「羽生先生と明治神宮に守られている気がしました」 SUNTORY東西対抗戦レポート|将棋情報局

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「羽生先生と明治神宮に守られている気がしました」 SUNTORY東西対抗戦レポート

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SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2025は12月14日東京都渋谷区「明治神宮会館」で行われ、5勝1敗で西軍が優勝しました。

雨降る明治神宮

明治神宮はあいにくの雨で足元が悪く寒さが強く感じられました。
この日の東京は最高気温7.6℃、最低気温2.7℃。



開始30分前に会場入りし、本殿で参拝しました。

イベントが成功しますように!
楽しい将棋が見られますように!
いい写真が撮れますように!

たくさんお願いしてきました。
 


明治神宮会館は原宿駅から徒歩11分。会場の中は暖かく、ようやく寒さから解放されました。続々とお客さんが集まり、これからはじまる熱戦に期待した明るい顔をしていました。

対局規定とカード



本棋戦はファン投票で選出された東西3名ずつ、東西予選通過者3名ずつの6名ずつがチームとして戦います。初手から30秒将棋のハイテンポの戦いが特徴です。
対局カードは前夜祭で決まっており、以下の通りです。
 
第1局 ▲稲葉陽八段(西)─△宮嶋健太四段(東)
第2局 ▲長谷部浩平五段(東)─△久保利明九段(西)
第3局 ▲豊島将之九段(西)─△羽生善治九段(東)
第4局 ▲髙見泰地七段(東)─△上野裕寿五段(西)
第5局 ▲藤井聡太竜王・名人(西)─△中村太地八段(東)
第6局 ▲伊藤匠二冠(東)─△山崎隆之九段(西)
出場棋士から挨拶と抱負の弁がありました。

第1局 ▲稲葉陽八段(西)─△宮嶋健太四段(東)
宮嶋健太四段(東・予選Bブロック通過)
「記憶が正しければ昨年は西軍で出場したかと思いますが、今年は東軍の一員に加わることになりました。私が岐阜出身ということもあり、髙見先生に『令和の※小早川秀秋ではないか、これは400年ぶりの快挙なのではないか』と言っていただきました。今日はそれを武器に戦いたいと思います。稲葉八段は5回の開催のうち4回も予選を通過している超強敵ですが、思いっきりぶつかる熱戦を皆さまにお届けして楽しんでいただけるように頑張ります」

※    小早川秀秋は関ケ原の戦いで西軍から東軍へ寝返った武将として知られています。

稲葉陽八段(西・予選Aブロック通過)
「今年で4回目の出場になりますが、トップバッターを務めるのは初めてです。勝つとチームに勢いもたらすことができますが、ムードメーカーの宮嶋四段を勝たせると逆に西軍が勢いづいてしまうため絶対勝たないといけないと見ています。宮嶋さんは『非公式の鬼』とも言われていますが、私は公式戦でも負けており非公式戦でも負けてしまうと両方負けてしまいます。そういう意味ではここでしっかり叩きたいところです」

第2局 ▲長谷部浩平五段(東)─△久保利明九段(西)
長谷部浩平五段(東・予選Cブロック通過)
「私は初出場になりますが、予選通過が決まったときに、『投票していてよかったです』といつも応援してくださっている方に声をかけていただいたことが、とても印象に残っております。久保九段は、私が小さい頃からたくさん棋譜を並べてきた先生で、さばきと粘りが特にすばらしい先生だなと思っています。東軍の戦力になれるよう精一杯頑張りたいと思います」

久保利明九段(西・予選Bブロック通過)
「2年ぶりにこの棋戦に出ることができましたが、今年50歳を迎え西軍の中では最年長になりますが、普通に皆さんと同じような気持ちでやっています。勝つことができれば、後ろに強力なラインナップが控えているので勢いに乗っていけると思います。
先ほど色々と褒め殺しにあってますけども(笑)、長谷部さんには公式戦で1度負けているので、今回は勝てるように頑張りたいと思います」

