【将棋世界】女流棋士の現在地 竹内優月女流2級|将棋情報局

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【将棋世界】女流棋士の現在地 竹内優月女流2級

竹内優月女流2級は、2024年3月、13歳で女流棋士としてデビューした。女流順位戦はD級に所属。また、奨励会にも在籍しており、現在は6級で戦っている。
彼女の将棋の軸にあるのは、勝ち負けよりも「考えること」そのものだ。結果に一喜一憂するよりも、盤上で深く読みを入れる。その積み重ねが、現在地を支えている。女流棋戦と奨励会という2つの舞台で対局を重ねるなかで、彼女は何を感じ、何を課題としているのか。今の率直な思いを聞いた。

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「考えるのが好きだから、持ち時間は長いほうがいい」

――女流棋士としてデビューして約2年。アマチュア時代と比べて、環境面で変わったと感じる部分はどこですか?

「女流棋士になったことで、誘っていただける研究会が増えました。それで以前よりも指す場所が増えたかな、という感じです。いまは基本的に日曜日に研究会やVSを入れていることが多いです 」

 

――女流棋戦を戦ってみて、持ち時間についてはどう感じていますか?

「持ち時間は長い方が好きです。アマチュアの対局だと秒読み30秒 が多いんですけど、女流棋戦だと60秒あるので結構深く考えることができる。考えることが好きなのでじっくり読みを入れられる持ち時間の長い対局の方が自分には合っていると思います」

 

――特に白玲戦(女流順位戦)は、他とは違う緊張感があるのでしょうか?

「準備の仕方が変わるわけではないんですけど、1年を通した戦いで、1つの星の違いで来期の順位も変わってくるので、身の引き締まる思いがします 」

 

結果を受け止め、将棋を広げる

――女流棋士として初めて臨んだデビューシーズンの女流順位戦は、2勝6敗という厳しい結果となり降級点がつきました。ご自身ではどのように受け止めていますか?

「あの頃(デビュー当時)は、いまもそうですけれど、まだ全然実力が足りていなかったなと思います。だから、2勝6敗という成績は実力通りの結果だったのかな、と感じています」

 

――2期目の今シーズンはここまで2勝2敗です。どのように戦っていますか?

「今期は前期よりもよい成績を残して、少しでも来期の順位を上げられるように頑張りたい、という気持ちで指しています」

 

――最近は振り飛車だけでなく居飛車も含め、色々な戦型を指されているような印象があります。

「アマチュア時代には三間飛車ばかり指していたんですが、女流棋士になって1つの戦法だけだと相手に研究されやすいというのがあって、それを避けたかったんです。居飛車や四間飛車も指すようになりました。また、相振り飛車の勝率が悪くなってきたので、対抗形も指してみようかなと思って変えました」

 

――新しい戦型を使いこなすのは大変な作業では?

「やらなきゃいけないことも多いですし、指し慣れてきたのは本当に最近という感じで。慣れるまで1年ぐらいかかりました」

 

――新しい戦法を実戦に投入するのは勇気がいると思いますがいかがでしょうか?

「いきなり女流棋戦で出すのはちょっと怖いので、まず研究会で試してから実戦で使うようにしています 」

 

――奨励会では一度7級に落ちて、そこから6級に戻るという経験をされました。その時の心境は?

「本来は級を上げていかなきゃいけないのに、逆方向に行っちゃってますからね……。落ち込むとかそういうのではなくて、『自分の努力が足りなかった』という気持ちでした。勉強法を見直して、今まで詰将棋メインだったのを、棋譜並べや序中盤の研究を増やすようにしました」

 

――負けが込むと精神的にきつい部分もあるかと思いますが、どう切り替えていますか?

「私はあまり落ち込むタイプではないんです。負けたからといって将棋が楽しくなくなるわけでもないので、自然に切り替えられています。師匠(武市三郎七段)からも、『負けた将棋から勉強すること』をずっといわれてきました。だから、負けた将棋をしっかり振り返って、課題を1つずつ克服していきたいと思っています」

 

強みは終盤の「粘り」、課題は「序中盤の研究」

――ご自身の棋風について、強みをどう分析されていますか?

「自分のよさを挙げるとすれば、中盤で少し悪くなっても、そこから巻き返すような将棋が得意と思っています。詰将棋をやり始めてから、終盤の読みがよくなったという実感があります」

 

――逆に、現在の課題として感じている部分はどこでしょうか?

「やっぱり序中盤の力がまだまだ足りないなと感じています。女流棋士同士だと研究量や知識の差を感じることもあります。いままで以上に研究を増やして序中盤で悪くならないようにするのがいちばんの課題です」

 

「将棋を嫌いになったことは、一度もない」

――精神的にきついと感じて、やめたくなるようなことは?

「負けて将棋が楽しくなくなるわけではないので。やめたいと思ったことは、そんなに……というか、今まで始めた時から『もうやめてやる』と思ったことは、まだ一度もないです」

 

――同世代で意識する存在はいますか?

「特にあまりライバル意識を持ったことはないです。そんなに意識したことはなくて。あんまり他の人と比べるというよりは、やっぱり過去の自分と比べた方がいいのかな、と思っています」

 


他者と比べるのではなく、過去の自分と向き合う。
インタビューの最後に「今の自分を一言で表すと?」と問うと、1分を超える長考の末、竹内優月女流2級は「これから」という言葉を選択した。
「思いつかなさすぎて頭が真っ白になってしまって」と笑う彼女だが、穏やかに、かつ自然体で将棋に取り組むその姿勢の先に成長がある。
春から高校生。その歩みは、これからも続いていく。

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著者

皆瀬しょうこ(著者)
藤井聡太竜王・名人の活躍をきっかけに将棋観戦の面白さに魅了され、実戦にも取り組むようになる。
観る将と指す将の両方の視点から、棋士の人間味と盤上の奥深さを楽しんでいる。趣味は棋譜並べ。