2026.06.15
【将棋ニュース】棋士・女流棋士と交流できる! 将棋フェス2026に行ってきました④
6月13日(土)、東京「将棋会館」、駒テラス西参道で将棋フェス2026が開催され、多くの将棋ファンが集まりました。
こちらの記事は4本目です。1~3本目はこちらの記事をご覧ください。
【将棋ニュース】棋士・女流棋士と交流できる! 将棋フェス2026に行ってきました①
【将棋ニュース】棋士・女流棋士と交流できる! 将棋フェス2026に行ってきました②
【将棋ニュース】棋士・女流棋士と交流できる! 将棋フェス2026に行ってきました③
こちらの記事ではイベントのラストを飾ったスペシャル対局のレポートをお届けします。
第一部 杉本昌隆八段VS斎藤明日斗六段(解説者: 藤井聡太竜王・名人&伊藤匠叡王・王座)
今回特別ルールとして、任意のタイミングで杉本八段は弟子の藤井竜王・名人と、斎藤六段は弟弟子の伊藤二冠と「作戦タイム」を設けることができます。
対局前には対局者・解説者が意気込みを語りました。
藤井「師匠とペアを組むということは意外となかったかもしれないなと思っています。先ほど師匠から作戦タイムのタイミングは私に委ねるという話をいただいたので、よいタイミングになるよう頑張りたいと思います」
伊藤「斎藤六段とペアということですけども、主に藤井竜王・名人の解説・聞き手を担当させていただくことになりますので、作戦タイムを使うタイミングをうまく妨害しつつ(笑)、頑張りたいと思います」
杉本「この企画を聞いたとき、まさか自分が対局者だとは思っていませんでした(笑)。ベテランらしく頑張りたいと思います」
斎藤「ここに並んでいるのは夢のような気持ちで、とても楽しみにしていました。皆様の心拍数を上げられるような将棋を杉本八段と一緒に指していければと思います」
先手を得た杉本八段の中飛車に、斎藤六段は左美濃で対抗。
伊藤「藤井さんは(振り飛車党の)杉本八段門下ですが、昔から居飛車を指されていたんですか?」
藤井「そうですね。私は振り飛車を指したことは(奨励会の)香落ち上手しかなく、ずっと居飛車党です。伊藤さんは?」
伊藤「私もずっと居飛車党だったと思います。師匠(宮田利男八段)の教室に通っている強くなりそうな子は居飛車党に直されると聞いたことがあります(笑)。藤井さんは特にそういうことはありませんでしたか?」
藤井「さすがに師匠から振り飛車を指せと言われたことはないです。以前、子ども大会で入賞して、師匠の『相振りレボリューション』という本をもらったんですが、正直いらないなぁと(笑)」
局面が進み、杉本八段が斎藤陣の急所にと金を作ったところで、斎藤六段が作戦タイムの札を上げました。
作戦タイムの間、相手チームの二人は耳栓と手で耳をふさいで待ちます。
斎藤「(藤井竜王・名人と伊藤二冠の)解説が面白くて正直ピンチになっています(笑)」
伊藤はと金を桂馬で取り、その桂頭に歩を打たれるが戦えそうという結論に。
作戦タイムが終わり斎藤六段はと金を桂で取りますが、杉本八段は歩ではなく角で桂を狙います。
伊藤「早くも予想が外れて意味がなかったです(笑)」
しかし斎藤六段の反撃で今度は杉本八段の手が難しくなります。
ここで藤井竜王・名人も「作戦タイム」の札を上げます。
杉本八段はあまり感触がよくない様子。
杉本「もしかして角おかしかった? もう打っちゃったんで、しょうがないよね。どうしたらいい?」
藤井「いや、どうしましょう(笑)」
杉本「えっ、そうなの? そんな返事を期待してるわけじゃないんですけど(笑)」
そうこうしているうちに作戦タイム終了。
杉本八段もうまく粘ったものの、結果は104手で斎藤六段の勝ち。
伊藤「作戦タイムでは2手後くらいで想定から外れたので、タイミングを間違えたかなと思ったんですが、そこからの斎藤六段の指し回しがうまかったのかなと思います」
斎藤「序盤は失敗してしまったんですけど、そこで頼れる弟弟子の声を聴いて、なんとかその後うまく指せたのかなと思います」
藤井「伊藤二冠と斎藤六段によいタイミングで作戦タイムを使われて、そこからこちらも作戦タイムを使ったが『時すでに遅し』という感じで(笑)。師匠にはタイミングを譲っていただいたのに期待に応えられず申し訳なく思っています」