第3局 ▲豊島将之九段(西)─△羽生善治九段(東)
羽生善治九段(東・ファン投票2位)
「たくさんの皆さまに投票していただいたおかげで、2年ぶりにこの舞台に立つことができました。豊島九段とは今まで色んな場所で対局してきましたが、この場で顔を合わせるのは初めてで、とても楽しみにしております。時間の短い将棋ですが、自分なりに一生懸命指して面白い将棋をお見せしたいです。過去のSUNTORY杯は、西軍にずっと押されてしまっているので、東軍としてチームの勝利に貢献できるようにベストを尽くしていきたいと考えております」

豊島将之九段(西・ファン投票2位)
「多くの方にご投票いただき、充実した特別な時間を過ごすことができ大変感謝しております。羽生九段は大変な強敵ですが、自分なりに思い切りよくぶつかって、自分らしい将棋を指したいです。リレー対局は藤井さんと息を合わせて熱戦にしたいのでそちらもよろしくお願いいたします」

第4局 ▲髙見泰地七段(東)─△上野裕寿五段(西)
髙見泰地七段(東・予選Aブロック通過)
「年末の祭典SUNTORY杯を私はこの舞台で戦ったことがなかったのですが、今回は予選を突破するという形で毎年投票してくださっている方の期待に応えることができました。いい将棋を指して『髙見応援しててよかったな』と少しでも思ってもらえるよう、昨日まで準備してきました。上野さんは関西所属のとても爽やかな青年で、ご飯のテーブルを挟んだことはありますが、盤を挟んだことはないです。本日は勢いに押されないように精一杯指して、よい将棋になるように頑張っていきたいと思います」

上野裕寿五段(予選Cブロック通過)
「昨年に引き続き西軍として出場でき、とてもうれしいです。予選を振り返ると、特に決勝戦は負けを覚悟した局面もありましたが、粘り強く戦うことがこの30秒将棋では非常に大事だなと思っております。髙見先生にはお仕事だったりご飯の席だったりと非常によくしていただいています。練習将棋も含めて初対戦なので非常に楽しみです。西軍の力になれるよう精一杯頑張ります。」

第5局 ▲藤井聡太竜王・名人(西)─△中村太地八段(東)
中村太地八段(東・ファン投票1位)
「ファン投票により選出いただき出場することが叶いました。投票してくださった皆さまに御礼申し上げます。うれしい気持ちと驚きと、そして光栄に思う気持ちでこの何ヶ月かを楽しみに過ごし、本日を迎えました。いただいた応援を力に精一杯指したいと思います。藤井聡太竜王・名人と対局できることは、2025年で1番運のよい出来事だと思います。思いっきりぶつかるだけですので、自分の将棋が指せたらよいかなと思います」

藤井聡太竜王・名人(西・ファン投票1位)
「今回、私は5回戦の登場ということでまずはチームの皆さんを全力で応援して、私としてもチームに貢献できるように精一杯頑張ります。中村八段は、非常に攻めが鋭い将棋を指す印象があります。それに押されてしまわないよう、積極性を意識して熱戦にできるよう指していきたいです。また、ペア将棋では豊島九段と5年連続で手を組んで戦うことになりました。そちらも息の合った将棋をお見せしたいです」

第6局 ▲伊藤匠二冠(東)─△山崎隆之九段(西)
伊藤匠二冠(東・タイトル保持者)
「私自身は第6局の出番なので少し対局まで時間がありますが、東軍の皆さんの勝利を祈って念を送りたいなと思います。昨年はそこが足りなかったなと思いがあるのでしっかりと応援したいと思います。山崎九段との対戦は、おそらく重要な場面になると思います。精一杯よい将棋が指せるように頑張ります」

