2026.01.05
「将来はプロの棋士になりたい」 第14回J:COM杯3月のライオン子ども将棋大会 全国大会レポート
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皆さんこんにちは。
突然ですが問題です。
この局面、皆さんなら次の一手に何を指すでしょう?

言うまでもありませんが、▲7五同歩は△2六飛で飛車が取られてしまいます。かといって、放置して7六の歩を取られるのも嫌です。
どうしたらいいでしょうか??
・・・実はこの局面は2025年11月8日に行われた第14回J:COM杯3月のライオン子ども将棋大会の全国大会の決勝戦の一場面です。
先手は中学1年生の和田耕真さん、後手は中学3年生の松岡輝真さん。
ここで先手に素晴らしい返し技があって、先手の和田さんがリードを奪いそのまま優勝を果たしました。
ぜひ皆さんもこの局面の次の一手を考えてみてください。答えは記事後半に記載します。
J:COM杯とは
さて、ここまで読んで「そもそもJ:COM杯って何?」と思っている方もいるかもしれません。説明しましょう。J:COM杯とは、JCOM株式会社と株式会社囲碁将棋チャンネルが主催する小・中学生の将棋の全国大会です。共催は日本将棋連盟、協力は白泉社と、多くの企業や団体の尽力のもとに運営されており、2012年の第1回大会から始まり、今年で14回目となります。
毎年、北海道から九州まで全国で地区大会が行われ、成績上位の16人が東京に集結して日本一の座を争う、という流れになっています。
筆者は昨年からこの大会を取材していますが、他の将棋大会に比べて会場が広く、スタッフの数が多い印象があります。集中して将棋を指せる環境が整っている上に、『3月のライオン』の立ち読みコーナー、どうぶつ将棋コーナー、棋士や女流棋士による指導対局コーナーなど、対局以外でも楽しめるいろいろな工夫がなされています。

大会の様子。外側にスタッフがずらり
さらに今年は地区大会の会場に詰将棋コーナーが新設されました。1手詰から13手詰まで合計10問の問題が会場内に張り出されるのですが、このコーナーが大盛況。子どもたちは会場に入るや否や、一心不乱に問題を解いていました。

詰将棋に集まる子どもたち
解答を書いて係の人に渡して全問正解ならシールがもらえます。不正解があっても何回でも挑戦できるので、考え直してシールをゲットしている子もたくさんいました。
ここでは出題された10問のうち、第1問と第10問を紹介しましょう。
第1問(1手詰)

第10問(13手詰)

第1問は皆さん一瞬だったと思いますが、第10問は合駒を考える必要がある13手詰なので、かなり苦戦したのではないでしょうか?
ちなみに、大会会場ではこの第10問を審判長やゲストとして来場した棋士が子どもたちにヒントを出す一幕もありました。
地区大会では全国大会に通じる「全国クラス」に加えて、将棋を楽しむことを目的にした「交流クラス」が用意されているのもJ:COM杯の大きな特徴。将棋を覚えたばかりの初心者の子どもでも十分楽しめるようになっています。実際、取材をしていても交流クラスの子どもたちはとても楽しそうに対局していました。
全国大会レポート
地区大会を勝ち抜くと全国大会に出場することができます。第14回の全国大会は東京都渋谷区にある「将棋会館」で行われました。全国から集まった16人の子どもたちは、真新しい対局室で将棋が指せることに胸を躍らせていた様子でした。
選手は4つのブロックに分かれて、リーグ戦を行い、各ブロック上位1名の計4名が決勝トーナメント進出となります。審判長の佐藤康光九段の合図で16人が一斉に対局を開始しました。
対局室を眺めていて特に目を引いたのが森晴陽さん小学4年生。地区大会で優勝し、この全国大会に駒を進めた16名の中で最年少の選手です。中学生に交じってひときわ小さな体で、才能あふれる将棋を見せてくれました。
1勝2敗で決勝リーグ戦突破とはなりませんでしたが、対局後に話を聞いてみると、「中盤までリードしても、そこから勝ち切れない将棋が多かったので反省したい」と冷静に振り返っていました。現在は研修会で腕を磨いているとのことで、「将来は注目される棋士になりたい」と前を向いていました。
森晴陽さん
午後は決勝リーグを勝ち抜いた4人によるトーナメント戦。特別対局室で行われた準決勝が終わり、決勝戦は将棋会館内にある銀河スタジオで行われました。日本一の栄冠を懸けた、最後の一局。
決勝戦の様子。左が和田耕真さん、右が松岡輝真さん
この運命の一戦の序盤で現れたのが記事冒頭の局面です。
それでは、正解発表に参りましょう。
図で和田さんの指した▲5六飛!が絶好の切り返しでした。