杉本「藤井竜王・名人のアドバイスをもらうだけでは足りない、代わりに10手ぐらい指してくれないとという気がしていました(笑)。素晴らしい企画、顔ぶれの中で対局できたことを嬉しく思います」
第二部 藤井聡太竜王・名人VS伊藤匠叡王・王座(解説者:永瀬拓矢九段&佐々木勇気八段)
第二部ではタイトルホルダー同士の好カードが実現。解説の永瀬九段は藤井チーム、佐々木八段は伊藤チームとなります。
藤井「先ほどは作戦タイムを取るのが遅かったと反省したので、今回は迷ったら札を上げることを意識して、最後まで皆さまに熱戦を見せられるよう頑張りたいと思います」
伊藤「将棋フェス最後のプログラムということで、いい内容の将棋を指して締めくくれればと思っています」
永瀬「解説はかなり久しぶりで、しかも聞き手・解説者が佐々木勇気さんということで不安な点もありますが(笑)、皆様と楽しみながらできればと思います」
佐々木「(永瀬九段との解説が)8年越しなのでよい解説にしたいと思います。札を上げるタイミングは伊藤さんに任せようかなと思っていますので、よいタイミングでお願いします」
将棋は伊藤匠二冠の先手で角換わり相腰掛け銀に。タイトル戦にも登場した最新形の将棋です。
途中千日手模様になり、永瀬九段は「千日手になったら対談にしましょう、藤井さんに聞きたいこともあるし(笑)」とおどけますが、伊藤二冠が果敢に打開していきます。
持ち駒の桂を使って攻撃を図る先手に対する後手の受けが難しい局面になります。
佐々木八段は自陣に桂を投入する異筋を示し、
佐々木「こういう手はやっちゃいけないんでしょう?」
永瀬「それ、反則」
などと言っていたら、藤井竜王・名人はまさかのその筋を決行。すかさず伊藤二冠も作戦タイムの札を上げます。
佐々木「えー! ちょっと待って待って待って!」
なかなか思わしい順が見つからず、佐々木八段は苦し紛れに伊藤二冠と初めて出会ったときの話題に移行させます。
作戦タイム終了後、
永瀬「どうでした?」
佐々木「ばっちりっす!」
しかしさすがの伊藤二冠、自陣の穴熊の真上から攻め筋を広げ、藤井竜王・名人としても難儀する展開となり作戦タイムの札を上げます。
難解な局面に両者悩みますが、藤井竜王・名人が自陣に香を打ち込む手を指摘。
永瀬「自然な感じがする……」
藤井「ありますか」
永瀬「いや、不明」
藤井・永瀬「(笑)」
作戦タイムが終了し、藤井竜王・名人は自陣に香を打ち込みます。
これで藤井陣が厚くなり伊藤二冠の攻めが難しくなりました。
最後は藤井竜王・名人の端攻めが炸裂し伊藤二冠が投了。
今期王位戦の前哨戦ともいわれたエキシビションマッチは、藤井竜王・名人に軍配が上がりました。
藤井「序盤は作戦負けになってしまいました。その後に受けに回って、最後は反撃のチャンスをつかむことができました。途中で永瀬九段にいろいろ教わることができたので、その点もよかったです」
永瀬「作戦タイムでは藤井竜王・名人の貴重なお考えを聞くことができたので、とても勉強になりました」
伊藤「序盤はまずまずの形に組めたかと思ったんですけど、そこから手のつなげ方が見えなくなってしまって。作戦タイムで教わろうかと思ったんですけど、急に勇気さんに最初の出会いはいつだったかの話を振られて、そこが誤算の1つでした(笑)」
佐々木「プロでも勉強になる将棋でした。伊藤さんとの出会いが、(伊藤二冠が)小学6年生のときだったとはわかっていませんでした(笑)」
楽しいプログラムもついに終了。
最後は将棋フェスの担当理事の千葉幸生七段からご挨拶。
「日頃お世話になっている将棋ファンに恩返しする機会を設けるために企画された将棋フェスですが、想定していた以上に多くの棋士・女流棋士に協力してもらうことができました。ぜひ恒例行事化して、この時期といえば将棋フェスだよねと言ってもらえるようにしたいです」
本イベントの模様は、6月29日まで日本将棋連盟オンラインストアにてアーカイブ配信のチケットが販売(視聴は30日まで)されているほか、日本将棋連盟ライブ中継でスペシャル対局の棋譜を見ることができます。
見逃してしまった方はぜひご覧ください。
来年の将棋フェスではどんな企画が催されるのか、いまから楽しみです。
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