山崎隆之九段(西・ファン投票3位)
「今年は出場できないかなと正直思っていましたので、出場が決まったときはこの日を目標に日々を楽しみに過ごしてまいりました。対戦相手が伊藤二冠に決まったときは、『なんで増田さんじゃないんだろう?※』と残念だったんですが、将棋界のトップである伊藤二冠に挑めることはうれしく思っています。公式戦、非公式戦共に勝ったことがないので、伊藤さんに耳寄りな情報をちょっとお知らせしたいなと思います。私に負けた増田さんはその後、お付き合いして、A級に昇級されました。で、その次負けて、(タイトルに)挑戦されて、ご結婚されました。伊藤二冠も現在昇級を争っていると思いますので、伊藤二冠の幸せを願って今日は最後まで諦めず、粘り強く、幸せにできるように頑張りたいと思います。」

※    山崎九段は2023年、2024年と2年連続で増田康宏八段と対局し、勝利しています。山崎九段との対局後、交際とA級昇級(2023年)、棋王戦挑戦と結婚(2024年)と増田康宏八段には幸せなイベントが発生しています。

いよいよ対局開始です!

第1局 稲葉八段(西)対宮嶋四段(東)

第1局は稲葉八段(西)と宮嶋四段(東)の対局です。この2人は2024年に公式戦で1度当たっており、角交換振り飛車の戦いを宮嶋四段が制しています。
「非公式戦の鬼」が公式戦と同じく勝利するか?それともここで叩いて勝ち星をイーブンに戻すか?
 


稲葉八段は初手▲2六歩から13手目に▲5八飛と回る陽動振り飛車を採用! 本局への準備が光るか?



対局前、サントリー天然水で心を整えた宮嶋四段は、自ら角交換を選択し、角の打ち込みに気を使う展開に! 積極的に動いていきます!

本局は桂や角がアクロバットに飛び交う華やかな将棋でした。
稲葉八段は飛車先を受けていた銀を6筋で活用したところで宮嶋四段が歩の交換を実行。そのまま飛車が成りこむ展開になるかと思いきや金と下段の飛車を生かした受けを披露。振り飛車党らしい鮮やかな受けで宮嶋四段の飛車がなかなか生きてきません。

宮嶋四段は玉頭からの攻めに活路を見いだします。交換した桂をすぐに打ち込み合う空中戦が繰り広げられ、最終盤はお互いの玉が詰まされないよう逃げて逃げて、先手玉が捕まらないところで宮嶋四段が投了。チーム戦ならではの投げ出せない熱戦でした。
西軍は3連覇に向けて好発進!

第2局 長谷部五段(東)対久保九段(西)

第1局と同時刻、壁1枚を挟んで第2局が行われました。対局者は長谷部五段(東)と久保九段(西)、この2人も過去に公式戦で1度対局しており、長谷部五段が制しています。



上位者の久保九段が駒袋から盤に駒を出します。会場の解説で中継映像を使用するからか、今日使用されている駒はどちらの会場も一文字の駒になっています。



子どもの頃に多くの棋譜を並べ、さばきと粘りを学んだ相手に勝利できるか? 公式戦の借りを返しチーム最年長として勢いをつけることができるか?

本局は10手目に久保九段が△5二飛と回り、ゴキゲン中飛車が選択されました。
第1局と同様、西軍の棋士が5筋に回りましたが、本局は久保九段が穴熊を選択し、がっちりとした持久戦模様になりました。

長谷部五段は玉の囲いより端の位を優先。将来の端攻めに期待したいところです。
飛車と角の交換後、久保九段は2枚の角、長谷部五段は2枚の飛車で攻めの組み立てを構築することに。お互いに桂香を拾ったあと長谷部五段が穴熊をみるみる崩し、裸にしてしまいます。
しかしここで、久保九段が受けに利かせた飛車を下ろして粘りに粘る。長谷部五段は期待の端から攻めの端緒を開きましたが、受けきった久保九段が反撃し、最後は端攻めを逆用される形になり、長谷部五段が投了。

