2026.06.22
【将棋ニュース】斎藤慎太郎八段が優れた詰将棋に贈られる看寿賞を受賞
令和7年度の看寿賞が発表され、斎藤慎太郎八段の「王位継承」が長編賞を受賞しました。
看寿賞は1年でもっとも優れた詰将棋に贈られる賞です。
短編賞、中編賞、長編賞、特別賞の4部門があり、斎藤慎太郎八段は今回長編部門での受賞となりました。
プロ棋士、女流棋士の受賞は、浦野真彦八段、谷川浩司十七世名人、内藤國雄九段、高橋和女流三段、船江恒平七段、岩村凛太朗四段、藤井猛九段に続いて8人目(船江七段、岩村四段は奨励会在籍時の受賞)となります。
対象となった作品は、詰将棋パラダイス2025年11月号に発表された「王位継承」です。
前提として、本作は双玉都煙詰と言われる趣向の作品。攻方の玉も加えた40枚の駒が盤上にあり、そのうち36枚の駒が消えて、最終的に5五の地点で詰め上がる煙詰のことを指します。
その趣向自体はそれほど珍しくないのですが、本作が実現しているのは都玉の交代劇、つまり王位の継承であるところが新奇性の高いポイント。
初形では、攻方の玉が5五にいます。しかし、詰め上がりを見てみると、5五にいるのは玉方の玉。これがいままで実現されてこなかった難条件です。
この初形から玉方の玉を5五に持ってくるためには、当然ながら攻方の玉が最低2回動いて5五の地点を解放しなければいけないわけですが、玉方と違って攻め方には王手義務がありますから、玉を動かす手も相手玉への王手になっていなければならないわけです。
双玉煙で攻方の玉が2回動く、というだけでも希少な作品で、前例は岡村孝雄作「アツクナレ」(詰将棋パラダイス2020年11月号、看寿賞長編賞)、岸本裕真作「天動説」(詰将棋パラダイス2022年3月号)の2作だけ。「天動説」は攻方玉が5五の地点から2回動く作品でしたが、本記事の執筆にあたって岸本氏に尋ねると、氏は「空いた5五に玉方の玉を持ってくるなどということは考えもしなかった」とコメントしました。
しかも、玉方玉の初形位置は通常の将棋でも初期配置である5一、というのもこだわりを感じるポイント。斎藤八段らしい美学を感じる作品となっています。ぜひ並べて鑑賞してください。
(本記事は4月21日「【今日は何の日】斎藤慎太郎八段の詰将棋を並べてお誕生日を祝おう」の内容を元に再構成したものです)
