあまり棋士になるということをはっきり意識したことはありませんでした。今もそういう感覚と近いところがあって、次の対局で良い将棋を指したいという気持ちは常にあるんですけど、こういう結果を残したいという気持ちはそれほど強くはありません。目の前の対局や番勝負に対してある程度目標を持つことはありますが、それより長いスパンですと、やっぱり自分自身の力を高めていくというのが唯一の目標になるのかなと思います」
・・・・・・なるほど。
目の前のチョウを追いかけているうちに、気がついたら山の頂上まで登ってきてしまった、という感じでしょうか。
その「純粋さ」がすごいですし、それで実際に将棋界の頂点に立ったこともすごい。
そして、もっとすごいと思うのが、その純粋さが今も続いていること。並の人間なら、タイトルを取ることや何かの記録に対して欲が出ます。結果が出れば富や名声も得られます。
しかし、藤井竜王・名人の場合は、トップに立った今でも結果を残すことより強くなりたいという気持ちが上にある。
インタビューを横で聞きながら「さすがだなぁ」と感心している自分がいました(母目線)。
藤井竜王・名人のロングインタビューは10ページにわたる本当にロングなインタビューとなっており、随所に藤井竜王・名人らしい発言が飛び出します。皆さんの心の琴線に触れる言葉もあると思います。
『将棋年鑑2026』、ぜひ読んでみてください。
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