久保九段のさばきと粘りが光るすばらしい熱戦でした。

第3局 豊島九段(西)対羽生九段(東)

第3局は豊島九段(西)と羽生九段(東)の対局です。
ファン投票2位同士の対戦なので、この2人が目当てだというお客さんも大勢いらっしゃると思います。
公式戦だと、2024年の叡王戦の段位別予選九段戦が最新の対局で約1年ぶりの対局のようです。



豊島九段は対局前からジャケットのボタンを外し、臨戦態勢を整えました。思い切りぶつかる準備は万端のようです。

 

この場で戦うのは初めてなので楽しみと語っていた羽生九段。年末の祭典に勝ち、2025年を気持ちよく締めくくることができるのはどちらか?

本局は6手目に羽生九段が△8四歩と飛車先の歩を伸ばし、今日初めての相居飛車の将棋となりました。

羽生九段が中央に金駒を集める雁木を選択し、ジリジリとした駆け引きの将棋となりました。角が交換された直後に角がにらみ合うバランス感覚が求められる展開から、自陣が手厚い羽生九段が7筋から戦いを起こし、一気に終盤に突入。

互いに攻め合う激しい終盤戦、豊島九段が詰めろをかけるも羽生九段は正確に受けきります。豊島九段が最後に後手玉を挟む金打ちで下駄を預けたところで羽生九段に攻撃のターンが回ります。
しかし30秒将棋の中で正確に寄せきることは非常に難しく先手玉が入玉したところで羽生九段が投了。

「最後は何かあったはず」と局後に漏らした羽生九段。詰むや詰まざるやの勝負を豊島九段が制し西軍の3連勝!

第4局 髙見七段(東)対上野五段(西)

第3局の隣の部屋では第4局が同時進行していました。
髙見七段(東)と上野五段(西)、練習将棋も含めはじめての対局となる2人、どちらに軍配が上がるのか?



対局開始を待つ上野五段、背筋がスッと伸びていてスマートですね。 



こちらは目に潤いを与える髙見七段、短い持ち時間なので、目のコンディションを整えるのはいつも以上に大切です。

本局は相掛かりの進行で、髙見七段が下段に、上野五段が中段に飛車を引きました。あまり見ない特殊な形になりましたが、30秒将棋なので両対局者は短時間での決断を迫られます。髙見七段は右辺を攻略し、中段に引いた飛車を狙う香を放ちました。

上野五段はひらりと飛車を横にかわし、先手を攻め立てます。髙見七段はタダの所に桂や成香を捨てる勝負手で後手に迫りますが、上野五段は正確に対応し、髙見七段の玉を追い込んだところで髙見七段が投了。

右辺を破られてからの上野五段の粘りが光る戦いでした。
そしてこの時点で西軍の4連勝となり、今年の西軍の優勝が確定しました!

第5局 藤井竜王・名人(西)対中村八段(東)

第5局はファン投票1位同士の対局、藤井竜王・名人(西)対中村八段(東)です。既に勝敗は決していますが、会場はこの日いちばんの盛り上がりです。
公式戦では2度顔を合わせていますが、いずれも藤井竜王・名人の勝利。中村八段が「2025年でいちばん運がよい」と話していましたが、これに勝って最高の2025年の締めくくりができるか?



中村八段の闘志みなぎる鋭い目、やる気満々のようです。



藤井竜王・名人はお決まりの「初手お茶」を選択。
中村八段の鋭い攻めに押し込まれないようにしたいと対局前に話していました。



中村八段も「初手お茶」の「相初手お茶」になりました。
将棋は中村八段が横歩取りに誘導、藤井竜王・名人は今年の竜王戦第1局と同様の穏やかな進行を選びました。

しかし、中村八段は34手目に△8六歩と垂らし、激しい展開に持ち込みます。藤井竜王・名人は角を交換し、後手の桂を狙っていきますが、中村八段は桂を成捨ててから王手飛車をかけます。

