2026.03.30
【将棋ニュース】岩村凛太朗四段が圧巻の優勝! 詰将棋解答選手権2026と現地観戦イベントレポート
詰将棋解答選手権2026チャンピオン戦 東京大会のレポートです
2026年3月29(日)に東京と大阪で詰将棋解答選手権2026のチャンピオン戦が行われました。
今回から東京大会はマイナビ出版が共催となり、歌舞伎座タワーで大会とともに現地観戦イベントも開催されました。
この記事では大会とイベントの模様を振り返ってみます。
10時 大会受付開始
まずは大会参加者の受付がスタート。伊藤匠二冠、広瀬章人九段、行方尚史九段といったそうそうたるメンバーが会場に姿を現します。
プロの公式戦でも、棋士が出演するイベントでもなく、あくまでも大会に出場する選手としてプライベートで参加しています。よって、参加費2,000円もしっかり払います。棋士だからといって特別待遇しないのが、この大会のいいところです。

たくさんの棋士が参加
11時10分 第1ラウンド
時間ギリギリ、滑り込みで佐々木勇気八段が受付を済ませて、第1ラウンドがスタートしました。詰将棋解答選手権のチャンピオン戦は第1ラウンドと第2ラウンドに分かれており、それぞれ5問、合計10問が出題されます。解答時間はともに1時間30分です。
選手の皆さん曰く、他の選手の鉛筆の音がプレッシャーになるそうです。この日、一番早くその音を出したのは優勝候補の岩村凛太朗四段。隣に座っていた小山怜央四段曰く、1分もしないうちに岩村四段が解答を書き始めてかなり焦ったとのことでした。
詰将棋解答選手権は前回は藤井聡太竜王・名人がただ一人の全問正解で見事に7度目の優勝を果たしましたが、今回は棋王戦第5局と日程がかぶっており残念ながら不参加。ご本人も「予定が合えば出場したい」とおっしゃっていましたが、致し方ないところです。そして藤井竜王・名人に次いで2位だったのが岩村四段なので、今回は優勝候補の筆頭と目されていました。
12時28分 岩村四段が途中退室
詰将棋解答選手権では点数が同じだった場合、早く会場から退室したほうが上位になるというレギュレーションがあります。よって、全問正解できたと思ったら早く退室したほうが有利です。第1ラウンドでは岩村四段が78分で唯一の途中退室者となりました。
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「たぶん大丈夫だと思います」とニッコリの岩村四段
12時40分 第1ラウンド終了
岩村四段の後には途中退室者がでることなく、第1ラウンドが終了。会場では早速感想戦が始まります。どうやら第1ラウンドの5問目が難しかったようで、伊藤匠二冠も「5問目が解けそうで解けなかった」と悔しがっていました。そして、この5問目をつくったのが何を隠そう斎藤慎太郎八段。叡王戦の前哨戦、というわけではありませんが、ここでは斎藤八段に軍配が上がったようです。第1ラウンドは岩村四段以外は40点(4問正解)で終わった選手が多く、伊藤二冠の他にも本大会で6回の優勝を誇る宮田敦史七段、前々回優勝の古賀悠聖六段(大阪会場)も第5問に苦しめられたようで、40点という結果でした。
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選手にはすぐに解答が配られます
13時50分 現地観戦イベントスタート
さて、別会場ではこのタイミングで現地観戦イベントが始まりました。出演いただいたのは藤井猛九段と西山朋佳女流三冠。マイナビ出版で新しい試みをするときは、藤井猛九段にお願いするという不文律がございます。今回は藤井九段のご指名で詰将棋解答選手権の参加経験もある西山朋佳女流三冠に聞き手をお願いしました。なんという豪華な布陣でしょうか。この2人をアサインできた時点で、イベントの成功は約束されたようなものです。約30人の参加者を相手に、軽妙なトークでイベントが始まりました。
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14時 第2ラウンド
イベント開始から少し経ったところで大会会場では第2ラウンドが始まりました。いよいよ後半戦のスタートです。イベント会場では大会会場の模様がリアルタイムで配信されており、全員が一斉に問題用紙をひっくり返す様子がモニターに映し出されました。イベント会場と大会会場は同じフロアにあり、15メートルくらい離れていますが、その緊張感は伝わってきます。
14時30分 焦る運営
まずはすでに終了している第1ラウンドの問題を解説していただく予定でしたが、藤井九段のほうから「まずは雑談から入りたい」というお話があり、雑談からスタート。・・・しかし、この雑談が終わる気配がありません(;^_^A。西山先生の結婚に関する鋭い質問が出て、大変面白かったのですが、開始から1時間が経過。そこでようやく第1ラウンドの解説が始まったときの安堵感は凄かったです(笑)
単に詰手順を紹介するのではなく、解く際のポイントや考え方を交えて、随所に笑いも入れながら説明していたのはさすがでした。藤井九段の感覚では第1問が解きにくかったようです。「この手が見えなかった」と素直に明かしてくださったのも楽しかったです。
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15時25分 岩村四段が退室
第1ラウンドより、第2ラウンドのほうが難度が上がります。特に第10問は「ラスボス」と呼ばれて毎年、超難問が出題されるのが通例です。事前に問題と解答を把握されていた藤井九段も「10問目はヤバい」と言っていました。さすがに途中退室者は出ないかと思われていた終了5分前、モニターに岩村四段が退室する姿が映し出されます。イベント会場は歓声に包まれました。そして第2ラウンドの終了時刻となり大会は無事に終了。マイナビ出版が共催して初の東京大会でしたが、特に問題なく競技が終わってよかったです。
15時30分 岩村四段の解説会
