これが見納め?! 将棋芝居の不朽の名作が再演 ラビット番長 第6七回公演『成り果て』(タイアップ)|将棋情報局

将棋情報局

これが見納め?! 将棋芝居の不朽の名作が再演 ラビット番長 第6七回公演『成り果て』(タイアップ)

限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから 将棋を題材にした人情味あふれる人間模様を描いた芝居を発表し、演劇賞の常連で知られる劇団「ラビット番長」。9月から開催される第37回池袋演劇祭で、過去3度の上演で大好評を博した名作『成り果て』の再上演が決まりました。
8月某日、東京・調布市の稽古場を訪ね、作・演出・出演の井保三兎(いほ さんと)さんにお話をお聞きしました。
(取材・田名後健吾)


2016年初演時

【『成り果て』あらすじ】
舞台は西暦2000年。
奨励会でプロ棋士を目指していた兄妹。その兄が夢破れるところから物語が始まる。
妹は男性棋士に混じり、まるで兄の敵を討つかのようにプロを目指し、兄は悩み迷いながら将棋ソフト開発の道へ・・・。
将棋界のセカンドキャリア問題、棋士VS女流棋士、そしてコンピュータ将棋。
それぞれの思いを抱え、命の駒を進めていく棋士達の、その先の「成り果て」とは・・・?!


井保三兎さん

●ラビット番長の代表作のひとつ『成り果て』は、2016年の初演から、2017年・2020年の再演に続く4度目の上演になります。池袋演劇祭の演目としてやるということですが、将棋がテーマの作品としては『天召し』『カチナシ!』『コマギレ』『トウカク』『寉峯~カクホウ~』(2024年)などたくさんある中で、なぜ本作を選ばれたのですか。

井保 5年前に「紀伊國屋ホール」という大きな場所でやったのですが、その週からコロナの緊急事態宣言が始まってしまって・・・。それからしばらくの間、演劇活動もままならないどころか生活も一変しました。ようやく活動が再開できるようになってきたのと、自分が今年50歳になったことで、もう1回、本腰を入れてやりたいという気持ちがあり、ちょうどコロナの『成り果て』で終わったので、この演目から再スタートということです。

2017年再演。右が井保さん

2020年の紀伊國屋ホールでの再演。コンピュータと戦う井保さん


●この5年で、将棋界を取り巻く環境もだいぶ様変わりました。

井保 そうですね。棋士のコンピュータ将棋との関わり方をはじめ、将棋界のいろんなことが初演当時とは変わりました。テレビやネットの対局中継を観ていても、ソフトの評価値が当たり前のように出ているような状況になりましたし。5年前はどちらかというと、プロ棋士の方々も半信半疑で評価値を見ていたのが、現在は「ほうほう、こんな手があるんだ!」みたいに棋士間にも浸透してきていると思います。

●そんな状況で、プロ棋士対コンピュータ将棋を題材とした本作は、時代と逆行しているようにも感じますが。

井保 いやいや、時代劇として観れば全然いけると思っています。それに将棋電王戦のことを知らない若い世代も増えているので、プロ棋士とコンピュータ将棋の戦いのドキュメンタリーとしてなら十分楽しんでいただけると思っています。

●時代劇ですか、なるほど。

井保 自分の中でぼんやり思っているのは、現在のように将棋ソフトとの共存が定着してくると近い将来、藤井聡太先生並のモンスターがもっと出てくるんじゃないかということ。いや、実はすでに出てきつつあるけれど、藤井先生があまりに強すぎて皆が気づいていない可能性だってある。いずれ時がきたら続編を創ろうというアイデアだけはあるので、ここいらでもう1回『成り果て』をやっておこうと。未来につなげるための再上演でもあります。



この日は、本読みから離れて初めての立ち稽古。まずは出演者に指し手の手つきをレクチャーするところから始める井保さん


●『成り果て』は、2016年のグリーンフェスタ「GREEN FESTA賞」、2017年の第29回池袋演劇祭「大賞」を受賞しており、かなり評価の高い作品です。

井保 はい。実は『成り果て』はこれまで負けなしなんですよ! もちろん今回も賞を取りにいくつもりでいきますんで!! ほかの劇団さんたちも、うちが『成り果て』を持ってきたということでライバル視してくださっているみたいです。大賞を取る気だなと。

●スゴイですね。批評家からはどんなところを評価されているのでしょうか。

井保 やっぱり人間ドラマですね。そこは毎回こだわって作り込んでいます。

●たしかに井保さんの将棋芝居の全ての演目で一貫しているのは、笑いあり涙ありの人情話ですね。どの演目も、師匠役の井保さんの役どころは、ひょうきんでありながら厳しくもやさしさもある点で同一人物ではないかと思うぐらい似ています。でも、設定は毎回違うんですよね?