中村八段は竜を2枚作り、藤井竜王・名人は桂を重ねて後手の玉頭を狙い続けます。65手目、藤井竜王・名人が角頭に歩を打ちつけたところで中村八段は決断を迫られます。角を切り飛ばして攻めをつなげるか、角を逃げて藤井竜王・名人の攻めを切らすか……。
中村八段は角を逃げる選択をしましたが、藤井竜王・名人は桂を跳ねてから玉を危険地帯に呼び込み一気の寄せを見せました。

短手数ではあったものの、非常に熱い戦いでした。

第6局 伊藤二冠(東)対山崎九段(西)

横歩取りの激戦の隣では、伊藤二冠(東)と山崎九段(西)の対局が行われています。
山崎九段が勝って伊藤二冠を幸せにできるか、伊藤二冠が東軍の意地を見せるか……。



伊藤二冠の駒の並べ方に注目していただきたいのですが、香を設置する前に歩を左から並べる「伊藤流」を採用しています。プロではほとんどの棋士が大橋流で並べているので、伊藤二冠の並べ方は観る将必見のポイントとなっております。



対する山崎九段は左利きの棋士で、左手で指しています。現在のルールでは右利きでも左利きでも駒台は盤の右側に置かなくてはならないようです。左利きの先生は不満に思ってはいないのでしょうか? ちょっと気になるところです。
ちなみに今日の対局者の中にもう1人左利きの人がいますが、どなたかわかりますか?

戦型は伊藤二冠得意の相掛かり。伊藤二冠にとっていちばん力を発揮できる展開になります。山崎九段は中段に飛車を引く高飛車を選択。これは第4局の髙見上野戦で上野五段が引いたところと同じです。大盤解説の髙見七段が「体調が悪くなってきました」と早くもフラッシュバックしてしまい会場の笑いを誘います。

41手目、伊藤二冠が▲8六歩と後手の飛車の位置を動かしてから1筋の香を走り、山崎九段の角を召し取ることに成功します。
伊藤二冠は角得で局面は明らかによいですが、相手は「ちょいワル逆転術」で知られる山崎九段。ここから妖しい手順で粘りに粘ります。中央に香を打ち、飛車先を底歩で受け、歩で角頭を狙う妖しさ満点の指し回し。

しかし、伊藤二冠は冷静に正確に対応し、山崎九段の玉を寄せていきます。最後は角を成る開き王手で山崎九段が投了。東軍はなんとか1勝を返すことができました。

トークショー

少し時間を遡って、第3・4局と第5・6局の間に東西各出場者と解説の佐藤天彦九段(東)、斎藤慎太郎八段(西)によるトークショーがありました。
棋士の知られざる素顔が見られる大変面白く楽しい時間です。

東軍
Q1. 今後行ってみたい旅行先は?
中村八段「エチオピアに行ってみたい。コーヒーの生まれた国と言われているのでエチオピアらしいコーヒーを現地で飲んでみたいです。今年は海外に行く機会が2回あり、王座戦でシンガポールに行きました。対局者ではないのでシンガポールを楽しめました」

羽生九段「アフリカですね。アジア、中東、アメリカと色々行ったことはありますが、まだアフリカには行ったことがないので。中村八段と同じコーヒー興味がありますが、動物と触れ合ったり歴史のある国に行ったりしてみたいです。シャワーが出ない程度は耐えられるけど、虫系はつらいかもしれないです」

髙見七段「ドイツのクリスマスマーケットに行ってみたいです。ドイツには7年前に1度行ったことがありますが、そのときは10月だったから12月に行ってみたいです。ただ、棋戦で勝っていると行けないので今年は行けませんが。12月に対局が入っていなければ。温かみのある物を買ってみたい、髙見だけに」

