幻の将棋漫画『笑え、ゼッフィーロ』が電子書籍に! 作者の柳葉先生にインタビューしました|将棋情報局

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幻の将棋漫画『笑え、ゼッフィーロ』が電子書籍に! 作者の柳葉先生にインタビューしました

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『笑え、ゼッフィーロ』
このタイトルを見て、「ああ、あれね」と思える方がどれくらいいるでしょうか?

『笑え、ゼッフィーロ』は、マイナビ出版が発行していた『週刊将棋』において、2008年4月から2015年6月まで、7年にわたって連載されていた将棋マンガです(連載時タイトルは『笑え、ゼッフィーロ upsetぼ~いず NEXT GENERATION』)。

『週刊将棋』を購読されていた方の中には、まず最初にこのマンガを読んでいたという方も多いのではないでしょうか?(私はそうでした)

記念すべき連載第1回

このマンガの特色は何といってもその舞台設定にあります。世の中に将棋マンガはたくさんありますが、その多くはプロ棋界や奨励会を題材にしたものです。ところが、『笑え、ゼッフィーロ』の舞台となるのは神奈川県のある高校の将棋部。

「将棋×青春物語」がこのマンガのテーマになっています。

2年生になった飛鳥田(あすかだ)くんが、廃部の危機に陥っている将棋部の部員を集めるところから物語がスタート。

「将棋が好きなんだろ」物語序盤の名シーン

何とか集まった5人の部員で目指すは全国優勝!・・・ではなく、県大会で優勝して全国大会に出場することです。

将棋の天才もヒーローも登場しませんが、このリアルさこそが『笑え、ゼッフィーロ』の真骨頂。作者の柳葉あきら先生の緻密な取材のもと、本当にそこに存在するかのような将棋部の姿が描き出されています。

高校将棋部なので、将棋はもちろん頑張るのですが、部員たちの恋愛模様が繰り広げられるのも本作の面白いところです。

 

週刊将棋を購読していた一部の将棋ファンの間でしか知られていなかった『笑え、ゼッフィーロ』。「幻の将棋マンガ」といってもいい作品ですが、今年の1月にバーボンコミックから『笑え、ゼッフィーロ 西風ヶ丘高校将棋部物語』として電子版が発売され、誰でも読めるようになりました。

第1巻の表紙。連載時はモノクロだった飛鳥田くんがカラーに

 

『笑え、ゼッフィーロ』の冒頭を読んでみる!

 

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将棋情報局では今回、『笑え、ゼッフィーロ』の作者である柳葉あきら先生にお話をうかがうことができました。

現在はヨーロッパの大学で日本のマンガについて教えているという柳葉先生。『笑え、ゼッフィーロ』は先生にとっても大変思い入れのある作品だそうで、大いに語ってくださいました。その模様をご覧ください。

柳葉あきら先生

──本日はお忙しいところありがとうございます。まず、将棋マンガを描こうと思ったきっかけを教えてください。
「僕自身が高校で将棋部に入っていました。愛知県の高校だったのですが、愛知には東海高校という名門校があって、どの学校も歯が立ちませんでした。ただ、その中で経験したことをマンガにしたいなと考えており、週刊将棋に話を持っていきました」

──それが『笑え、ゼッフィーロ』の前日譚の『アップセットボーイズ』ですね。
「はい。『アップセットボーイズ』も高校の将棋部の話で、当時、高校の将棋部を舞台にして団体戦を描くというマンガがなかったので、一人で未開の地を開拓している気持ちでした。ちょうど囲碁の世界で『ヒカルの碁』が流行していて、そちらでも団体戦を扱っていたので、うれしかったですね」

──そういえば、『ヒカルの碁』の塔矢アキラと『笑え、ゼッフィーロ』の一柳くんは似ている気がします。
「一柳には実在のモデルがいます。埼玉県の高校の将棋部にいて、とても印象的な子でした。塔矢アキラに似ているのはたまたまですね」