△7六歩には▲9七角~▲5三角成を用意しています。実戦は△4四角と出て5三の地点を受けましたが、そこで▲8七歩が優勢を確定させた一手。以下、△7六飛に▲7四歩と進んで桂頭攻めが速いです。先手玉が戦場から遠いのも好条件で、このあと攻めに専念した和田さんが53手で快勝したのでした。
和田さんはリーグ戦も3連勝で通過しており、文句なしの優勝。中盤で形勢が悪くなっても粘り強く指し続ける気持ちの強さと、劣勢をはねのける将棋の腕力が光っていました。
「序盤が苦手で不利になってしまうことも多いので、最後まであきらめずに指すようにしています」とのこと。現在は北島忠雄七段の教室で腕を磨いており、「将来は北島先生のような棋士になりたい」と語ってくれました。
今回の優勝は大きな自信になったことでしょう。棋士という夢に向かって頑張ってほしいです。
左からゲスト棋士の室谷由紀女流三段、準優勝の松岡輝真さん、優勝の和田耕真さん、審判長の佐藤康光九段
最年少で参加した森さんや、今回優勝した和田さんは、これから棋士になる道を歩まれるわけですが、J:COM杯に参加して棋士になった方はすでにいます。
第1回大会の優勝者である獺ヶ口笑保人四段はその一人です。
獺ヶ口四段は前回の全国大会に解説役として参加、その際に行われたインタビューでJ:COM杯についてのアツい思いを語っておられました。
「私は奨励会に入ってから順調にいかないことが多く、くじけそうになったことも多々ありましたが、J:COM杯で優勝できたことが間違いなく自信になりました。また、そういうときに将棋に対するパッションを取り戻せたのもJ:COM杯があったからだと思っています。私が活躍すれば『J:COM杯出身の棋士が活躍』したということになるので、頑張っていきたいと思います」
また、獺ヶ口四段は大会を盛り上げるべく、将棋ジェスチャークイズの動画にも出演しています。
14年の歴史のある大会なので、獺ヶ口四段以外にも子どもの頃にJ:COM杯に参加したことがある棋士は多くいます。
大会後に行われたインタビューで佐藤康光九段はこのように述べられました。
「今回は将棋会館が新しくなってから初めての大会ということで新鮮な感じがしました。始まる前から緊張感があって、将棋の内容も最新形のものもあり、非常にレベルの高い戦いだったと思います。決勝戦の解説をさせていただきましたが、優勝した和田さんは最初から最後まで一つのミスもない素晴らしい内容でした。一方で今回残念ながら敗れてしまった選手たちにとっても課題が見つかり、次につながる機会になったと思います。小・中学生の時期に真剣勝負の経験をできるのは大事なことです。J:COM杯はその機会を多くの子どもたちに与えているので、回を重ねることでさらに本大会から多くの棋士が生まれると思います」
昨年から取材させていただいて、子どもたちの満足度がとても高い大会だと感じています。今後もJ:COM杯がますます発展して、一人でも多くの子どもたちがこの大会を通じて将棋を楽しんでくれることを願っています。
本大会の模様はテレビでご覧いただけます。
● 2026年2月21日(土)20時~
「囲碁・将棋チャンネル」(J:COM TV700ch)
● 2026年2月10日(火) 18時~
「J:COMチャンネル」(地デジ11ch)
※下関エリアは12ch、熊本エリアは10ch
各地区大会のレポートはこちら
北海道大会 東北大会 九州大会 関西大会 中国大会 関東大会 東海大会
【詰将棋の解答】
第1問
▲1三角成まで1手詰
第10問
▲2三香 △2二角 ▲同香成 △同 玉
▲4四角 △3三桂 ▲同角左成 △同 香
▲1四桂 △同 香 ▲1三角成 △同 玉
▲2三金まで13手詰
本記事はJCOM株式会社とのタイアップです。