長谷部五段「インドのガンジス川の洗い流すという文化に興味があります。人生観が変わるということなのですが、緊張しないように自分を変えたいです」

佐藤天彦九段「欲張りなので2箇所になりますが、プラハや京都といった古都に行ってみたいです。プラハは趣のある街であるだけでなく、アマデウスのロケ地で当時の街並みが残っていて美しいと感じました。京都は意外と観光したことがないが街並みとして歩いていて楽しいと聞くので興味があります。あまり寺社仏閣には詳しくはないのですが」

宮嶋四段「スイスでアルプスの絶景を楽しめる赤い電車に乗ってみたいです。今日勝っていればその資金で行けたかなと思いますが……。今日勝ってればよかったなぁと思います。今日は羽生先生にツーショットを撮っていただいて、this is Tokyoなのかと思いました。ただ、負けてテンションが下がってしまったので、公式戦で勝ってスイスに行きたいです」

佐藤天彦九段「お金がなくてもスイスに行って、帰ってきてから稼ぐ! 旅行で見聞を広げてから将棋の幅も広げましょう」

伊藤二冠「野球を観るのが好きなのでロサンゼルスに行ってMLBを観たいです。今年のワールドシリーズが白熱していたのをテレビで観て、現地で観たいなと思いました。あと、長谷部さんの話を聞いてインドも悪くないなと思いました。私も洗い流したいです」

Q2. 今年いちばん印象に残った対局は?
羽生九段「さっきの対局です。このトークショーの間で答え合わせをして、勝てる筋があったみたいで……。将棋ってこういうのありますからね。ただ、1週間くらいしたら(印象に残った対局が)変わってる可能性もあります」

伊藤二冠「2日前の斎藤明日斗戦(第51期棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント敗者復活戦決勝戦)です。棋王戦の大きなところで敗者復活制度もあり斎藤六段2度当たって2度負けて往復ビンタを食らった気分です。内容も悪くなく勝てそうな状況もあったので決めきれなくて悔しかった、大きな一番だったので引きずっています」

宮嶋四段「3日前の順位戦(第84期順位戦C級2組、齊藤優希四段戦)です。齊藤優希四段との対局でしたが、個人的にもうまく指せたかなと思っていて、昨日藤井六冠、伊藤二冠に聞いたら良かったんじゃないですか?と言っていただいて公式戦の指し納めとしてはよかったと思います」

長谷部五段「SUNTORY杯予選Cブロック決勝(千葉幸生七段戦)です。投票してくださった方から諦めずに投票していてよかったと言っていただけてうれしかったです。(司会の福山さんから故郷の栃木県小山市の小山評定ふるさと大使を務めていることから小山のPRをと振られ)お米がおいしいです!」

中村八段「これは自分から触れないといけないので触れますが、王位戦伊藤沙恵女流戦(第67期王位戦)ですね。ネット上ではいじられるけど、実際に会うと誰からも触れられないので……。対局内容は二転三転していたのですが、伊藤沙恵さんに重厚に指し回されました。その後も順調に勝ち上がっていますが、どういう気持ちで次の対局を観たらいいか……」

髙見七段「SUNTORY杯(東京予選Aブロック)、屋敷九段との決勝が印象に残っています。優勝が決まったあと、インタビューが終わるまで屋敷先生が待っていてくださり、『本戦頑張ってね』と声をかけていただいて人柄を感じました。あとは順位戦の青嶋先生との一局(第84期順位戦、青嶋未来七段戦)で、勝敗はともかく、この手を指すために生まれてきたんだという手があって、深夜0時過ぎ、一分将棋の中△3三桂と指せたときにこの手を指せるのであれば、将棋棋士としてまだやっていけるかなと思いました」

西軍
Q1. 今年ハマったものは?
斎藤八段「クラフトボス 甘くないイタリアーノ、サントリーの飲料でございます。私は食欲が落ちるということもあり普段はそんなにコーヒーを飲まないのですが、コーヒーの味は好きなんです。なのでブラックではなくカフェオレを飲んでいるのですが、糖分が入っているのが難点でして……。この甘くないイタリアーノは糖分が入っていないのがすごくいいなと思います」