さて、ここからが運営の腕の見せ所です。今回のイベントでは大会に参加された棋士の先生方をどれくらいイベント会場に連れてこれるか、という勝負がありました。棋士としてではなくプライベートで来ていらっしゃるので、全員に断られる可能性もあります。そのため、事前の告知でも「棋士の登場もあるかも」という程度に留めておりました。
しかし、ふたを開けてみると、たくさんの棋士の皆さんが快く出演してくださいました。涙が出るほどうれしかったです。
イベント会場に最初に現れたのは途中退室した岩村四段。まだ岩村四段自身、解答が合っているかわかっていない状態でしたが、藤井九段の「解説してよ」のお願い(無茶ぶり)にこたえて、岩村四段による第2ラウンドの解説会がスタート。その場で答え合わせをすることになりました。
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このときの岩村四段の高速詠唱が本当にすごかったです。私を含め参加者の多くの方も何を言っているのかわからなかったと思いますが(;^_^A、淀みなく正解手順を示していく岩村四段。藤井九段も「正解です」を連発します。途中で広瀬章人九段も参加してくださいましたが、広瀬九段の終盤力をもってしても、第2ラウンドは2問しか解けなかったとのことでした。
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16時 若島さんの高木手筋
岩村四段の高速解説は続き、ついにラスボスの第10問に到達。ここでまたもやサプライズがありました。イベントに参加者として来場されていた第10問の作者の若島正さんが登壇して、岩村四段と一緒に作品の解説が始まったのです。
若島さん曰く、「高木手筋の意味づけが回収手筋」ということで、岩村四段だけは「あぁー」と納得していましたが、それ以外の全員が「???」だったのではないかと思います。
第10問は素人目に見ても、合駒で出した飛車の移動合が出て、さらにその後に飛車の中合も出る凄い作品で、この作品の解説を若島さんと岩村四段のコンビで聞けたのは今回のイベントの一つのハイライトだったのではないかと思います。
岩村四段はただ一人の全問正解で、見事に優勝となりました。
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16時20分 棋士・女流棋士が登場
休憩をはさんでイベントは後半戦に。ここからは参加棋士によるインタビューの時間となりました。お疲れのところだったと思いますが、佐藤紳哉七段、内山あや女流二段、佐々木勇気八段と斎藤明日斗六段、小山怜央四段、そして最後にもう一度岩村四段に登壇していただきました。
皆さん、本当にありがとうございました。
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「桂(かつら)がカギになる問題が多かった」と言って会場を笑いの渦に巻き込む佐藤紳哉七段
佐々木八段は「トップの2人(藤井竜王・名人と岩村四段)はレベルが違う」とおっしゃっていました。佐々木八段自身も8位という好成績でしたが、そこに達しているからこそ、その2人の凄さがわかるのだと思いました。
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お二人とも、来年も参加するとのこと
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翌日対局があるのにもかかわらず参加した小山四段
(内山女流二段の写真を撮り損ねました。痛恨!)
また、最後に岩村四段に対して藤井九段が「優勝を期待されているプレッシャーはなかった?」と質問しましたが、「あまり順位は気にしてなかった。詰将棋が好きでここにきている」と答えたのが非常に印象的でした。好きこそものの上手なれといいますが、この純粋さがあの驚異的な詰将棋解答能力の源になっているのでしょう。藤井九段も「これは他の人は勝てないね」と讃えていました。
個人的には藤井聡太竜王・名人も同じ答えをするのではないかと思っており、この2人の詰将棋に対するピュアな心には通じるものがあると思います。
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17時15分 イベント終了
最後に藤井九段、西山女流三冠、岩村四段から一言ずつ締めの言葉をいただいてイベントが終了しました。藤井九段にはいつもながらのトーク力で場を盛り上げていただきました。西山女流三冠はもっと話したいこともあったかと思うのですが、聞き役に回っていただいて、うまくイベントを進行してくださいました。本当にありがとうございました。そして岩村四段、初優勝おめでとうございます。
藤井先生からは締めのあいさつで「詰将棋には将棋とはまた違う世界がある。自分に解ける問題から解いていってほしい」という言葉をいただきました。おっしゃる通りかと思います。
マイナビ出版は最近詰将棋に力を入れていますが、これは詰将棋に詳しい人(會場、岸本)が社員にいるから、だけではありません(まぁそれもあります笑)。
詰将棋はこれまでマニアの世界と思われていたところがありますが、とてつもない魅力があり、それを一人でも多くの方に知ってほしいと思っています。また、詰将棋は誰でも楽しめるのがいいところです。将棋のルールさえ覚えれば1手詰に取り組めますし、どんな方にも自分の棋力に合った詰将棋があります。子どもの論理的思考力の向上にもいいですし、年配の方の頭の体操にもいい。将棋の棋力アップにも役立ちます。そしてその同じ世界に藤井聡太竜王・名人や岩村凛太朗四段もいるのです。
来年以降もマイナビ出版は詰将棋解答選手権を全力で盛り上げていく所存です。今年は参加できなかった方も、ぜひ来年は解答選手権か現地観戦イベントにご参加ください。
改めて、今回の詰将棋解答選手権2026チャンピオン戦、並びに現地観戦イベントの運営にご尽力いただいた皆様、また大会やイベントにご参加いただいた皆様に深く感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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