飛鳥田くんのライバルとして登場する一柳くん

──団体戦というテーマで描いてみて、実際どうでしたか?
「団体戦にすることで、ドラマが生まれやすくなるということはありました。今ではアベマで棋士の団体戦がありますが、やっぱり個人の戦いより、団体戦の方が仲間との絆ですとか、負けられない想いのようなものが強く出ます。また、登場人物をたくさん出しやすいということもありました。例えば、プロの将棋界を舞台にすると、同じ人と何回も戦うことになるじゃないですか。でも団体戦にすれば、一回だけ出てくるキャラクターも多く描けます。新しい展開が作りやすいので、マンガの題材として向いているんじゃないかと思います」

──週刊将棋に連載するという点についてはどうでしたか?
「読者対象がはっきりしていたので、やりやすかったです。将棋のマンガを描くときに、将棋の内容や盤面の情報をどこまで書くかは難しいところで、中途半端にしてしまうと、うまくいきません。その点、週刊将棋を読んでいる方は将棋のわかる方なので、盤面の内容についても掲載しました」

飛鳥田くんと部員の角野(かどの)くんの初対局シーン。飛鳥田くんの▲4五歩早仕掛けが炸裂する

──ご自身として気に入ってる、印象に残っているシーンはありますか?
「飛鳥田くんと番(ばん)さんのキスシーンですかね。あれは、結構反響が大きかったです」

──飛鳥田くんが浮気するところですね。あれは意外な展開でびっくりしました。いや、このマンガはどこに行くんだと思いました(笑)。

問題のシーン

「『俺も高校のとき将棋部だったけど、こんなことはなかった』とネットに書き込んでいる人もいました。このマンガで高校の将棋部を舞台にするにあたって、東京近郊だけでなく、名古屋、静岡、愛媛、高知など、全国の将棋部を取材したんですが、女子部員の数がすごく増えてきていた頃だったんです。現在もアマチュア強豪として活躍されている小野ゆかりさんや、女流棋士になった室谷さん(由紀女流三段)を筆頭にして、たくさんの女の子が将棋に取り組んでいました。これは描きたいと思いましたね。女子部員が活躍するのが、『笑え、ゼッフィーロ』の特徴の一つで、『アップセットボーイズ』との違いでもあります」

──週刊将棋でしか読めなかった『笑え、ゼッフィーロ』ですが、今年、電子書籍になって誰でも読むことができるようになりました。
「連載が終わって、自分への記念として私家版という形でこのマンガを紙の書籍にしました。電子版も自分で作ろうかとも思っていたのですが、私家版を作る際にお世話になった編集プロダクションのVTANK(ブイタンク)さんから、うちから出させてほしいというありがたい提案をいただきました。しかもこの本を出すためにバーボンコミックという電子書籍のレーベルまで作っていただいて、大変感謝しています」

私家版。厚みがすごい

「もともとは週刊将棋という特殊な媒体に掲載されていたわけですけど、将棋と青春物語という普遍的なテーマで描いているので、いまの若い人が読んでも十分楽しんでいただけると思います。僕自身のキャリアの中でも金字塔といっていい作品で、自分がマンガでやりたかったことは、ほぼ全部この作品に詰め込んであります。我ながら面白いマンガだと思うので、ぜひ読んでほしいですね」

──私も週刊将棋時代に読んでいましたが、改めて電子書籍としてまとまったものを読んでみたいと思います。本日はありがとうございました。
「こちらこそ、ありがとうございました」

 


 

※ 『笑え、ゼッフィーロ』は全15巻のうち、1月に第1巻~第3巻まで発売され、その後毎月1巻ずつ継続刊行されて、現在、第9巻まで読むことができます。前作『アップセットボーイズ』も『笑え、ゼッフィーロ』の後に刊行予定。

『笑え、ゼッフィーロ』の冒頭を読んでみる!

 

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