山崎九段「ひとりでふらふら。旅行のようながっつり計画したものではなく、東京で対局があるときに東京から新幹線で。ご褒美気分で福島や仙台、山形などに行って1泊しています」

久保九段「物理学。最近、量子コンピューターというのが気になっていてYouTubeで調べて観ています。量子コンピューターが出来たらもっとすごいことになるだろうなと思ったのがきっかけです。中村太地さんがヨビノリたくみさんという100万人くらいいるすごいYoutuberとコラボしていて、その話を昨日しました。観ても観ても(量子力学のことが)わからないんです。ただ、全く知らない世界でも興味を持つとひたすら突き進むタイプなのでほどほどにしようと思います」

藤井竜王・名人「私はバイブコーディングにハマっています。私自身はプログラミングの知識は全くないんですけど、日本語で指示を出してAIにサポートしてもらうことでいい感じにコーディングすることができ、便利だなと思うようなツールをAIに作ってもらっています。あまり将棋が強くなるものではないので、私もほどほどにしたいと思います」

稲葉八段「山崎さんと似ているのですが、旅行の『旅』の字がわからなくて……。りょ行とひらがなにしました。これまで46都道府県までは行ったことがあるので、最後の茨城県に行きたいです。(茨城県からのお客さまに茨城のネモフィラをおすすめされて)順位戦が終わった頃がシーズンなので、妻と行きたいです」

豊島九段「将棋観戦を前よりやっています。特に中終盤はリアルタイムで観たほうがドキドキするのでそちらのほうがいいのかなと」

上野五段「料理です。去年のSUNTORY杯で2025年頑張りたいことという質問に『料理』と回答したので頑張りました。最初のほうはカレーをルーで作っていたのですが、最近はスパイスからバターチキンカレーをつくっています。料理を作るとちゃんと生活してるなと感じるので。生活習慣を整えています」

Q2. 今年いちばんおいしかったものは?
山崎九段「竜王戦第4局で佐々木勇気八段が食べたヒレカツサンドがおいしかったです。すきやきとヒレカツサンドを佐々木八段が注文したのですが、撮影のために控室に運ばれたものを食べました。すき焼きのほうに心が惹かれたのですが、それはいちばん大変な記録係の子に譲って、私をヒレカツサンドをいただきました。『対局者、いいもの食べてるな』と感じました。やわらかくて肉汁があふれていて、食べたことがないレベルでおいしかったです。京都競馬場での対局だったのですが、通常のタイトル戦が出前なのに対し、今回は料理人を京都競馬場にお呼びして競馬場内で作ってもらい、おいしさもひとしおでした」

稲葉八段「佐賀県に旅行したときに食べた佐賀牛のすき焼きがおいしかったです。年齢を重ねるごとにお肉のような脂っこいものがきつくなってきたのですが、食べ続けてもあっさりしていて脂が乗っているのにおいしく食べられました」

斎藤八段「叡王戦(第10期叡王戦五番勝負第3局)のか茂免(かもめ)という料亭で食べたぽんきしが印象に残っています。どの対局場の食べ物もすごくおいしかったのですが、『これまで食べたことのないもの』で感動したということでぽんきしを選びました。ぽんきしというのはすっぽんのお肉で出汁を取ってお肉も入っているきしめんです。これまで人生ですっぽんを食べたことがなく、お鍋は有名で知っていましたがランチできしめんという形で食べられるというのは知りませんでした。おそらく伊藤叡王も頼まれていたと記憶しています。対戦していたが仲良く食べていたんだろうなと思います。すっぽんのお肉はあっさりとした上品な鶏肉といいますか、コラーゲンも入っていてそういういいとこ取りのような感じです」