井保 はい。設定は違うのですが、わざと同じようなキャラクターの感じにしています。イメージとしては、同じキャラクターが別の世界で生きていたらどうなっているのかっていう、ドラえもん方式ですね。パラレルワールドみたいな(笑)。

●そういうフォーマットがあって、テーマを変えてやっているわけですね。

井保 『将棋世界』編集長役も毎回、同じ団員(西川智宏)が演じていますし、窪田という登場人物も窪田義行七段をモデルにして同じ役者がやっています(笑)。窪田先生は毎回観に来てくだって感想も書いてくれるのですが、毎回女性にフラれる役ばかりなので申し訳ないのですが(笑)。

●関西を舞台にしているのはどうしてですか?

井保 自分は滋賀県の生まれなので、やっぱり将棋は関西の思い入れが強いんですよね。だから団員たちが毎回、勝手に関西弁に付き合わされています(笑)。私のキャラクターは、昔、京都のデパートでやっていた将棋イベントで観た神吉さん(宏充七段)が面白かった記憶から、今回も蝶ネクタイで出ようと思ってます(笑)。

●井保さんも普段、将棋を指されるということですけど、将棋とはいままでどういう関わり方をしていたのでしょうか。

井保 ルールを覚えたのは小学生のときです。滋賀県なんてプロ棋士ゼロですからね、当時は周りに道場がなかったんです。お年寄りが集まってやっている公民館に通いました。小5ぐらいの時に小さな大会で優勝して勘違いして、腕試しのためにおかんに手を引かれて大阪に行ってみたら、全駒されるくらいの負けっぷりで(笑)。そのときに自分は将棋に全然向いていないんだと自覚しました。当時からボクは、棋譜よりも棋士のドラマ性やエピソードのほうに心を打たれることに気づいていました。それ以来、いろいろな棋士を好きになって、本を読むようになりました。そうして得た棋士の人間ドラマのエピソードが、演劇の世界に入って脚本を書く上で役立っています。


出演者の女優3人にアドバイスを送る井保さん。(左から)漆間虹美、あるま、成塚衣和美※敬称略


奨励会を挫折して将棋ソフト開発者に転身する兄(稽古代役の大川内延公)と妹(漆間虹美)。


●本公演では、将棋を知らない方も劇場に足を運ばれると思います。その方たちに向けて、あらためて『成り果て』の見どころを教えてください。
井保 いまの将棋界で普通になっていることが、普通になる前のお話なので、それを楽しんでいただけたらいいですね。将棋がテーマの芝居ですが、将棋を全く知らない人にこそ観ていただきたい。盤上よりも人間ドラマのほうにこだわっているので、ルールが全くわからなくても楽しんで観ていただけると思います。おそらく『成り果て』を自分たちで上演するのは、今回が最後になると思います。リスタートを切るラビット番長の新しい一歩をぜひ、劇場でご覧ください。


『成り果て』メンバーの皆さん
(前列左から)須古茜、満、田中沙穂(演劇制作体V-NET)、成塚衣和美(アプトプロ株式会社)、漆間虹美、あるま(株式会社スペースクラフトエージェンシー)、鳥居香里、高橋杏奈(ラビット番長)、門地ジル子(ラビット番長)
(後列左から)大川内延公(ラビット番長)、山本祐路、福冨翔、羽賀久造(演劇制作体V-NET)、井保三兎、池田光毅、松沢英明、友永(ALPHABETZ企画)、渡辺あつし(株式会社ALBA/ラビット番長)
※敬称略


●ラビット番長 第6七会公演『成り果て』は、9月24日(水)から28日(日)までの全9公演。東京・池袋の『シアターグリーン BASE THEATER』で上演されます。
【ご予約はこちらから】
https://ticket.corich.jp/apply/356440/R




(本記事はラビット番長とのタイアップ記事です)
  限定記事や限定動画など特典が盛り沢山!将棋情報局ゴールドメンバーご入会はこちらから
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。