藤井竜王・名人「サントリーの烏龍茶です。普段から結構烏龍茶を飲むこと多かったんですけど、最近特においしいなと感じることが多く、今では箱で買って自宅に常備しています。烏龍茶は健康にいいのかなというイメージもありますが、食事の時も相性がよいのでよく飲んでいます。普通の烏龍茶を普段は飲みますが、黒烏龍茶飲むことがあると高級感があってうれしい気持ちになります」

豊島九段「サメのお刺身。普段は出回らないのがスーパーにたまたまあって、興味本位で買いました。普通の魚と同じように醤油とわさびで食べました。食感は普通の魚とそこまで変わらないですけどあっさりしてて、変わった味ということもなくおいしかったです」

久保九段「昨日の前夜祭でいただいたコース料理がおいしかったです。対局前だったので本当はアルコールを入れたかったんですが控えました。赤ワインと一緒に食べたかったです。いちばん最近の出来事なので印象に残っています」

上野五段「順位戦終わりのご飯です。対局終わりのご飯は体力を消耗しているのでなんでもおいしいです。特に食べたいのは麻婆豆腐、ちょっと辛めのやつを白米と一緒に行くのが好きです。ただ、負けた日は何も食べずにすぐ寝ます。」

リレー将棋

SUNTORY杯ならではの対局といえば恒例のリレー将棋です。
今年は中村八段と羽生九段(東)と藤井竜王・名人と豊島九段(西)による対局が見られました。

1人5手で交代、初手から20秒将棋、任意のタイミングで作戦タイムを取ることができるという3点が特徴の他では見られない対局形式です。



作戦タイムはカメラに向けて写真の札を見せることで取れます。「ドッキリ大成功!」みたいでなんだかシュールですよね。

振り駒の結果西軍の先手番となりました。
戦型は角換わり腰掛け銀の真剣勝負。お祭りとはいえ常に勝利に貪欲なのは棋士の性なのでしょうか。

先手(西)は玉が穴熊でガチガチに固め、後手(東)はバランス型で待機していたところ、局面が煮詰まってきており普段より先手に打開が求められるところで意外にも後手の東軍から作戦タイムの札があがります。

中村八段と羽生九段は穏やかにいくか激しくいくかを相談。3分という短い時間で決まった作戦は激しい展開。右辺から積極的に戦いを起こしていきます。



しかし、先手にうまく受け止められてしまい、今度は端からB面攻撃を決行します。後手の9筋の香が走り、攻めのターンが回ってきたところで今度は西軍が作戦タイム。
9三に歩を垂らす筋は攻め合われて不安と豊島九段。藤井竜王・名人と別の攻め筋を探したところでタイムアップ。



やはり9三に歩を垂らすのはまずかったのか選ばれたのは▲4三歩と垂らす手。ここからしばらく先手の攻めのターンが続き121手目、先手が6三金と銀を回収したところで今度は後手に手番が回ります。
後手は端の香と下段の飛車で玉を包囲し詰めろをかけます。先手はここで後手を詰ますことができれば勝ちなのですが、打ち歩詰めとなりここで投了。

対局を振り返って中村八段は「羽生先生と明治神宮に守られている気がしました」と語りました。

閉会

全対局終了後、表彰式と閉会式が執り行われました。主催者を代表してサントリー食品インターナショナル株式会社の佐藤晃世さまより、長時間にわたり観戦したファンや、熱戦を繰り広げた東西の棋士たちへ感謝の言葉が贈られました。

続いて行われた表彰式では、優勝した西軍へ賞金600万円が贈呈されました。
西軍を代表してマイクを握った藤井竜王・名人は、チームでの勝利とイベントの感想を次のように語りました。

「東西対抗ということで、団体戦ならではの本当に面白さというのも存分に感じられた1日になったんじゃないかなと思います。SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦は年末の恒例のイベントになっていますけれども、来年以降も皆さまと楽しく将棋ライフを楽しんでいければと思っています。本日はどうもありがとうございました。」

会場は温かい拍手に包まれ、SUNTORY将棋オールスター東西対抗戦2025は幕を閉じました。
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